尿漏れの原因は「骨盤底筋」の筋力低下?自宅で簡単にトライできる、おすすめ骨盤底筋トレーニングをご紹介
監修者情報
山本 信子
ヨガ講師・ライター
2015年にヨガの聖地であるインドのリシュケシュにて資格を取得。
夫の駐在に帯同したインドネシアで日本人、インドネシア人の女性向けにヨガレッスンを行う。
インナーマッスルを鍛える動きのあるレッスンが得意。マタニティヨガ、子連れヨガクラスの指導経験あり。
■資格
・全米ヨガアライアンス(RYT200)
・キッズヨガ指導者養成講座修了
30代の5人に1人、50代以降の3人に1人が悩む「尿漏れ」
多くの女性の悩みのタネと知っていても、実際に尿トラブルを経験すると「まさか私が……」と驚いてしまう方も多いはず。尿漏れや頻尿と聞くと加齢によって引き起こされるイメージがありますが、実は比較的若い世代(30代)の有症率も、約5人に1人と高いのです。さらに年齢を重ねて50代以降になると、なんと約3人に1人が尿漏れを経験しています。
いつ、どんなとき?尿漏れが起きやすい年齢とシーン
<女性の尿漏れ有症率>
30代:23%
40代:30%
50代:38%
60代:35%
70代:34%
出典:花王『くらしの研究』サイト 「誰にでも起こりうる「女性の軽失禁」 予防や改善のために、前向きにセルフケア」
尿漏れが起きる主なシーンとしては、「咳やくしゃみをしたとき(腹圧性)」と「トイレに行きたいとき、トイレを我慢しているとき(切迫性)」。なかでもお腹に力をいれたときに生じる腹圧性の尿漏れは、30~40代の尿漏れ有症者の約87%を占めていると言われています。
尿漏れが起こる原因とは?
女性の尿漏れの原因は、膀胱や尿道、子宮などの臓器を下から支える「骨盤底筋群」がゆるむこと。骨盤の中にある臓器がきちんと支えられないために起こる症状で、加齢だけでなく、妊娠・出産や閉経による女性ホルモンの乱れ、肥満なども要因として挙げられます。このほか、病気によって脳と膀胱がうまく情報伝達ができていないケースや、メンタルの不調などによって生じることもあります。
「頻尿」が起こる原因と判断基準とは
尿漏れと同様、多くの女性を悩ませているのが「頻尿」です。尿漏れと同じく骨盤底筋群の衰えが原因となるもので、医学会では【日中8回、夜間2回以上トイレに行く状態であり、かつ生活に支障が出ている様子】を頻尿としています。
「夜間にトイレで何度も目が覚める」「日中トイレに行けない環境だと不安になる」「尿意を防ぐために水分摂取を我慢してしまう」など、尿トラブルで生活に支障が出ている方は頻尿だと判断されます。
尿漏れと頻尿は「骨盤底筋群」が関係している!
前述したとおり、尿漏れや頻尿には臓器を下から支えている「骨盤底筋群」が大いに関係しています。骨盤底筋群は恥骨と尾骨の間にあるプレートのようなもので、膀胱や子宮、直腸を支えています。排泄コントロール機能も担っているために、尿漏れや頻尿の原因となるのです。
筋力が衰える最大の原因は加齢で、個人差はありますが、女性ホルモンが減少しはじめる45~55歳頃から衰えやすくなります。
体の内部にあるため、自分では骨盤底筋群のゆるみに気付かないことも。以下のチェックリストを参考に、骨盤底筋群の筋力を確認してみましょう。
「骨盤底筋群」の筋力ダウンチェックリスト
- 座っているとき、無意識に膝が開いていく:2点
- 長時間のデスクワークが日常的:1点
- 閉経を迎えた:3点
- 重いものをよく持つ:2点
- 立ち仕事が多い:2点
- 妊娠・出産を経験した:2点
- 咳やくしゃみをすると尿が漏れることがある:3点
- 日常的に便秘気味である:2点
- 常に残尿感を感じている:3点
- 急に尿意に襲われる、間に合わないこともある:3点
合計7点を超える場合は、骨盤底筋群が衰えている可能性大!セルフトレーニングで改善を試みましょう。
妊婦&経産婦は要注意!産後は「骨盤底筋群」がゆるんでいる
加齢や閉経による女性ホルモンの変化に次いで、自然分娩時に生じる傷みも骨盤底筋群のゆるみに影響します。とくに、産後1年間は尿漏れが起こりやすく、咳やくしゃみだけでなく、少し力を入れたり立ち上がったりしたタイミングで尿漏れするケースも多々あります。一般的には産後1年で症状は改善しますが、骨盤底筋群へのダメージは残ったまま。経産婦であることはもちろん、以下の要素を満たす場合は50代以降の尿トラブルリスクが高くなると考えておきましょう。
尿漏れリスクが高まる要素
- 2人以上出産している
- 高齢出産を経験した
- 3500g以上の赤ちゃんを出産した経験がある
- 第一子の誕生が35歳以上だった
産後の尿漏れ&頻尿を解消したいなら、骨盤底筋群の筋力アップにトライしましょう。尿トラブルの改善だけでなく、産後のダイエットやボディメイクにも効果的です。産後の骨盤底筋トレーニングを知りたい方は、ぜひこちらの記事もチェックしてくださいね。
毎日鍛えて筋力アップ!尿漏れ&頻尿を改善する、おすすめの骨盤底筋トレーニング
軽い尿トラブルの場合は、セルフトレーニングで骨盤底筋群を鍛えることで十分に改善できます。ここでご紹介する骨盤底筋トレーニングを実践して、少しずつ筋力を高めていきましょう。「年齢的に仕方ないから」「出産経験もあるし……」と諦めず、ぜひトレーニングを通じてアクティブな毎日を手に入れてくださいね。
①ドローイン
呼吸にあわせてお腹をへこませて、腹横筋を鍛えるトレーニングです。腹横筋を刺激することによって、周辺にある腹斜筋や骨盤底筋にも効率的にアプローチできます。
■実際に行ってみましょう
難易度:易しい
- 仰向けに寝た状態で膝を立て、両手は体側に伸ばしましょう。
- 鼻から大きく息を吸い、お腹を膨らませます。
- 口からゆっくりと息を吐き、お腹をへこませます。腰を反らしたり前かがみにならないよう注意します。
- 息を吐き切って、これ以上はお腹がへこまないというところまでいったら、その状態をキープしながら浅い呼吸を繰り返します。
- 10~30秒キープしたら元に戻します。
■ドローインのポイント
お腹を上からへこませるだけでなく、横からもへこませてお腹全体が収縮するように息を吐きましょう。お腹をへこませたあと、その状態で呼吸をすることが大事であるため、息を止めないようにしましょう。
お腹の動きがわかりにくいと感じる方は、お腹に手を当てて確認しながら行いましょう。
②座ったままの骨盤底筋トレーニング
イスに座ったままトライできるため、スキマ時間にぴったり。電車内やデスクワークの休憩時間、自宅でテレビを見ているときに挑戦してみましょう。慣れたら立った状態で、同じように力を加えて骨盤底筋を刺激していきましょう。
■実際に行ってみましょう
難易度:普通
- イスに座り、背筋を伸ばします。
- 息を大きくゆっくりと吸いながら、膣や肛門をギュッと引き上げるイメージで締めていきます。
- 息を吐きながら、膣や肛門をゆるめていきます。
- 3~5回繰り返しましょう。
■座ったままの骨盤底筋トレーニングのポイント
骨盤底筋を引き締めるときは、膣を引き上げるようなイメージで。最初は難しいですが、慣れてくると日常的に行えるようになります。
③橋のポーズ
ヨガポーズのひとつである「橋のポーズ」は、骨盤底筋を鍛えるだけでなく下半身の強化にも効果的。ストレスや便秘の解消、リラックス効果、腰痛やPMS改善も期待できるため、幅広い年代の女性におすすめです。
■実際にポーズをとってみましょう
難易度:普通
- 仰向けになり、両膝を立てましょう。両手は体側に伸ばし、手のひらは床につけます。
- 膝の真下にかかとがくるようにセットし、息を深く吸いながらお尻を持ち上げます。
- 両腕で体重を支えるのではなく、両足で体重を支える意識をしましょう。
- お尻を持ち上げた状態をキープしたまま、数回深呼吸しましょう。
- ゆっくりと、肩・背中・腰の順に体を床におろしていきましょう。
- 呼吸を整えたら、2〜5を何度か繰り返し行います。
■橋のポーズのポイント
腕はまっすぐに伸ばし、肘が曲がらないよう意識しましょう。
最初はお尻を高く上げるのが難しい場合も。腰を痛めないためにも無理のない高さからはじめ、少しずつ高く持ち上げていきましょう。
骨盤底筋はいくつになっても鍛えられる!セルフトレーニングで尿トラブルを軽減しよう
加齢や出産経験などが要因となるため、“自分ではどうしようもない”と思われがちな尿トラブル。しかし、骨盤底筋トレーニングをコツコツ続けることで、少しずつ筋力がアップし、症状も軽減されていきます。筋トレと同じく、骨盤底筋トレーニングにも年齢制限はありません。思い立ったときにすぐにトレーニングをはじめて、尿トラブルを軽減&改善していきましょう。
オンラインフィットネスtorcia(トルチャ)では、今回ご紹介した「ドローイン」を動画で解説しています!
こちらのサンプル動画はどなたでも視聴いただける動画となっているので、ぜひチェックしてみてくださいね。