家庭用蓄電池の価格はいくら?相場・内訳・高くなる理由までわかりやすく解説
監修者情報

高橋 卓也
ソーラーパートナーズ総研 所長/一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)住宅部会 普及促進WGリーダー
太陽光発電アドバイザーとして累計15,000件以上の相談に対応。専門知識を活かしてコンテンツ制作にも携わるほか、業界団体において住宅用太陽光発電の普及に向けたセミナー講演などを多数行っている。
◼︎資格
特定非営利活動法人 日本住宅性能検査協会(内閣府認証)
・太陽光発電アドバイザー
・ペロブスカイト太陽電池アドバイザー
・蓄電池アドバイザー
一般社団法人 日本不動産仲裁機構(法務大臣認証ADR機関)
・不動産ADR
みんなが知りたい!節電につながる蓄電池

家庭用蓄電池に補助金は出る?まず全体像を整理

家庭用蓄電池には、国や自治体が実施する補助金制度があります。
まず軸として考えるべきなのは全国共通である国の補助金です。
国の制度は対象範囲が広く、導入判断に与える影響も大きくなります。
一方、自治体の補助金は地域ごとに条件や金額、受付期間が大きく異なります。
そのため、国の補助金を前提に検討しましょう。国の補助金を使え自治体の補助金もあった場合は、上乗せできる支援と捉えるのが現実的です。
なお、補助金は誰でも自動的にもらえるものではありません。
対象機種や申請時期、予算枠などの条件があり、契約や工事のタイミングを誤ると利用できない場合もあります。
補助金を確実に活用するためには、導入前の事前確認が欠かせません。
補助金は活用すべき?家庭用蓄電池の買い時
補助金があると聞くと「今すぐ導入したほうが得なのでは?」と感じるかもしれません。
ただし、家庭用蓄電池の“買い時”は、補助金だけで決まるものではありません。
まず代表的なタイミングが、太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)が終了するタイミング(卒FIT)です。
売電価格が大きく下がる卒FIT後は、電気を売るよりも自家消費したほうがメリットが出やすくなります。
そのため、卒FITをきっかけに蓄電池を検討し、補助金が使える年に合わせて導入する人は少なくありません。
次に多いのが、パワーコンディショナー(パワコン)の故障・交換時です。
太陽光発電を設置してから10〜15年ほど経つと、パワーコンディショナーの交換時期が近づきます。
このタイミングで蓄電池を同時に導入すると、工事をまとめられるケースもあり、結果的にコストや手間を抑えられることがあります。
また近年は、電気代の高騰や災害対策を理由に検討をはじめる家庭も増えています。
電気料金が上がり続ける中で「買う電気を減らしたい」と感じたときや、停電時でも最低限の電気を確保したいと考えたときは、補助金が使えるかどうかが導入判断の後押しになるでしょう。
国が実施する家庭用蓄電池の主な補助金制度

家庭用蓄電池に関係する国の補助金は、数多くあるわけではありません。
実際に一般家庭の導入に直接関係してくる制度は、目的や対象条件がはっきり分かれた、限られたものに絞られます。
ここでは、家庭用蓄電池を検討する際に特に押さえておきたい、代表的な2つの国の補助金制度を整理します。
DR補助金
「DR補助金」は、電力の需給バランスを安定させることを目的とした国の補助金制度です。
家庭用蓄電池を活用し、電力需要がひっ迫したタイミングで放電などに協力することを前提に、導入費用の一部が支援されます。
この制度の大きな特徴は、以下があらかじめ国によって指定されている点にあります。
- 補助金の対象となる蓄電池の機種・メーカー
- 申請を行う販売・施工事業者
そのため、対象機種を選び、DR補助金に対応した事業者を通じて導入すれば、特別な資格が求められるわけではなく、条件に合えば一般家庭でも利用しやすい制度と言えます。
補助額は、蓄電池の容量や年度ごとの予算枠によって異なります。
また、予算に達すると受付が終了するため、導入を検討する際は、その時点での最新条件や受付状況を事前に確認することが重要です。
DR補助金の詳細
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助金の目的 | 電力需給がひっ迫した際に、家庭用蓄電池を活用して需給調整(デマンドレスポンス)に協力してもらうための国の支援制度 |
| 補助金額の考え方 | ① 初期実効容量 × 3.7万円/kWh(※評価要件を満たす場合は加算あり) ② 補助対象経費(設備費+工事費)の1/3 ③ 上限額※上記3つのうち、最も低い金額が補助額として適用される |
| 補助上限額 | 1申請につき最大60万円(年度・予算枠による) |
| 補助対象経費 | 蓄電池本体、パワーコンディショナー、設置・据付工事費など |
| 対象となる蓄電池 | 国(環境共創イニシアチブ/SII)に登録されたDR対応の蓄電池 |
| 主な要件 | 補助対象経費(設備費+工事費)が1kWhあたり税抜13.5万円以下であること |
| 対象者 | 国内の個人、法人、個人事業主で対象蓄電池の新規導入者 |
| 申請方法 | 販売・施工事業者が代理で申請(個人による直接申請は不可) |
| 契約・工事のタイミング | 補助金の交付決定後に契約・工事を行う必要あり(交付決定前は対象外) |
| 注意点 | 予算上限に達し次第受付終了。人気が高く、年度途中で締め切られることが多い※2025年度はすでに終了済み |
DR補助金は補助額が大きい一方で、対象機種や導入条件が細かく決められています。
「あとから条件を知って対象外だった」というケースを防ぐためにも、対応実績のある事業者に対象機種や申請可否、受付状況を事前に確認しましょう。
子育てグリーン住宅支援事業
「子育てグリーン住宅支援事業」は、省エネ性能の高い住宅の普及を目的とした国の補助制度です。
主な対象は、新築住宅や一定の省エネ基準を満たす断熱改修などのリフォーム工事となります。
この制度では、新築や大規模リフォームとあわせて住宅全体の省エネ性能を高める取り組みを行う場合に、蓄電池が補助対象に含まれるケースがあります。
太陽光発電や断熱改修などと組み合わせ、住宅のエネルギー効率を底上げすることが前提です。
一方で、既存住宅に蓄電池を後付けするだけの目的では、対象外となることがほとんどです。
あくまで「住宅そのものの省エネ化」が主であり、蓄電池は付随的な設備として評価される制度だと理解しておくとよいでしょう。
子育てグリーン住宅支援事業の詳細
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度の目的 | 省エネ性能の高い住宅の新築・リフォームを促進し、家庭部門のCO₂排出削減等につなげる国の支援制度 |
| 主な対象 | 住宅の新築(GX志向型住宅/長期優良住宅/ZEH水準住宅)および、省エネ化を含む幅広い住宅リフォーム |
| 対象世帯 | ・子育て世帯:申請時点で18歳未満の子どもがいる世帯 ・若者夫婦世帯:申請時点で夫婦のいずれかが39歳以下の世帯ただし「GX志向型住宅」の新築に対する補助金制度は、すべての世帯が対象になる。 |
| 蓄電池の扱い | 住宅の省エネ化に資する設備(エコ住宅設備)として、ほかの省エネ関連工事・設備とセットで補助対象になり得る |
| 蓄電池の補助額 | 64,000円/戸 |
| 単体導入の可否 | 蓄電池だけの後付け目的では対象外になりやすい |
| 申請方法 | 登録された住宅省エネ支援事業者(ハウスメーカー・工務店等)が申請。一般消費者の申請は不可 |
| 注意点 | 住宅性能要件・工事内容・事業者登録の有無を事前に確認する必要あり |
子育てグリーン住宅支援事業は、蓄電池の補助額自体は大きくありませんが、新築や断熱改修などと同時に進める場合、住宅全体の補助額を押し上げられる点がメリットです。
国の補助金を使う際の共通ルールと注意点
国の補助金は制度ごとに条件は異なりますが、共通して押さえておくべきポイントがあります。
まず最も重要なのが、交付決定前に契約や工事を行うと補助対象外になる点です。
見積もり取得や事前相談までは問題ありませんが、契約や着工は必ず交付決定後に行う必要があります。
次に、申請は原則として事業者経由で行われます。
販売店や施工会社が申請を担うため、補助金対応の実績がある事業者かどうかを事前に確認しておくと安心です。
また、国の補助金は予算上限に達し次第、期限前でも受付終了となるケースが少なくありません。
「検討中のうちに締め切られた」という事態を避けるためにも、利用を考えている場合は早めの行動が重要です。
都道府県・市区町村の自治体補助金の特徴

家庭用蓄電池には、国の補助金とは別に、都道府県や市区町村が独自に実施している自治体補助金があります。
多くの場合、国の補助金に上乗せする形で使える点が特徴です。
一方で、自治体補助金は地域差が非常に大きい点に注意が必要です。
補助額や対象条件、申請方法は自治体ごとに異なり、金額も数万円程度から比較的高額になるケースまで幅があります。
また、予算枠が限られており、先着順で年度途中に受付終了する自治体が多いのも特徴です。
申請期限が残っていても、予算がなくなれば利用できないことがあります。
こうした特性から、自治体補助金は国の補助金より優先度は低めに考えるのが現実的です。
まずは国の補助金が使えるかを確認し、そのうえで「使えればより良い上乗せ支援」として自治体補助金をチェックすると、判断を誤りにくくなります。
国と自治体の補助金は併用できる?

家庭用蓄電池の補助金は、国と自治体を併用できるケースが多いのが実情です。
国の補助金を軸に、自治体の補助金が上乗せされる形になれば、自己負担をさらに抑えられます。
ただし、すべてのケースで併用できるわけではありません。
同じ設備・同じ費用に対して複数の補助金を受け取る「重複補助」は原則禁止されており、その扱いは自治体ごとに異なります。
そのため「国の補助金が使える=自治体の補助金も必ず使える」とは限りません。
最終的な可否や条件は、自治体ごとの要綱を確認する必要があります。
併用でよくある勘違いと注意点
補助金の併用で特に多いのが、国の補助金を使うと、自治体の補助金が使えなくなる場合があることを知らずに進めてしまうケースです。
自治体によっては、国補助との併用を認めていなかったり、補助対象となる経費を分けて申請する必要があったりします。
また、同一の設備や工事費に対して、国と自治体の両方から補助を受けることは原則できません。
このルールを理解せずに申請すると、不支給や補助額の減額につながるリスクがあります。
こうしたトラブルを防ぐためには、契約前に次の点を必ず確認しておくことが重要です。
- 国の補助金の申請条件
- 自治体補助金の併用可否
- 補助対象となる経費の範囲
事前確認を怠ると「条件は満たしていたのに補助金が使えなかった」という結果になりかねません。
補助金の併用はメリットが大きいですが、確認不足がそのまま失敗につながりやすいポイントでもあります。
必ずルールを整理したうえで進めるようにしましょう。
自分はどの補助金が使える?判断ステップ

家庭用蓄電池の補助金は、条件に合えば使える制度であるため、確認する順番を間違えないことが重要になります。
判断は、次の3ステップで整理するとスムーズです。
① 住宅タイプを確認する
新築か既存住宅への後付けか、リフォームと同時導入かによって、使える補助金は大きく変わります。
特に国の住宅系補助金は、住宅条件が前提になるため、最初に確認しておきましょう。
② 蓄電池が補助対象機種か確認する
DR補助金などでは、対象となる機種や性能があらかじめ決められています。
価格や容量だけで選ぶと、補助金が使えない場合があるため注意が必要です。
③ 自治体補助金の有無を確認する
自治体補助金は地域ごとに内容や受付状況が異なります。
国の補助金を軸に考え、使える場合は上乗せで活用できるかをチェックしましょう。
この順番で確認すれば「補助金があると思っていたのに使えなかった」といった失敗を防ぎやすくなります。
補助金ありきで蓄電池を選ぶと失敗しやすい理由

補助金は家庭用蓄電池の導入を後押ししてくれる制度ですが、補助金を前提に選んでしまうと失敗につながることがあります。
まず、補助金は毎年必ず実施されるとは限りません。
制度内容や条件は年度ごとに変わり、予算縮小や早期終了も珍しくありません。
「来年もあるはず」と考えていると、導入のタイミングを逃すことがあります。
次に、補助金の対象となる機種や性能が限定されるケースがあります。
補助金を優先するあまり、家庭の電気使用量や目的に合わない蓄電池を選ぶと、使い勝手や費用対効果に不満が残りやすくなります。
また、補助金が出ても高額な蓄電池ほど回収が難しくなる場合があります。
初期費用が一部下がったとしても、価格差が大きければ、電気代削減だけで元を取るのは簡単ではありません。
補助金はあくまで判断材料の一つです。
「補助金はいくら出るか」よりも「自分の家庭に必要な容量か」「長期的に納得できるか」を基準に選ぶことが、後悔しない蓄電池選びにつながります。
まとめ|補助金はあくまで「判断材料の一つ」として使おう

家庭用蓄電池には国や自治体の補助金制度がありますが、仕組みは決して単純ではありません。
国と自治体では条件や申請ルールが異なり、タイミングや対象機種を誤ると、想定していた支援を受けられないこともあります。
そのため、まずは全国共通で影響の大きい国の補助金を軸に考え、自治体の補助金は使えれば上乗せとして確認するという順番が重要です。
あわせて、補助金の有無だけで判断せず、自宅の条件や導入目的、電気の使い方に合った容量や性能かを冷静に見極める必要があります。
補助金は導入を後押しする手段であって、目的ではありません。
価格や将来の使い方まで含めて総合的に考え、自分の家庭にとって納得できる選択をしましょう。







