まさか自分が?20~30代でもなるかもしれない「若年性更年期障害」の症状や対策、症状緩和に効果的なヨガポーズをご紹介
監修者情報
杉山 なつみ
ヨガ講師・バリ島ヨガスタジオマーケター
2015年12月にヨガの資格を取得後、都内を中心に企業向け健康セミナーの実施や、ヨガスタジオでの自主開催レッスンやスポーツ選手向けのパーソナルヨガレッスンを行う。
2019年1月にインドネシア・バリ島へ移住。現在はフリーランスのヨガインストラクターとして、現地のマーケティングや、バリ島からのオンラインレッスンを開催中。
■資格
・日本ヨガインストラクター協会2級
若年性更年期障害って何歳で起こるもの?
一般的な「更年期障害」は、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が急激に減少しはじめる40代半ばから50代にかけて起こるものです。一般的な更年期障害は閉経前5年と閉経後5年に起こる不調のことですが、本記事のテーマである「若年性更年期障害」は、その年齢よりもグッと若い20~30代で起こる不調を指します。一般的な更年期障害と同じく症状が多岐にわたるため、自覚できないことも多いのです。
若年性更年期障害の特徴や症状
若年性更年期障害の症状は、一般的な更年期障害とほとんど同じです。更年期障害の代表的な症状である「ホットフラッシュ(火照りやのぼせ)」をはじめ、イライラや倦怠感、全身の凝り、うつ症状など200種を超える症状があり、出現する症状や程度は一人ひとり異なります。
精神神経系の症状
- 頭痛
- 睡眠障害(不眠や中途覚醒など)
- めまい、立ちくらみ
- うつ
- 耳鳴り
- もの忘れが増える
運動系の症状
- 肩こり
- 腰痛
- ぎっくり腰
- 関節の痛み
血管運動神経系の症状
- のぼせ、火照り
- 動悸
- 手足、全身の冷え
- 息切れ
消化器系の症状
- 食欲減退
- 胃もたれによる吐き気、胃の不快感
- 下痢や便秘
- 胃痛
泌尿器・生殖器系の症状
- 月経周期の乱れ
- 性交痛
- 尿トラブル(尿漏れ、頻尿)
- 外陰部のかゆみ
皮膚・分泌系の症状
- 皮膚の乾燥
- 口内や目など、粘膜の渇き
- 湿疹
若年性更年期障害の原因
一般的な更年期障害は閉経前のホルモンバランスの乱れが影響して起こるものですが、若年性更年期障害は自律神経の乱れや生活習慣によってホルモンバランスが崩れることが主な原因です。具体的にどのようなことが原因になるのかチェックしていきましょう。
食生活の乱れ
不規則な食生活は自律神経のバランスを乱す一因です。「食欲がないから朝ごはんを抜く」「夜にドカ食いしてしまう」「寝酒が習慣化している」など、食事をとる時間や栄養素に偏りがある方は注意しましょう。
不規則な生活
「今夜は徹夜で仕事をしよう」「毎日深夜まで起きている」など、不規則な生活リズムが習慣化していませんか。体力も気力もある20~30代はつい無理をしてしまいがちですが、この不規則な生活が自律神経の乱れ、ひいては若年性更年期障害の要因となります。
ストレス
仕事や家事、育児と忙しく過ごす現代女性は、常にストレスにさらされています。自分では平気だと思っていても、知らず知らずのうちに心のキャパシティをオーバーしていることも。大きなストレスも、エストロゲンの分泌量低下を引き起こす要素のひとつです。ホットフラッシュや不安感、イライラはもちろん、骨量の減少や脱毛などが表れることもあります。
無理なダイエット
理想の自分を目指して努力する姿は素晴らしいですが、過度なダイエットには要注意。無理な食事制限を続けると卵巣機能が低下し、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量が低下してしまいます。エストロゲンの分泌量が減少しても脳下垂体はこれまでどおり分泌を指示するため、ホルモンがアンバランスな状態に……。結果的に自律神経が乱れ、更年期のような症状が引き起こされるのです。
若年性更年期障害の予防&改善におすすめの方法
20~30代は、なにごとにもエネルギッシュに取り組める年代。だからこそ、無理をしてしまい「若年性更年期障害」が引き起こされることも。つらい症状に悩んでいる方、今のうちから予防しておきたい方は、ぜひ次の3つの方法を試してみてください。
栄養素をバランス良く摂取する
乱れた食生活や過度なダイエットなどは、自律神経のバランスを乱して若年性更年期障害を引き起こす要因になります。自律神経を整えるために、栄養素をバランス良く取っていきましょう。
三食しっかり食べるだけでなく、必要な栄養素を補っていくことも大切です。とくに、女性ホルモンと似た働きをもつ「大豆イソフラボン」や、ホルモンバランスを整える効果がある「ビタミンE」などは意識的に摂取していきましょう。
規則正しい生活で、自律神経のバランスを整える
乱れた自律神経を整えるためには、規則正しい生活リズムを身につける必要があります。「毎日決まった時間に起きて、決まった時間に食事をとり、決まった時間に眠る」というサイクルを作るだけで、心身の不調はずいぶんと改善されるはずです。体内時計のズレを改善したい方は、まず“毎日決まった時間にカーテンを開けること”を意識してみてください。日光を浴びたときに分泌される「メラトニン」の効果によって、健全な快眠サイクルが身につきます。
有酸素運動を取り入れる
ヨガや水泳、ウォーキングなどの「有酸素運動」は、更年期障害の症状緩和に効果的!更年期特有の症状を改善・緩和するだけでなく、体力アップや脂肪代謝の促進、筋力アップによるボディメイク効果も期待できます。若年性更年期障害によって身体の調節機能が低下すると、知らず知らずのうちに太りやすい体になっていることも。有酸素運動で“理想の自分”を目指しながら、更年期の症状も改善していきましょう。
リラックス効果も!自律神経を整えるヨガのポーズ3選
ご紹介したように、有酸素運動は若年性更年期障害の症状緩和に効果的!ボディメイクや体力アップの効果も期待できるため一石二鳥です。今回は、自律神経の乱れや若年性更年期障害の症状緩和に効果的なヨガポーズを3つご紹介します。自宅で簡単にトライできるので、お悩みの方はぜひ試してみてくださいね!
①わにのポーズ
姿勢改善や内臓機能を高める効果がある「わにのポーズ」。若年性更年期障害の症状のひとつでもある、腸内トラブル(便秘や下痢など)にお悩みの方にもおすすめです。
■実際にポーズをとってみましょう
難易度:易しい
- 床の上で仰向けになります。顎を軽く引きながら首の後ろを伸ばしていきましょう。
- 左膝を曲げたら、まずは両手で膝を抱えて胸のほうにグッと引き寄せましょう。
- 両手を真横に伸ばし、手のひらを床につけましょう。
- 吐く息に合わせて左膝を右側に倒していきます。目線は、横に伸ばしている左手の先を見つめます。
- 反対側も同様に行いましょう。
■わにのポーズのポイント
膝を内側に倒すときは、膝と反対側の肩が床から浮かないようにしましょう。
②キャットアンドカウのポーズ
全身の凝りや倦怠感だけでなく、イライラやうつ症状といった精神的な症状にも効果的な「キャットアンドカウ」のポーズ。1回数分程度なので、就寝前に行う快眠ヨガとしてもおすすめです。
■実際にポーズをとってみましょう
難易度:易しい
- 肩の真下に両手、腰の下に両膝がくるように、四つんばいの姿勢をとりましょう。
- 吐く息に合わせて、背中をぐっと丸めていきます。猫が伸びをする様子をイメージしながら、おへそを内側に引き込んでいきましょう。
- 吸う息に合わせて、今度は背中を反らしていきます。一連の動きをゆっくりとした呼吸に合わせて何度か繰り返しましょう。
■キャットアンドカウのポイント
背中を反らすとき、目線を上に向けて顎の下(首元)も伸ばしていきましょう。
③ガス抜きのポーズ
幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の分泌量を増やし、自律神経を整える「ガス抜きのポーズ」。その名のとおりお腹に適度な圧迫感を加えられるため、腸内環境改善にも効果的です。
■実際にポーズをとってみましょう
難易度:易しい
- 両脚を軽く揃えて、仰向けに寝転びます。
- 息を吸いながら、右膝を両手で抱えて胸のほうに引き寄せます。
- 息を吐きながら、右膝を脇のほうまでグッと寄せて5秒キープ。
- 反対側も同様に、左右それぞれ3回ずつ行いましょう。
■ガス抜きのポーズのポイント
膝を胸元に引き寄せるとき、左右のお尻や腰が浮かないように意識しましょう。
生活習慣を見直して、プチ不調を改善しよう
若年性更年期障害を発症すると「まさか私が……」と驚いてしまいますが、見方を変えれば自分の体と向き合う良いタイミングでもあります。生活習慣や睡眠サイクル、ストレスの原因などを見つめ直してみましょう。症状が表れた場合は、本記事でご紹介したヨガを試してみてください。まずは1日5分から、自分のペースで取り組んでくださいね。