自分のいびきはうるさい?いびきをかきやすい人の特徴と防止する方法をご紹介
監修者情報
崎山 紀子
医学博士・保健師
クリエイティブ業界、子育て支援活動等の社会人経験を経て産業看護職へ転身。
大企業、中小企業と数多くの企業を担当し、健康経営に尽力。
社員に寄り添い、企業の生産性向上に貢献できる産業看護職の育成に尽力している。
主な活動・研究:睡眠時無呼吸症候群スクリーニング検査推進活動、健康起因事故の予防研究、等。
■資格
・保健師
・看護師
・第1種衛生管理者
・嚥下防止指導員
・ソーシャルスキルトレーナー
・メディカルアロマセラピスト
・エキスパートヘルスコンサルタント
いびきをかきやすい人の身体的特徴3選
いびきをかく原因は、「身体的特徴」「日々の生活習慣」「そのほか(加齢や遺伝など)」の大きく3つに分類されます。まずは、いびきをかきやすい身体的特徴についてチェックしていきましょう。
肥満傾向の方
肥満の方は、腕やお腹やお尻だけでなく、舌やのどにも脂肪がつきやすくなります。脂肪によってのどが圧迫されると上気道が狭くなり、いびきを引き起こします。また、体重増加に比例して必要な酸素量も増えますが、上気道が狭いと思うように酸素を吸入できません。苦しさから呼吸数と呼吸の深さが増し、よりいびきの音も大きくなっていきます。
あごが小さい方
日本人は欧米人に比べて「下あご」が小さく後退しているために舌根がのどの奥に落ち込みやすい傾向にあります。舌根が落ち込むと気道が狭くなり、睡眠中に呼吸が苦しくなります。その結果、太っていなくてもいびきをかきやすいと言われています。
首が太く短い方
首が太くて短い方は、喉まわりに脂肪がつきやすい傾向があります。肥満傾向の方と同様、脂肪がつくことで気道が狭まり、いびきをかく傾向があります。
いびきをかきやすい人の特徴的な生活習慣3選
いびきは、日々の生活習慣が原因で起こることもしばしば。知らず知らずのうちにいびきの原因を作っていないか、確認してみましょう。
喫煙
約4,000種類もの化学物質が含まれているといわれる「タバコ」。そのタバコを長期間吸い続けていると、次第に気道周辺に炎症が起こります。炎症によって腫れやただれが起こることで気道が狭まり、いびきをかきやすくなるのです。
過度な飲酒
「寝る前の深酒が日課になっている」なんて方も多いのではないでしょうか。深酒は眠りを浅くし、自律神経を乱す大きな要因のひとつ。さらに筋肉の緊張がゆるむことで舌根が落ち込み、いびきをかきやすくなります。また、アルコール成分を分解するのに酸素を多く必要とし、口呼吸となりやすい点も挙げられます。女性は男性と比べてアルコール分解にかかる時間が長い傾向にあります。睡眠の質を上げたい場合、過度な飲酒や寝酒は避けた方が賢明です。
疲労の蓄積
寝不足や重労働、ストレスなどによって疲労が蓄積すると、舌の筋肉のゆるみがさらに誘発されて、よりいびきをかきやすくなってしまいます。また、体が疲れていると寝ている間により多くの酸素を取り込もうとするため、鼻で呼吸するだけでなく、口呼吸になりやすく、いびきをかきやすくしてしまうのです。
いびきをかくそのほかの要因
「年をとってからいびきをかくようになった」という方は、加齢や閉経によるホルモンバランスが影響している可能性があります。生活習慣のほかに、いびきをかきやすくする要因について、詳しく見ていきましょう。
加齢
一般的に年齢を重ねると筋力が落ちやすくなりますが、それは舌まわりの筋肉に関しても同様です。加齢によってのどや舌まわりの筋力が低下すると、舌根が落ち込みいびきをかきやすくなります。
閉経
更年期の期間(閉経前後10年間)を機に、女性ホルモン「エストロゲン」は大きく減少します。エストロゲンは“幸せホルモン”と呼ばれるもので、分泌量が減少すると睡眠の質の低下や筋力の低下を招きます。いびきだけでなく、寝言や寝汗、イライラなどにお悩みの場合は、女性ホルモンの減少が大きく影響しているかもしれません。
遺伝
のどの奥で垂れ下がっている「口蓋垂(こうがいすい)が大きい方」や「鼻筋が曲がっている方」「歯並びが悪い方」などは、生まれ持った骨格によって空気の吸入がスムーズにいかず、いびきをかきやすい傾向にあります。
いびきが原因で起こりうることとは?
「睡眠に支障はないし、いびきくらい平気でしょ」と思っている方は要注意!慢性的ないびきを放置すると、著しいQOL(Quality of life:生活の質)の低下を招きます。いびきが原因で起こる弊害についてチェックしていきましょう。
慢性的な睡眠不足
自分では十分な睡眠をとれているつもりでも、いびきをかいている間の眠りは非常に浅く、朝になっても疲れがとれないこともしばしば。隠れ睡眠不足によって体や脳がうまく働かず、日中もぼーっとしてしまう時間が増えます。集中力や判断力が低下し、仕事や運転などに影響がでることもあるため注意しましょう。
病気のリスク
いびきをかきながら眠ると、慢性的に酸素や血液が不足する状態に。高血圧や動脈硬化、生活習慣病、心不全や脳梗塞といった病気のリスクを高めます。
口腔トラブル
いびきをかく方のほとんどは、口呼吸によって空気を取り込んでいます。口呼吸はいびきをひどくするだけでなく、口内炎や歯周病、ひどい口臭、扁桃腺炎などの要因になることも。そのほか、免疫力低下やホルモン分泌の低下を招く場合もあります。
いびきを防止する寝方は横向き!
いびきは睡眠不足による集中力低下だけでなく、恐ろしい病気のリスクにもなります。いびきを全くかかないようにすることは難しいかもしれませんが、いびきを軽減することでより良い睡眠に近づけることが可能になります。
いびきを防止するうえで、とくに重要なポイントになるのが「寝姿勢」です。仰向けやうつ伏せは気道を狭めやすくなるため、横向きで眠るように心がけましょう。どうしても体が動いてしまう方は、抱きまくらやクッションを抱えるように眠るのがおすすめ!体が固定されて、横向き姿勢をキープしやすくなります。
いびきを防止するためのポイント
横向きの寝姿勢と合わせて、寝具の見直しや体の管理もしていきましょう。
自分に合った枕を選ぶ
体型に合っていない枕を使うと、首が不自然な角度になり気道が狭まってしまいます。理想的な高さは、自分の首のカーブ部分の深さ+2cm。最初はタオルを重ねたり減らしたりしながら、心地良い高さを探ってみるのもよいでしょう。横向き姿勢をキープできる専用枕も販売されています。
太りすぎないように気を付ける
肥満は気道を狭め、いびきを引き起こす大きな要因のひとつ。運動を習慣化したり、食事を管理したりして体重を増加させないように気を付けましょう。日中の運動には、睡眠の質を上げる効果も期待できます。「エレベーターではなく階段を使う」「朝晩のヨガを習慣にする」など、簡単な運動からはじめていきましょう。
口まわりの筋肉が衰えないようにエクササイズ
マスク生活が続くなかで顔の筋肉、とくに口まわりの筋肉が衰えている方は多いもの。口まわりの筋力が低下するといびきをかきやすくなるだけでなく、顔のたるみやほうれいせんなどの原因にもなります。口まわりのエクササイズを習慣化して、筋肉を刺激していきましょう。
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いびきがうるさい人は生活習慣&寝姿勢で改善しよう
いかがでしたでしょうか?いびきは自分だけでなく、家族の睡眠不足の原因にもなります。いびきがうるさいと指摘された方、自分のいびきに気付いた方は、生活習慣や寝姿勢を見直して改善していきましょう。口元のエクササイズも、舌根の落ち込みを防いでいびきを防止するのに効果的です。
いびきをかく理由は人それぞれ原因があります。いびきには何らかの病気やリスクが隠れいている場合がありますので、慢性的ないびきの場合、放置せずに睡眠専門医の診察を受けることをおすすめします。
トルチャではさまざまなエクササイズをご紹介しているので、ぜひあわせてご覧ください。