蓄電池の容量は何kWhが最適?家庭別の目安と失敗しない選び方
監修者情報

高橋 卓也
ソーラーパートナーズ総研 所長/一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)住宅部会 普及促進WGリーダー
太陽光発電アドバイザーとして累計15,000件以上の相談に対応。専門知識を活かしてコンテンツ制作にも携わるほか、業界団体において住宅用太陽光発電の普及に向けたセミナー講演などを多数行っている。
◼︎資格
特定非営利活動法人 日本住宅性能検査協会(内閣府認証)
・太陽光発電アドバイザー
・ペロブスカイト太陽電池アドバイザー
・蓄電池アドバイザー
一般社団法人 日本不動産仲裁機構(法務大臣認証ADR機関)
・不動産ADR
みんなが知りたい!節電につながる蓄電池

蓄電池の容量とは?まず押さえるべき基本

蓄電池の容量とは、どれだけ電気をためられるかを示す数値です。単位は「kWh(キロワットアワー)」であらわされ、容量が大きいほど長く電気を使えるようになります。
たとえば、5kWhの蓄電池があれば、1kWの電力を5時間使い続けられる計算です。
実際には、使う家電の消費電力によって使える時間は変わりますが、容量が大きいほど多くの電気をためられ、長い時間使えます。
容量選びで失敗しないためには、まずこの基本を押さえておくことが重要です。
次に、カタログに記載されている容量の表記について、理解を深めておきましょう。
定格容量と実効容量の違い
蓄電池のカタログを見ると、容量の表記には定格容量と実効容量の2種類があることに気づくでしょう。
定格容量は、蓄電池が理論上ためられる最大の電気量を示す数値です。
一方、実効容量は、実際に使える電気量をあらわします。
蓄電池は充電や放電の際にロスが発生するため、定格容量の80〜90%程度が実効容量になることが一般的です。
たとえば、定格容量が10kWhの蓄電池でも、実効容量は8〜9kWh程度になるケースが多いです。
容量選びをする際は、カタログの定格容量だけで判断せず、実効容量を確認することが重要になります。
ロスを考慮しないと「思ったより使えない」と感じる原因になります。
容量を決める① 家庭タイプ別の目安から考える

蓄電池の容量を検討する際は、まず家庭タイプ別の目安を把握することからはじめましょう。
一般的な戸建て家庭では、5〜10kWh前後の容量が選ばれるケースが多く、この範囲をベースに検討すると全体像をつかみやすくなります。
ただし、この数値はあくまで「よくある例」にすぎません。実際には、家族構成や電気の使い方によって必要な容量は変わります。
平均値だけを見て鵜呑みにするのではなく、自分の家庭の使い方に当てはめて考えることが重要です。
ここではまず、世帯人数ごとの容量目安を整理し、そのうえで電気使用量が多い家庭・少ない家庭では考え方がどう変わるのかを見ていきましょう。
世帯人数別の容量目安
世帯人数は、必要な蓄電池容量を判断する際の重要な指標の一つ。
一般的な目安は以下の通りです。
- 1〜2人世帯:5〜7kWh
- 3〜4人世帯:7〜10kWh
- 5人以上:10kWh以上
ただし、これはあくまで目安です。
同じ世帯人数でも、生活スタイルや使う家電によって必要な容量は変わります。
在宅勤務が多い家庭やオール電化の家庭では、より大きな容量が必要になるケースも少なくありません。
電気使用量が多い家庭・少ない家庭の考え方
同じ世帯人数でも、電気の使い方によって必要な容量は大きく変わります。特に影響が大きいのが、オール電化かどうかという点です。
オール電化の家庭は、IHクッキングヒーターやエアコン、給湯器など、消費電力が大きい家電を使うため、一般的に容量を大きめに選ぶ必要があります。
特に夜間の電気使用量が多い場合は、昼間にためた電気を夜まで持ち越すために、ある程度の容量が必要です。
一方、ガス併用の家庭は、調理や給湯にガスを使うため、電気使用量が比較的少なくなりがちです。
そのため、やや小さめの容量でも対応できるケースがあります。
ただし、停電時にどの家電を使いたいかによっても必要な容量は変わります。
夜間使用量だけでなく、停電時の使い方も考慮して容量を決めることが重要です。
容量を決める② 停電時に使いたい家電から逆算する

蓄電池の容量選びでは、停電時に使いたい家電から逆算する方法も有効です。
使いたい家電を洗い出し、「消費電力×使用時間」で計算することで、必要な容量の目安を把握できます。
合計kWhが「最低限必要な容量」の目安になります。
この方法なら、自分の生活スタイルに合わせた具体的な容量を判断しやすくなります。
最低限使いたい家電の例
停電対策を目的に蓄電池を導入する場合、最低限使いたい家電を洗い出すことからはじめましょう。
一般的には、以下のような家電があげられます。
- 冷蔵庫:食品を保存するために必要
- 照明:暗い時間帯の生活に欠かせない
- スマートフォンの充電:情報収集や連絡手段として重要
- Wi-Fiルーター:インターネット接続に必要
- テレビ:情報収集や娯楽として
- エアコン:季節によっては必須(特に夏場や冬場)
これらの家電をすべて同時に使うわけではなく、時間帯によって使い分ける想定で計算すると、より現実的な容量を導き出せます。
消費電力と使用時間から考える簡易容量計算
家電の消費電力と使用時間から、必要な容量を計算する方法を紹介します。
まず、使いたい家電の消費電力(W)をkWに換算します。たとえば、消費電力が200Wの家電は0.2kWです。
次に、その家電を何時間使いたいかを掛け合わせます。
消費電力(kW) × 使用時間(h) = 必要電力量(kWh)
これを家電ごとに計算し、すべて合計した数値が、停電時に最低限必要な容量の目安になります。
たとえば 、以下のような計算になります。
- 冷蔵庫(0.2kW)× 24時間 = 4.8kWh
- 照明(0.1kW)× 8時間 = 0.8kWh
- スマートフォン充電(0.01kW)× 3時間 = 0.03kWh
- Wi-Fiルーター(0.01kW)× 12時間 = 0.12kWh
- エアコン(1.0kW)× 8時間 = 8.0kWh
合計すると約13.7kWhになりますが、ここで算出した容量は、あくまで最低限のラインです。
この数値をもとに、次の章では「何を目的に蓄電池を使いたいか」という視点から、最終的な容量レンジを考えていきます。
容量を決める③ 目的別に最適な容量レンジを選ぶ

家庭タイプ別の目安や、停電時に使いたい家電からの逆算で、ある程度の容量感は見えてきたはずです。
最後に重要なのが、蓄電池を「何のために使いたいのか」という目的を明確にすることです。
蓄電池の容量に「絶対的な正解」はありません。
停電対策を重視するのか、太陽光の電気を無駄なく使いたいのか、あるいは日常的な安心感を優先したいのかによって、選ぶべき容量レンジは変わります。
ここでは代表的な目的別に、考え方の目安を整理します。
最低限の停電対策が目的の場合
主な目的が「停電時に最低限の生活を維持すること」であれば、5kWh前後がひとつの目安になります。
この場合の前提は、冷蔵庫や照明、スマートフォン充電など、重要度の高い家電だけを動かすという考え方です。
通常時と同じ生活を想定するのではなく「困らないレベル」を確保するイメージになります。
容量を抑えられるので、初期費用を抑えやすくなります。
「まずは防災目的で導入したい」「大規模な設備は不要」という家庭に向いています。
太陽光の自家消費を増やしたい場合
太陽光発電を設置しており、昼に発電した電気をできるだけ無駄なく使いたい場合は、7〜10kWh程度が検討しやすい容量レンジです。
この容量帯であれば、日中に余った電気を蓄電池にため、夜間の照明や家電に回すといった使い方がしやすくなります。
売電に頼らず、自家消費を増やすことで、電気代削減効果を実感しやすい点がメリットです。
停電対策と日常利用の両方をバランスよく考えたい家庭では、このレンジが現実的な落としどころになるケースが多く見られます。
在宅勤務・日中利用が多い家庭の場合
在宅勤務が中心で日中も電気を使う時間が長い家庭や、昼夜を通して電力を安定的に確保したい場合は、10kWh以上も選択肢に入るでしょう。
容量に余裕があれば、停電時でも使える家電の幅が広がり、日常生活でも「電気を気にせず使える」という安心感が得られます。
その反面、容量が大きくなるほど初期費用も上がるため、安心感をどこまで重視するかが判断のポイントです。
「電気が止まる不安をできるだけ減らしたい」「在宅時間が長く、電気の使用量も多い」という家庭では、余裕を持った容量設計が向いています。
容量選びでよくある失敗パターン

蓄電池の容量選びでは、よくある失敗パターンを事前に知っておくことで、後悔を避けやすくなります。
特に多い失敗として、容量が足りず使いたい家電が動かせないケースがあります。
停電時にエアコンを使いたいのに容量が足りない、といった状況は避けたいものです。
また、容量だけを基準に決めてしまい、出力性能(kW)や保証内容を十分に確認していないことも少なくありません。
容量が大きくても、出力が足りなければ同時に使える家電は限られますし、保証条件を見落とすと、想定より早く性能低下を感じる原因になります。
さらに、補助金や価格だけで過剰容量を選んでしまうケースもあります。
補助金が大きいから、あるいは価格が安いからという理由だけで容量を決めると、後で「もう少し小さくてもよかった」と感じる可能性も出てくるものです。
補助金は判断材料のひとつですが、容量選びの基準にしてしまうと、本来の目的とズレやすくなります。
補助金制度の考え方や注意点については、以下の関連記事で詳しく解説しています。
関連記事:L203_蓄電池 家庭用 補助金
家庭用蓄電池の容量はどう選ぶ?選び方のアプローチ

家庭用蓄電池の容量選びには、いくつかのアプローチがあります。
ここからは、具体的な選び方のポイントを整理します。
- 家電の消費電力量で選ぶ
- 停電時を前提に考える
- 設置場所の都合で選ぶ
- 太陽光発電システムの容量で選ぶ
- SOC(State Of Charge/残蓄電量)の容量で選ぶ
それぞれの選び方について、詳しく見ていきましょう。
家電の消費電力量で選ぶ
前述の通り、蓄電池の容量はまず、実際に使う家電の消費電力量を基準に考えるのが基本です。
冷蔵庫や照明だけでなく、電子レンジやエアコンなど消費電力の大きい家電をどこまで使いたいかによって、必要な容量は変わります。
特に注意したいのは、複数の家電を同時に使う場面です。
個別の消費電力だけでなく、同時使用時の合計電力量を意識することで「容量はあるのに使えない」といったズレを防ぎやすくなります。
停電時を前提に考える
停電を前提に容量を考える場合は、普段どおりの生活を想定しないことが重要です。
すべての家電を動かそうとすると、必要な容量が大きくなり現実的ではありません。
まずは、停電時でも使えないと困る家電を絞り込みます。
冷蔵庫や照明、スマートフォンの充電、通信機器などが基本になり、季節によってはエアコンを含めるかどうかを考えます。
あわせて「何時間使えれば安心か」という使用時間の目安を決めることで、必要な容量が見えやすくなります。
停電時は使う家電と時間を限定して考えることが、無理のない容量選びにつながります。
設置場所の都合で選ぶ
蓄電池には、屋内専用・屋外専用・屋内外兼用の3種類があり、設置場所に応じて選ぶ必要があります。
希望する設置場所に対応した種類から、蓄電容量を検討することが重要です。
設置スペースなどの設置環境によって容量に制約が生じるケースもあります。
たとえば 、屋内に設置する場合は、設置スペースが限られるため、容量の選択肢が狭まる可能性があります。
太陽光発電システムの容量で選ぶ
太陽光発電と蓄電池を組み合わせる場合は、発電量に対して蓄電容量が足りているかを意識することが重要です。
容量が小さすぎると、昼間に発電した電気をためきれず、太陽光を十分に活かせません。
また、停電時にどの家電を使いたいかによっても、必要な容量は変わります。
エアコンやIHクッキングヒーターなどを使う場合は、200V対応の蓄電池が必要です。
さらに、停電時に電気を使いたい範囲が一部の部屋なのか、家全体なのかによっても、適した容量や構成は異なります。
太陽光の発電量と、停電時の使い方をあわせて考えることで、無駄のない容量選びにつながります。
SOC(State Of Charge/残蓄電量)の容量で選ぶ
蓄電池は、表示されている容量のすべてを使えるわけではありません。
多くの機種では、バッテリーを長持ちさせるためにSOC(残蓄電量)の下限値が設定されており、残量が一定以下になると放電が自動で止まります。
たとえば、SOCの下限が10%に設定されている場合、10kWhの蓄電池であっても、実際に使えるのは約9kWhまでになります。
さらに、変換ロスなども考慮すると、体感できる使用可能量はもう少し少なくなるケースもあります。
そのため、停電時に「〇kWh使えれば安心」と考えている場合は、SOCの設定を前提に、実際に使える容量から逆算することが大切です。
容量と必ずセットで確認すべきポイント

蓄電池の容量選びでは、容量だけでなく、容量と必ずセットで確認すべきポイントがあります。
まず、出力性能で使える家電が変わる点に注意が必要です。
容量が大きくても、出力が小さければ、エアコンやIHクッキングヒーターなど、消費電力が大きい家電が動かせない可能性があります。
また、寿命と保証条件も重要です。
蓄電池は使用年数が経つと容量が減っていくため、保証期間や寿命を確認しておくことが大切になります。
さらに、価格と補助金のバランスを見ることも重要です。
補助金が大きいからといって過剰容量を選ぶのではなく、自分の使い方に合った容量を選ぶことが大切です。
蓄電池の寿命については、以下の関連記事でより詳しく解説しています。
関連記事:L206_家庭用蓄電池 寿命
まとめ|蓄電池の容量は「使い方」から逆算する

蓄電池の容量選びにおいて、正解の容量は家庭ごとに異なります。
一般的な目安と計算の両方で判断することで、より自分に合った容量を選びやすくなります。
迷ったら、目的別に整理することがおすすめです。
停電対策が目的なのか、自家消費を増やしたいのか、在宅勤務で日中も電気を使うのか、といった目的を明確にすることで、適切な容量レンジが見えてきます。
蓄電池の容量は「使い方」から逆算することを意識し、自分の生活スタイルや目的に合わせて選ぶことが、失敗しない選び方のポイントです。







