デオドラントは意味がない?効果がないと感じる理由を徹底解説

デオドラントは意味がない?効果がないと感じる理由を徹底解説

監修者情報

水谷 さなえ

水谷 さなえ

美容ライター・編集者

東北大学大学院農学研究科にて生理学を学ぶ。在学中からモデル・マネージャーとして美の世界に携わり、大学院修了後は美容情報サイトの企画やディレクションに携わる。
現在は美容系メディアのライター・編集者として活動中。

◼︎資格
日本化粧品検定1級
生物科学修士

朝しっかりとデオドラントを塗ったのに、午後になると気になる体臭。「デオドラントって本当に効果があるのだろうか」と疑問に思ったことはありませんか?

実は、デオドラントが効かないと感じる背景には、使い方の誤りや体臭発生のメカニズムが関わっています。

この記事では、なぜデオドラントの効果を実感できないのか解説し、効果的な体臭対策の方法を紹介します。

なぜ「デオドラントは意味がない」と感じるのか

デオドラントとは、汗や体臭を抑えるためのケアアイテムで、スプレー・スティック・ロールオンなどのタイプがあります。

殺菌成分や香料が配合されており、ニオイの原因菌を抑えたり、不快なニオイを目立たなくするのが役割です。

それでも「朝に塗ったのに夕方にはニオイが気になる…」といった経験から「意味がないのでは?」と感じる人も少なくありません。

その主な原因の一つが、製品が体質に合っていないことです。

たとえば、汗をかきやすい人が軽い香りだけでマスキングするタイプを使っても、効果が不十分な場合があります。

殺菌効果が高く、密着力のあるタイプの方が適していることもあるでしょう。

また、使い方も見直したいポイントです。肌が濡れたまま塗ったり、使用量が少なかったりすると、デオドラントの本来の効果が得られません。

清潔で乾いた肌に、適量をしっかり塗ることがポイントです。

さらに、ストレスによる汗(精神性発汗)に起因するニオイは、一般的な汗と異なる成分を含み、通常のデオドラントでは対処しきれないことがあります。

ストレスによる汗は菌のエサになりやすく、強いニオイにつながります。

こうした複数の要因が重なることで「デオドラントが効かない」と感じてしまうのです。

自分に合う製品選びと正しい使い方ができれば、しっかりとした効果を得ることは可能です。

賢く対処しよう!汗とニオイのメカニズム

体臭対策を効果的に行うためには、まず汗とニオイが発生する仕組みを理解することが重要です。

「汗=臭い」と思われがちですが、実際には汗自体に強いニオイはありません。

体臭の主な原因は、汗をかいたあとに皮膚の常在菌が繁殖し、汗を分解する過程で発生するガスです。

そのため、汗をかくことそのものではなく「どこから出た汗か」「どのような状態の肌に残るか」がニオイの発生に大きく関わってきます。

ここからは、汗の役割や種類、汗腺の違い、ニオイが生まれるプロセスについて、順を追って詳しく見ていきましょう。

人が汗をかく理由って?

人間が汗をかく最大の理由は体温調節のためです。

体温が上昇すると、脳から交感神経に発汗の指示が出され、交感神経が汗腺を刺激して汗をつくります。

汗が皮膚表面で蒸発する際の気化熱により、体温を維持しています。

そのおかげで、人間は暑い日でも運動を続けることができるのです。

一方、緊張や不安を感じた際にも、交感神経の活性化によって精神性発汗が起こることがあります。

精神性発汗は手のひらや脇の下に集中して起こります。

エクリン腺とは?

エクリン腺は、全身に分布する汗腺で、その数はおよそ200〜500万個にもなります。

日常的にかく汗のほとんどはこのエクリン腺から出ており、体温調節が主な役割です。

1日に分泌される汗の量は、通常で約700〜900ml。暑い環境や運動時にはさらに増え、体温を効率的に下げる働きをします。

また、エクリン腺は体温調節だけでなく、緊張による精神性発汗や、辛いものを食べたときに出る味覚性発汗も関係があるものです。

エクリン腺から出る汗の成分は90%以上が水分で、残りは塩分やミネラル。無色透明でサラサラしており、基本的にニオイはありません。

アポクリン腺とは?

アポクリン腺は、脇の下や陰部など限られた部位にのみ存在する汗腺です。

こちらは精神性発汗と深く関わっており、緊張したときなどに分泌が活発になります。

アポクリン腺の汗には、たんぱく質や脂質、糖分、アンモニアなどが含まれており、少し白く濁ったベタつきのある汗です。

もともとはフェロモンとしての役割を担っていたと考えられています。

汗そのものにはニオイがほとんどありませんが、成分が菌のエサになりやすいため、皮膚上で菌が繁殖すると強いニオイが発生します

これが、いわゆるワキガの原因です。

「良い汗」と「悪い汗」の違いとは?

「良い汗」の特徴は、水に近い成分でサラサラしており、皮膚表面ですぐに蒸発することです。

汗に含まれるミネラルが少なく、舐めてもそれほど塩辛くありません。

一方「悪い汗」は汗腺の機能が低下した状態で分泌される汗で、ミネラルを多く含みます。

悪い汗はベタベタして蒸発しにくく、皮膚表面に長時間留まることで雑菌が繁殖しやすくなります。

良い汗と悪い汗を見分けるポイントは、汗をかいた後の肌のベタつき感です。

定期的な運動習慣により汗腺機能を向上させることで、良い汗をかけるようになるといわれています。

ニオイの本当の原因とは?

体臭の正体は、汗そのものではなく、汗と皮脂、垢などが混ざり合った状態で、皮膚常在菌がそれらを分解して発生するガスです。

エクリン腺・アポクリン腺いずれの汗もほぼ無臭ですが、特にアポクリン腺の汗には菌の栄養となる成分が多く含まれており、菌が繁殖しやすい環境をつくります

その結果、強いニオイが発生するのです。

また、アポクリン腺の数や大きさは遺伝の影響を受けるため、家族にワキガ体質の人がいると、同じ体質を引き継ぐ可能性が高いとされています。

デオドラントは体臭の根本的な解決にはならない

デオドラントは、汗のニオイを一時的に抑えるには有効です。

殺菌成分でニオイの原因菌を減らしたり、発汗を抑えたり、香りで体臭をマスキングするといった効果があります。

ただし、これらの作用はあくまでその場しのぎの対処法にすぎません。

デオドラントでは、汗腺そのものの働きや、汗の成分を変えることはできず、時間とともに効果は薄れていきます。

そのため、日中も塗り直しが必要になることが多いのです。

本質的な体臭対策には、生活習慣の見直しが欠かせません

たとえば、食生活やストレスのコントロール、運動による汗腺機能の改善などが、ニオイの出にくい体質づくりにつながります。

つまり、デオドラントは体臭ケアのサポートアイテムとして上手に活用しつつ、根本改善には日々の習慣からアプローチすることが大切です。

デオドラントの効果を引き出す正しい使い方と選び方

デオドラントの効果を最大限に引き出すためには、自分に合った製品を選び、正しく使うことが重要です。

市場には数多くのデオドラント製品が存在しますが、製品によって有効成分や特徴が異なります。

自分の肌質や生活スタイル、体臭の特徴を把握したうえで適切な製品を選び、正しい方法で使用することで、期待する効果を得ることができるでしょう。

自分に合ったデオドラントを選ぶポイント

デオドラントは、肌質や使用シーンに応じて選ぶことが大切です。

たとえば、敏感肌の方は、アルコールや化学成分を含まない天然由来成分のデオドラントを選ぶことで、肌への負担を抑えられるでしょう。

また、汗をかく量が多い人や長時間の外出や運動などで汗を多くかきそうなときは、効果が比較的長く続くスプレータイプやスティックタイプがおすすめです。

香りについては、香りが強すぎる製品には苦手な人がいたり、体臭と混ざってかえって不快なニオイになったりする可能性を考慮し、無香料や微香性を選ぶことをおすすめします。

デオドラントを効果的に使うためのコツ

デオドラントの効果を最大限に引き出すコツは、清潔で乾いた肌に使用することです。

入浴後、皮膚の水分を完全に拭き取ってから使いましょう。

その際、推奨される使用量を守り、薄く均一に塗布するのが基本です。

つけすぎてもムラになったり、衣類に残ったりするため注意が必要です。

また、効果を持続させるためには、汗をかいたらすぐ拭き取り、デオドラントを1日2回以上塗り直すことが大切です。

塗り直し回数の目安や持続時間などもパッケージに記載がある場合が多いため、よく確認しましょう。

体臭対策のためにデオドラントと併用すべき方法

体臭対策は、デオドラントだけでは限界があります。体臭は複合的な要因によって発生するため、多角的な対策を組み合わせることが重要なのです。

ここでは、デオドラントと併用して行いたい生活習慣の見直し方法を、5つの観点からご紹介します。

  • 食事改善やストレス管理
  • 定期的な体臭ケア
  • 天然素材の衣服にする
  • 日頃から汗をかくようにする
  • クリニック・医療機関を受診する

それぞれの対策について、詳しく見ていきましょう。

食事改善やストレス管理

食事は体臭に影響を与える場合があります。

たとえば、ニンニクやタマネギに含まれるアリシン、アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドなど、脂肪分の多い食べ物などは、ニオイの原因になります。

改善策として、抗酸化作用の高いビタミンCやE、ポリフェノールを含む野菜や果物を積極的に摂取しましょう。

たとえば、ビタミンCならバナナや赤ピーマンにキウイ、ビタミンEならアーモンドやアボカド、ポリフェノールならブルーベリーや緑茶などが代表的な食材です。

また、精神的なストレスがかかることによって、硫黄化合物のような特徴的なニオイの皮膚ガスが発生することも知られています。

趣味の時間を取ったり、瞑想やヨガなどのリラクゼーション方法を取り入れたりすることで、ストレスによるニオイを軽減する効果が期待できます。

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定期的な体臭ケア

デオドラントの効果を最大限に引き出すには、定期的な体臭ケアが重要です。

毎日の入浴やシャワーで、体臭の原因となる皮脂や古い角質、細菌を取り除きましょう。

特にデオドラントを使う前には、肌を清潔にすることで効果を高められます。

また、汗を吸収した衣類は雑菌の温床となるため、着替えも適切に行うことが大切です。

汗をかいた際は、すぐにタオルなどで拭き取ることで、雑菌の繁殖を防ぐことができます。

吸湿性・速乾性の高い衣類を選ぶ

皮膚表面での雑菌の繁殖を防ぐことは、ニオイの防止につながります。そのためには、吸湿性・速乾性に優れた衣類を選びましょう。

吸湿性の高い素材の服は、汗を吸って皮膚表面に汗が残ることを防いでくれます。

さらに速乾性が高い素材の服だと、湿気がこもりにくくなり、雑菌の繁殖抑制につながります。

また、蒸れを防ぐには締めつけの少ないゆったりとしたサイズの衣類を選ぶことも重要です。

日頃から汗をかくようにする

運動不足だったり冷房が効いた環境に長時間いたりすることで汗腺機能が低下すると、ミネラルの再吸収能力が衰え、ベタつく「悪い汗」をかきやすくなるとされています。

「悪い汗」はニオイの原因になりやすいため、体臭対策としては「良い汗」をかける体質づくりが欠かせません。

定期的に運動をしたりじっくり半身浴を行って汗をかくことで汗腺機能を向上させ「良い汗」をかけるようになりましょう。

運動は、ウォーキングやジョギングなど、自分に合ったものならなんでも構いません。半身浴は、37~38度程度のお湯に10~15分ほど浸かる方法がおすすめです。

クリニック・医療機関を受診する

デオドラントを使ったセルフケアや生活習慣の見直しでもニオイの改善が見られない場合は、専門医に相談するのもひとつの手です。

多汗症やワキガには治療法があるため、セルフケアでは改善しなかったお悩みも、クリニックを受診することで改善するかもしれません。

特にワキガのお悩みに関しては、傷跡が残らないボトックス注射やレーザー治療のほか、手術といった根本的な治療もあります。

一人で悩まず、医師に相談することも検討しましょう。

ニオイの原因を知って正しいデオドラントケアをしよう

「デオドラントに意味がない」と感じる背景には、製品と体質が合っていないこと、使用方法を誤っていることなどがあります。

また、デオドラントの効果は一時的なものであり、体臭を予防するにはデオドラントだけでなく生活習慣を改善することも大切です。

食事改善やストレス管理、日頃から汗をかくようにするなど、多角的なアプローチを組み合わせて体臭をケアしましょう。

デオドラントや生活習慣の見直しで改善が見られない場合は、専門医に相談することも選択肢のひとつです。

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