ハンドクリームとボディクリームの違いは?代用できる?専門家が使い分け方とおすすめ商品を解説
監修者情報

水谷 さなえ
美容ライター・編集者
東北大学大学院農学研究科にて生理学を学ぶ。在学中からモデル・マネージャーとして美の世界に携わり、大学院修了後は美容情報サイトの企画やディレクションに携わる。
現在は美容系メディアのライター・編集者として活動中。
◼︎資格
日本化粧品検定1級
生物科学修士
どうにかしたい!かかとガサガサ予防クリーム

ハンドクリームとボディクリームの違いとは?

ハンドクリームとボディクリームはどちらも「肌を保湿するクリーム」という点では同じように思えますが、目的や成分、使い心地には大きな違いがあります。
目的の違い|“保護する”か“うるおす”か
ハンドクリームとボディクリームの大きな違いは「何を目的に作られているか」です。
ハンドクリームは、手洗いや水仕事、摩擦などによる刺激から手肌を守る“バリア”としての役割が中心です。
手は日常的に外気や洗剤にさらされ、皮脂が失われやすい部分。
そのため、肌表面に膜を作って保護する設計になっています。
一方で、ボディクリームは全身の乾燥を防ぎ、潤いをキープすることが目的です。
保護よりも保湿やなめらかさを重視しており、伸びのよさや香りの心地よさも大きな特徴です。
成分の違い|油分と保湿成分のバランス
ハンドクリームとボディクリームは、配合されている成分にも大きな違いがあります。
ハンドクリームは、手肌を外的刺激から守るために油分が多めに配合されているものが多いです。
ワセリンやシリコン、ミツロウなどが代表的で、肌表面にしっかりと保護膜を作り、乾燥や摩擦を防ぐ仕組みです。
加えて、尿素やセラミドなどの保湿成分が肌の内側まで働きかけ、荒れた手を整えます。
一方、ボディクリームは水分と保湿成分のバランスを重視したつくりが多く、グリセリンやヒアルロン酸などを中心に配合している商品が多いです。
全身にのばしやすく、軽くてみずみずしい使用感に仕上げられています。
使用感・仕上がりの違い
ハンドクリームとボディクリームは、テクスチャーや仕上がりの印象にも大きな違いがあります。
ハンドクリームは油分が多く、やや重めの質感の商品が多くなっています。
塗った直後にしっとりとした保護膜を感じやすく、乾燥や刺激から手肌をしっかり守ってくれます。
ただし、長時間にわたって潤いが続く一方で、ベタつきを感じやすいことも。
近頃では「さらっとタイプ」や「速乾タイプ」など、シーンに合わせて選べるアイテムも増えています。
一方ボディクリームは、広範囲に塗りやすいなめらかなテクスチャーで、軽くのばすだけでスッと肌になじみ、ベタつきにくい商品が多いです。
香り付きのタイプも多く、使うたびに気分がリフレッシュできるのも魅力です。
ハンドクリームでボディケアしてもいい?

ボディクリームが手元にないときに「ハンドクリームで代用できるかも」と思う人は多いでしょう。
結論から言うと、ハンドクリームは一時的な保湿には使えるものの、全身ケアには不向きです。
ハンドクリームは手肌を外的刺激から守るため、油分が多く配合されています。
肌表面にしっかり膜ができるため、腕や脚など広い範囲に塗ると重たく感じたり、衣類にベタつきが残ったりしやすいのがデメリットです。
また、ハンドクリームは「保護」が目的の処方なので、肌への浸透力はそれほど高くありません。
ボディケアでは水分を補いながら潤いをキープすることが重要なため、吸収性に優れたボディクリームのほうが効果的です。
ただし、ひじやひざ、かかとなど乾燥がひどい部分に限定して使うのは問題ありません。
高い保護力を活かして集中保湿でき、硬くなった角質をやわらげるのに役立ちます。
ボディクリームを手に使うのはアリ?

ボディクリームをハンドクリーム代わりに使うのは、軽い保湿目的であれば問題ありませんが、手荒れ対策には向いていません。
ボディクリームは全身の潤いケアを目的としており、水分や保湿成分を中心に構成されています。
なめらかに伸びて広範囲に塗りやすい一方で、油分による保護膜が薄いため、水仕事やアルコール消毒を繰り返すとすぐに落ちてしまうのが特徴です。
そのため、手が少し乾いているときに“応急的な保湿”として使う分には役立ちますが、薬用ハンドクリームと異なり、ひび割れやあかぎれなどの深いダメージには十分な効果が期待できません。
専用のハンドクリームには、シリコンやワセリンなどの保護成分が多く含まれており、外部刺激から肌をしっかりガードして乾燥の悪化を防ぎます。
これにより、荒れた手肌の回復をサポートし、しっとり感を長く保つことができます。
肌悩み・生活スタイル別|どちらを選ぶべきか

肌の状態や生活習慣によって、ボディクリームとハンドクリームどちらを選ぶべきかは変わります。
ここでは、代表的な2つの悩みタイプに分けてどちらが適しているかを解説します。
水仕事をする人、手荒れ・ひび割れが気になる人
頻繁に手を洗ったり水仕事をする人には、ハンドクリームが欠かせません。
洗剤やアルコール消毒による刺激を受けやすいため、ワセリンやシリコンなど油分の多いタイプを選びましょう。
これらの成分が肌表面に膜を作り、水分の蒸発を防ぎながら外部の刺激から手肌を守ります。
すでに手荒れやひび割れが進行している場合は、尿素やセラミド配合のクリームを取り入れるのが効果的です。
角質をやわらげて潤いを補い、荒れた肌をなめらかに整えます。
また、日中と夜で使い分けるのもポイントになります。
外出前や仕事中はベタつきにくい軽めのテクスチャーを、就寝前はこっくりした高保湿タイプを選ぶと、手荒れの悪化を防ぎながらしっとりとした手肌を保てます。
全身の乾燥・粉ふきが気になる人
全身のカサつきや粉ふきが気になる人には、ボディクリームが向いています。
シアバターやホホバオイルなどの天然オイルを配合したものを選ぶと、肌をやわらかく整えながら、乾燥によるつっぱり感を防げます。
また、乾燥の度合いや季節によってテクスチャーを使い分けるのもおすすめです。
冬や暖房の効いた室内ではこっくりとした濃厚タイプを、春夏はベタつきにくいジェルクリームタイプを選ぶと快適に続けられます。
効果を高める正しい使い方
せっかく良いクリームを選んでも、塗り方が間違っていると十分な効果が得られません。
ここでは、ハンドクリームとボディクリームそれぞれの効果を最大限に引き出す塗り方を紹介します。
ハンドクリームの塗り方
ハンドクリームは、塗る順番とタイミングを意識することで効果が変わります。
まず、手の甲に適量をとり、両手を軽くこすり合わせながらあたためてなじませます。
あたためることでクリームがやわらかくなり、肌にスムーズに広がって浸透しやすくなります。
次に、指先や爪まわりまでしっかり塗り込みましょう。
特に爪の根元や関節部分は乾燥しやすいので、円を描くようにマッサージすると血行が促され、潤いが長持ちします。
塗るタイミングは1日3回が目安です。
手洗い後と外出前、就寝前の3回を習慣にすると、乾燥を防ぎながらしっとり感をキープできます。
夜は少し多めに塗り、綿の手袋を重ねると、翌朝にはなめらかな手触りを実感できるでしょう。
ボディクリームの塗り方
ボディクリームは、入浴後の“肌が少し湿っている状態”で塗るのが最も効果的です。
お風呂上がりは肌の水分が蒸発しやすいため、入浴後すぐにクリームをなじませることで潤いを逃さず閉じ込められます。
塗るタイミングは入浴後1分以内が理想です。
腕や脚は手のひら全体を使って大きくのばし、下から上へマッサージするように塗ると血流促進にもつながります。
乾燥しやすいひじやひざ、かかとには重ね塗りをして保湿力を高めましょう。
朝のケアではベタつきにくい軽めのタイプを、夜はこっくりした保湿力の高いタイプを使い分けるのもおすすめです。
おすすめハンドクリーム5選【用途別】

ハンドクリームと一口に言っても、重視したいポイントによって選ぶべきアイテムは変わります。
ここでは「手荒れケア」「軽いつけ心地」「香り」「エイジングケア」「コストパフォーマンス」の5つの用途別におすすめ商品を紹介します。
① さらっと軽いつけ心地を重視
ベタつきが苦手な人や、仕事中でもこまめにケアしたい人には、軽いジェルクリームタイプがぴったりです。
「アトリックス ビューティーチャージ」は、ヒアルロン酸やコラーゲンEXを配合し、潤いを与えながらも肌表面はサラッと快適な仕上がりです。
塗ってすぐにスマホやパソコンを操作できるほどの速乾性があり、オフィスでもストレスなく使えます。
香りや使用感が控えめなので、“仕事中のハンドケア”を求める人におすすめのアイテムです。
②手荒れ・ひび割れ対策を重視
手荒れやひび割れが気になる人には、医薬部外品の高保湿タイプがおすすめです。
なかでも「ユースキン」は、ビタミンEやグリチルレチン酸が炎症を抑え、ワセリンの皮膜が手肌を外的刺激から守ってくれます。
しっとりと濃厚な使い心地ながら、塗ったあとはベタつきにくく、すぐに家事に取りかかれるのも魅力。
乾燥やあかぎれが悪化しやすい冬場にも頼れる、“守る力”の強い定番ハンドクリームです。③ 香りを重視
ハンドケアを“癒しの時間”として楽しみたい人には、香りのよいハンドクリームが最適です。
「ロクシタン(L’OCCITANE) シア ハンドクリーム」は、シアバター由来の高い保湿力に加え、手元からふんわり広がる上品な香りが魅力です。
ローズやヴァーベナなど香りのバリエーションも豊富で、気分や季節に合わせて選べます。
乾燥ケアをしながら香りでもリラックスできるため、プレゼントや自分へのご褒美アイテムとしても人気のハンドクリームです。
④ エイジングケアを重視
年齢を重ねるとともに、手元のくすみや乾燥、小じわが気になりやすくなります。そのような人は、美容成分を豊富に配合したハンドクリームを選びましょう。
なかでも「ナノアミノ ハンドクリーム」は、コラーゲンやヒアルロン酸をナノ化して配合し、角質層のすみずみまで潤いを届けます。
さらに、紫外線ダメージやシミの原因にもアプローチできる処方で、乾燥によるエイジングサインを防ぎながら、明るくなめらかな手肌へ導きます。
保湿しながらエイジングケアを両立したい、30代から40代の大人の女性にぴったりのアイテムと言えるでしょう。
⑤ コストパフォーマンスを重視
価格と使い勝手のバランスを重視するなら、定番の「ニベアクリーム」がおすすめです。
グリセリンやワセリンなどの保湿成分が肌の水分をしっかり閉じ込め、乾燥を防ぎながらなめらかな質感を保ちます。
少量でもよく伸びるため、ハンドケアだけでなくひじやひざ、かかとなど全身の保湿にも使えます。
ドラッグストアで手軽に購入でき、家族みんなで使える汎用性の高さも人気の長年愛されるロングセラー商品です。
ハンドクリームとボディクリームの違いに関するよくある質問
ハンドクリームとボディクリームを混ぜて使ってもいい?
基本的には混ぜて使うのはおすすめできません。
ハンドクリームとボディクリームでは、油分と水分のバランスが異なるため、混ぜるとテクスチャーが不安定になり、保湿効果が中途半端になりやすいからです。
ハンドクリームは保護膜を作るために油分が多く、ボディクリームは潤い補給を重視して水分量が多め。性質の異なる2つを混ぜると、それぞれの長所が活かせなくなります。
保湿力を高めたいときは、混ぜるよりも重ね塗り(ボディクリームの後にハンドクリーム)の方が効果的です。
ハンドクリームとボディクリームは顔にも使える?
どちらも顔用には設計されていません。
ハンドクリームやボディクリームは香料・油分・防腐剤などが比較的多く含まれるため、顔に使うと刺激を感じたり、毛穴詰まりや吹き出物の原因になる可能性があります。
特に香り付きタイプや、こっくりとした高保湿タイプは皮脂バランスの崩れやすい顔には不向きです。乾燥が気になる場合は、敏感肌向けのフェイスクリームやオールインワンジェルを選ぶのが安心です。
ハンドクリームはどのくらいで使い切る?
ハンドクリームは、開封後およそ6ヶ月以内を目安に使い切るのが理想です。
空気に触れると酸化が進み、成分が変質して保湿力が落ちたり、肌に刺激を与える可能性があります。
また、色の変化やにおいの強まりを感じたら、すでに劣化が進んでいるサインです。衛生的に使うためにも、清潔な手で取り、キャップはしっかり閉めて保管しましょう。
衛生的に使うためにも、少量をこまめに塗る習慣をつけるのがおすすめです。常に新鮮な状態で使うことで、肌への負担を減らしながら効果的にケアできます。
ハンドクリームとボディクリームは用途に合わせて正しく使い分けよう

ハンドクリームとボディクリームは、どちらも保湿を目的としていますが、ハンドクリームは「守る」、ボディクリームは「潤いを与える」と、それぞれ役割が異なります。
手肌の荒れやひび割れが気になる人は油分が多く保護力の高いハンドクリームを、全身の乾燥や粉ふきが気になる人は伸びがよく浸透性に優れたボディクリームを選びましょう。
また、塗るタイミングや量など、正しい使い方を意識することで保湿効果は格段にアップします。
自分の肌の状態や生活スタイルに合ったアイテムを選び、毎日のケアを習慣にすることで、しっとりなめらかな肌をキープしていきましょう。







