マンションで家庭用蓄電池は使える?設置パターン別の選択肢と注意点を整理

マンションで家庭用蓄電池は使える?設置パターン別の選択肢と注意点を整理

監修者情報

高橋 卓也

高橋 卓也

ソーラーパートナーズ総研 所長/一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)住宅部会 普及促進WGリーダー

太陽光発電アドバイザーとして累計15,000件以上の相談に対応。専門知識を活かしてコンテンツ制作にも携わるほか、業界団体において住宅用太陽光発電の普及に向けたセミナー講演などを多数行っている。

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◼︎資格
特定非営利活動法人 日本住宅性能検査協会(内閣府認証)
・太陽光発電アドバイザー
・ペロブスカイト太陽電池アドバイザー
・蓄電池アドバイザー

一般社団法人 日本不動産仲裁機構(法務大臣認証ADR機関)
・不動産ADR

災害による停電リスクが気になるようになり「家庭用蓄電池を用意しておいたほうがいいのかな」と感じる人は増えています。

一方で、マンションに住んでいる場合「そもそも設置できるのか」「規約違反にならないか」「ご近所トラブルにつながらないか」など、心配ごとも多いでしょう。

この記事では、マンションでも家庭用蓄電池を使うための主な設置パターンと、それぞれの特徴や制約、向いている人のイメージを整理して紹介します。

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結論:マンションでも家庭用蓄電池は使えるが、選択肢は限られる

結論から言うと、マンションでも家庭用蓄電池を使うことは可能です。

ただし、戸建てと同じ感覚で導入できるわけではなく、選択肢はかなり限られます

戸建てのように、屋外に大きな蓄電池を設置して太陽光発電とセットで運用するパターンは、マンションでは基本的に難しいです。

設置スペースの制約や、管理規約・消防法といったルールが関わってくるためです。

その一方で、専有部分の室内で使えるポータブル蓄電池や小型の定置型蓄電池、マンション全体で導入する共用部の大容量システムなど、マンションならではの方法もあります。

大切なのは「マンションだから何もできない」とあきらめてしまうのではなく、自分の住んでいるマンションで現実的な選択肢はどれかを整理したうえで検討することです。

蓄電池の基本や役割については、以下の関連記事をご覧ください。

マンション向け家庭用蓄電池の3つの設置パターン

マンションで家庭用蓄電池を考えるときは、まず設置パターンごとの特徴を知っておくことが大切です。

マンション向けの家庭用蓄電池は、主に次の3つに分けられます。

  • 専有部ポータブル電源(持ち運びできるタイプ)
  • 専有部小型定置型(室内やベランダに据え置くタイプ)
  • 共用部大容量システム(マンション全体で導入するタイプ)

ここからは、それぞれのパターンについて、メリットや注意点を見ていきましょう。

専有部ポータブル電源|いちばん現実的な選択肢

専有部ポータブル電源は、工事不要でコンセントから充電して使える蓄電池です。

持ち運びできるサイズで、災害時の非常用電源として使われることが多いタイプです。

  • 工事がいらないため、管理規約のハードルが低い
  • 停電時に、照明・スマートフォン充電・小型家電などに電気を回せる
  • 使わないときはクローゼットなどにしまっておける

一方で、容量はあくまで非常用が中心です。

冷蔵庫やエアコンを長時間動かしたり、家全体の電力をまかなったりする用途には向いていません。

あくまで「停電したときに、最低限の電気をしばらく確保する」イメージで考えるとよいでしょう。

専有部小型定置型|設置できるが制約が多い

専有部小型定置型は、室内やベランダなどに固定して設置するタイプの蓄電池です。

ポータブル電源よりも容量が大きく、ある程度まとまった時間、家電を動かすことができます。

  • 室内の一角やベランダに据え置きで設置するケースが多い
  • ポータブル電源よりも容量が大きく、使える家電の幅が広がる
  • 停電対策とあわせて、日常の電気代対策にいかす使い方も検討できる

ただし、マンションで小型定置型を導入する場合は、管理規約と消防法の確認が必須です。

ベランダは共用部扱いになることが多く、勝手に固定物を置けないルールになっているケースも少なくありません。

また、室内に設置する場合でも、重量や配線ルート、安全性に関する規定がある可能性があります。

導入前には、管理組合や管理会社に必ず相談し、許可を得てから検討することが重要です。

共用部大容量システム|個人判断では導入不可

共用部大容量システムは、マンション全体で導入するタイプの大きな蓄電池です。

災害時にエレベーターや共用照明を動かしたり、共用スペースの非常用電源として使うことを目的としています。

  • マンション全体の防災力を高めることができる
  • 非常時に共用部の電気を確保しやすくなる
  • 自治体の補助金などが活用できる場合もある

一方で、このタイプは個人の判断だけでは導入できません

管理組合が主体となって検討し、総会での承認や資金計画などをふくめた合意形成が必要です。

そのため「自分の部屋に蓄電池を置きたい」というニーズと性質は異なりますが、そのマンションがどれだけ防災対策に力を入れているかを知る一つの目安にはなります。

3パターンを比較|用途・容量・費用・手続きの違い

ここまで紹介した3つのパターンは、用途や容量、費用、必要な手続きが大きく異なります。

自分のマンションで現実的な選択肢を考えるときには、以下のような表で比較してみると整理しやすくなります。

設置パターン主な用途容量の目安費用感工事の有無手続きの難易度向いている人
専有部ポータブル電源非常用・停電対策小〜中(数百Wh〜数kWh)数万円〜数十万円不要低い(専有部内で完結)手軽に停電対策をしたい人
専有部小型定置型停電対策+日常の電気代対策中(数kWh前後)数十万〜100万円超必要(配線・固定工事など)中〜高(管理規約・消防法の確認が必要)規約を確認し本格利用したい人
共用部大容量システム共用部の防災・マンション全体の備え大(数十〜数百kWh)数百万円〜(マンション全体の設備費)必要(大規模工事)高い(管理組合主導)管理組合・マンション全体

このように、同じ「蓄電池」といっても、どこに設置するかによって役割も費用も大きく変わります。

費用感については、製品の種類や容量、工事内容によって差が大きいため、具体的な金額イメージは以下の関連記事で整理しています。

マンション特有の制約|戸建てと決定的に違う点

マンションで蓄電池を検討する際は、戸建てにはない「マンション特有の制約」があることを前提に考える必要があります。

ここでは、特に注意しておきたいポイントを整理します。

管理規約・使用細則で必ず確認すべきこと

まず確認したいのが、管理規約や使用細則で定められているルールです。

マンションでは、見た目上は専有スペースに見える場所でも、実際には共用部として扱われていることがあります。

  • ベランダは共用部扱いになっていることが多い
  • 外壁に穴をあける工事や、手すりへの固定などは禁止されていることが多い
  • 室外機まわりのスペースなど、使用できる範囲が細かく決められている場合がある

このようなルールに反して設置してしまうと、撤去を求められたり、近隣とのトラブルにつながるおそれもあります。

導入を検討する前に、管理規約や配布資料を一度見直し、判断がつかない点は管理会社に事前確認しておくことが重要です。

消防法・安全面で注意すべきポイント

蓄電池は便利な設備である一方で、発熱や最悪の場合の発火リスクをともなう機器でもあります。

そのため、容量や設置場所によって、消防法上の取り扱いや安全基準が変わることがあります。

  • 一定以上の容量になると、設置条件に制限がかかる場合がある
  • 室内や共用部に置く場合は、避難経路をふさがないかどうかの確認が必要
  • 管理組合や消防署への事前確認が求められるケースもある

安全面のルールは、マンション全体の住民を守るためのものです。

自己判断で設置を進めるのではなく、必ず専門家や管理組合と相談しながら検討しましょう。

退去・売却時に問題になりやすい原状回復義務

マンションに住んでいる場合、将来の退去や売却まで見据えて考えることも重要です。

特に、固定設置タイプの蓄電池は注意が必要になります。

固定設置タイプの蓄電池は、退去・売却時に原状回復が必要になるケースが多く、配線の撤去や壁・床の補修などで追加費用が発生する可能性があります。

その点、ポータブル電源のような可搬型の蓄電池は、原状回復のリスクが小さいのがメリットです。 

将来的に住み替えや売却の可能性がある場合は「持ち出せるかどうか」という視点も含めて選択肢を検討しておくと、後悔しにくくなります。

マンション住まいで蓄電池が向いている人・向いていない人

ここまで見てきたように、マンションでの蓄電池導入は、戸建てにくらべて制約が多くなります。

そのため、すべての人にとって必要な設備というわけではありません。

向いているのは、たとえば次のような人です。

  • 停電時に、最低限の電気を自分の手元で確保しておきたい
  • 防災意識が高く、非常用電源としての備えを重視している
  • 管理規約を確認しながら、ルールの範囲内でできる対策を考えたい

一方で「停電しても戸建てのように家中の電気を自由に使いたい」「太陽光発電とセットで大きな蓄電池を置きたい」といった期待を持っている場合は、マンションでは期待どおりの使い方が難しく、後悔につながる可能性があります。

マンションで蓄電池を検討する人が次にやるべきこと

マンションで蓄電池を検討する際は、いきなり商品を探しはじめるのではなく、次の順で整理していくと失敗しにくくなります。

  1. 目的を明確にする
    停電対策が主な目的なのか、日常の電気代対策まで視野に入れるのかを整理しましょう。
  2. 設置パターンを絞る
    ポータブル電源・専有部小型定置型・共用部システムのうち、自分のマンションで現実的に選べる選択肢を見極めます。
  3. 管理規約を確認する
    固定設置が可能か、申請が必要かなどを確認し、判断が難しい場合は管理会社や管理組合に相談しておくと安心です。
  4. 用途と予算に合う機種を比較する
    使いたい家電や使用時間を基準に、容量や費用、仕様を比較検討しましょう。

この流れで考えていくことで「気になっていたけれど、何から手をつければいいかわからない」という状態から、一歩ずつ前に進みやすくなります。

まとめ|マンションの蓄電池は「使えるか」より「どう使うか」

マンションで家庭用蓄電池を使う方法は、専有部ポータブル電源・専有部小型定置型・共用部大容量システムの3つがあり、それぞれ役割も導入ハードルも大きく異なります。

戸建てのように自由度が高いわけではないものの、どのような目的で、どのくらいの電気を確保したいかをはっきりさせることで、自分に合った現実的な選択肢が見えてきます。

マンションで蓄電池を検討するときは「使えるかどうか」だけでなく「どのパターンなら無理なく運用できるか」「将来の住み替えや売却もふくめて納得できるか」を意識して考えることが大切です。

制約を前提にしつつ、自分の暮らしに合った形で、現実的な備え方を選んでいきましょう。

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