蓄電池とは?太陽光と組み合わせる仕組みと導入すべきか判断するポイント
監修者情報

高橋 卓也
ソーラーパートナーズ総研 所長/一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)住宅部会 普及促進WGリーダー
太陽光発電アドバイザーとして累計15,000件以上の相談に対応。専門知識を活かしてコンテンツ制作にも携わるほか、業界団体において住宅用太陽光発電の普及に向けたセミナー講演などを多数行っている。
◼︎資格
特定非営利活動法人 日本住宅性能検査協会(内閣府認証)
・太陽光発電アドバイザー
・ペロブスカイト太陽電池アドバイザー
・蓄電池アドバイザー
一般社団法人 日本不動産仲裁機構(法務大臣認証ADR機関)
・不動産ADR
みんなが知りたい!節電につながる蓄電池

蓄電池とは?太陽光とセットで使われる理由をまず整理

蓄電池とは、家庭で使う電気をいったんためて、必要なタイミングで使えるようにする設備です。
電気を生み出す装置ではなく、太陽光発電などで発電した電気を無駄なく活用する役割を担います。
太陽光発電は、日中に多くの電気を発電できる一方で、夜間や天候が悪い日は発電できません。
そのため、太陽光だけを設置した場合、昼に使いきれなかった電気は売電します。
夜は電力会社から電気を買うという使い方が一般的でした。
しかし近年は、売電価格の低下や電気代の上昇を背景に、余った電気を売るよりも、発電した電気を自宅で使い切る「自家消費」が重視されるようになっています。
蓄電池を組み合わせることで、昼に発電した電気をため、夜や雨の日に使えるようになり、太陽光発電の価値をより高めることができます。
次に、太陽光発電と蓄電池を組み合わせた場合、電気がどのような流れで使われるのかを具体的に見ていきましょう。
太陽光発電+蓄電池の仕組み|電気はどう流れる?

太陽光発電と蓄電池の仕組みは複雑に見えますが、電気の流れ自体はシンプルです。
ポイントは、昼と夜で電気の使われ方が変わるということです。
昼間:太陽光で発電した電気の使い道
昼間に太陽光で発電した電気は、まず家庭内で消費されるのが基本です。
照明やエアコン、家電など、日中に使う電気を太陽光でまかなうことで、電力会社から購入する電気を減らせます。
次に、家庭内で使いきれなかった電気は蓄電池へ回されます。
蓄電池にためておくことで、夜間や天候が悪い時間帯にその電気を使えるようになります。
さらに、蓄電池が満充電になっている場合は、余った電気が電力会社へ売電されます。
このように昼間は「自家消費 → 蓄電 → 売電」の順で電気が使われる仕組みになっています。
夜・雨の日:蓄電池が活躍するタイミング
夜間や雨の日など、太陽光で発電できない時間帯には、昼間に蓄電池へためておいた電気を使うことで、電力会社から購入する電気を抑えることができます。
電気料金プランによっては、時間帯ごとに単価が異なる場合があります。
たとえば、深夜帯の電気代が比較的安いプランでは、安い時間帯の電気を蓄電池にため、単価が高くなりやすい時間帯に使うといった使い方も可能です。
こうした運用により、電気代の変動を受けにくくなります。
また、太陽光で発電した電気に加えて、系統電力を蓄電池にためておくことで、停電や災害時の備えとして活用できる点も特徴です。
蓄電池は、家庭の電気料金プランやライフスタイルに合わせて使い方を調整できる設備であり、太陽光発電をより柔軟に活かす役割を担います。
太陽光と蓄電池を組み合わせるメリット

太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、電気をつくるだけでなく、いつ、どの電気を使うかまで自分で調整できるようになります。
ここからは、太陽光と蓄電池を組み合わせることで得られる主なメリットを、3つに分けて整理します。
①電気代を抑えられる
太陽光と蓄電池を組み合わせる最大のメリットは、電力会社から購入する電気を減らせることです。
日中は太陽光で発電した電気をそのまま家庭で使い、使いきれなかった分を蓄電池にためておくことで、夜間に買う電気を抑えやすくなります。
近年は売電単価が下がっているため、余った電気を売るよりも、自宅で使い切るほうがメリットを実感しやすい状況です。
こうした使い方により、電気代の変動を受けにくくなり、長期的に家計を安定させやすくなります。
②停電・災害時でも電気が使える
蓄電池があれば、停電が起きた場合でも、あらかじめためておいた電気を使うことが可能です。
冷蔵庫や照明、スマートフォンの充電など、生活に欠かせない電気を確保しやすくなります。
蓄電池には、家全体に電気を供給できる「全負荷型」と、あらかじめ決めた機器だけに電気を送る「特定負荷型」があります。
あわせて、100V機器のみ対応か、100Vと200Vの両方に対応しているかも確認しておきたいポイントです。
一般的には、停電時に使うのは照明や冷蔵庫などの100V機器が中心ですが、家庭によっては200Vのエアコンを使いたいケースもあります。
一方で、エコキュートやIHなどの200V機器は、有事に必ず使う想定とは限りません。
どこまで電気を使いたいかによって、必要な給電方式や対応電圧は変わります。
いずれの場合も、非常時に「まったく電気が使えない状態」を避けられること自体が大きなメリットです。
日常の電気代対策に加え、防災の観点から蓄電池を検討する人が増えている理由の一つと言えるでしょう。
③将来の電気代・制度変更に備えられる
電気料金は今後も上昇する可能性があり、エネルギーに関する制度も将来どう変わるかは見通しにくい状況です。
こうした外部環境の変化に対して、家庭側でできる備えの一つが、太陽光と蓄電池を組み合わせた運用です。
発電した電気を自宅で使う割合を高めておくことで、電気代や制度変更の影響を受けにくくなります。
FIT制度が終了したあとも、蓄電池があれば自家消費を中心に運用できるため「売電に頼らない使い方」を続けやすくなります。
FIT制度とは、太陽光で発電した電気を一定期間、固定価格で電力会社が買い取る仕組みのことです。
さらに、EV(電気自動車)やV2Hといった設備とも相性が良く、将来的にエネルギーの使い方を広げやすい点もメリットです。
知っておきたいデメリットと注意点
太陽光と蓄電池には多くのメリットがありますが、すべての家庭にとって最適な設備とは限りません。
導入後に後悔しないためには、良い面だけでなく、どのような点で失敗しやすいのかを事前に理解しておくことが重要です。
まず、蓄電池は初期費用が安い設備ではありません。
本体価格に加えて設置工事費がかかるため、効果を実感できない場合、費用に対する不満が出やすい点には注意が必要です。
また、蓄電池の効果は家庭条件によって大きく左右されます。
電気使用量が少ない家庭や、日中に在宅して太陽光の電気をそのまま使える家庭では、蓄電池の必要性を感じにくいケースもあります。
さらに、生活スタイルに合わない容量や機能を選んでしまうと「思ったより使えない」と感じやすくなります。
価格やランキングだけで判断せず、自分の家に本当に必要かどうかを軸に判断することが重要です。
より詳しいデメリットや注意点については、以下の記事で解説しています。
太陽光+蓄電池が向いている家庭・向いていない家庭

太陽光と蓄電池は便利な設備ですが、導入効果の感じ方は、電気の使用量や使う時間帯、生活スタイルによって大きく変わります。
ここからは、太陽光と蓄電池が向いている家庭と、慎重に検討したほうがよいケースを整理します。
向いている家庭の特徴
太陽光と蓄電池は、日中に家を空ける時間が長い家庭と相性の良い設備です。
昼間に発電した電気をその場で使いきれなくても、蓄電池にためておくことで、夜に無駄なく使えるようになります。
また、電気使用量が比較的多い家庭ほど、電力会社から購入する電気を減らす効果を実感しやすくなります。
日常的にエアコンや家電の使用が多い場合、自家消費を増やすメリットが大きくなるものです。
さらに、停電や災害時に備えて電気を確保したいと考えているなど、防災意識が高い家庭にも向いています。
電気が使える安心感を重視する場合、蓄電池は有効な選択肢となるでしょう。
慎重に考えたほうがいいケース
一方で、電気使用量が少ない家庭では、蓄電池のメリットを実感しにくい場合があります。
発電した電気を十分に使えないと、導入費用に対する満足度が下がりやすくなります。
また「できるだけ早く元を取りたい」といった短期的な回収だけを重視する考え方とも、蓄電池は相性が良いとは言えません。
蓄電池は長期的に電気の使い方を安定させる設備なので、短期間での費用回収を目的にすると期待とズレが生じやすくなります。
さらに、設置スペースに制約がある場合や、屋内・屋外ともに機器の置き場所を確保しにくい場合も注意が必要です。
こうした条件に当てはまる場合は、次に紹介する判断ポイントを踏まえたうえで、導入するかどうかを慎重に検討するとよいでしょう。
蓄電池の導入前に必ず押さえたい判断ポイント

太陽光と蓄電池の導入は、価格だけで判断すると失敗しやすくなります。
満足度を左右するのは、家庭条件に合っているかどうかです。
まず重要なのが容量選びです。
容量が小さすぎると使える電気が限られ、大きすぎると費用に見合わなくなる可能性があります。
日々の電気使用量に加え、夜間や停電時にどの程度の電気を使いたいかを基準に考えることが大切です。
あわせて、保証内容や寿命も確認しておきましょう。
蓄電池は長期間使う設備のため、保証期間や保証範囲、故障時の対応を事前に把握しておくことで、安心して導入しやすくなります。
また、導入前には必ず複数社から見積もりを取り、価格だけでなく、提案される容量や設置方法、アフターサポートまで比較することが重要です。
蓄電池の容量の考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。
太陽光と蓄電池の導入費用と補助金の考え方

太陽光と蓄電池の導入には、設備本体の価格に加えて設置工事費がかかります。
決して安い買い物ではないため、費用面は事前にしっかり確認しておきたいポイントです。
その際に知っておきたいのが、国や自治体による補助金制度が用意されている場合があるという点です。
条件が合えば、初期費用の負担を抑えられる可能性があります。
一方で、補助金の内容や金額、対象条件は年度や地域によって異なり、常に利用できるとは限りません。
そのため、補助金を前提に導入を決めるのではなく、使えれば負担が軽くなる程度に考えるのが現実的です。
また、補助金には申請期限が設けられていることも多いため、検討時には必ず最新情報を確認する必要があります。
補助金の仕組みや詳細については、以下の関連記事もご覧ください。
まとめ|蓄電池と太陽光は「電気を自分でコントロールする選択」

太陽光発電は電気をつくる設備ですが、発電した電気を使い切れない場面もあります。
昼に余った電気をためて、夜や天候の悪い日に使えるようにすることで、その価値を高める役割を担うのが蓄電池です。
蓄電池があれば電気の自家消費が進み、電気代の抑制や停電時の安心につながる一方、初期費用や家庭条件による向き不向きがある点も押さえておく必要があります。
蓄電池が自分の家庭の生活スタイルや電気の使い方に合っているかを基準に判断しましょう。







