上腕二頭筋は道具なしでも鍛えられる?自重最強のトレーニングも紹介

監修者情報
柴田 直樹
オンラインフィットネス「トルチャ」マーケター
株式会社ティップネス勤務。
入社後、店舗マネージャーとしてジムの運営やトレーナー育成に携わりながら、自身もパーソナルトレーナー、スタジオインストラクター、企業フィットネス講師として活動。
現在はオンラインフィットネス「トルチャ」の事業運営に従事。
◼︎資格
・NESTA認定-PFT
・NESTA認定-クラブマネジメントスペシャリスト
・NESTA認定-メンタルフィットネストレーナー
・中学・高等学校教諭一種免許状(保健体育)
・食コンディショニングトレーナー
・栄養コンシェルジュ®︎1ッ星
・一般社団法人 日本美腸協会 美腸プランナー®︎
【予備知識】上腕二頭筋の特徴

柴田 直樹
上腕二頭筋は肘を曲げる動作などに関与する、力こぶをつくる腕の前側の筋肉です。
上腕二頭筋は、名前のとおり「二つの頭(筋肉の束)」が合わさってできている筋肉です。この2つはそれぞれ役割が少し異なり「短頭」と「長頭」と呼ばれています。いわゆる“力こぶ”の部分をつくる筋肉で、物を引く・持ち上げるといった日常動作でもよく使われます。
一方、上腕二頭筋の裏側にあるのが上腕三頭筋で、こちらは肘を伸ばす動作や、腕を前や上に押し出す動きに関与します。どちらの筋肉も上半身の見た目や機能性に大きく関係するため、バランス良くよく鍛えることが重要です。
上腕二頭筋と上腕三頭筋の位置や働きを表で比較してみましょう。
筋肉名 | 位置 | 主な働き | イメージしやすい動作 |
---|---|---|---|
上腕二頭筋 | 力こぶができる前側の筋肉 | 肘を曲げる、手首を内側にひねる | 物を持ち上げる、引く |
上腕三頭筋 | 二の腕にあたる後ろ側の筋肉 | 肘を伸ばす、腕を前・上に押し出す動作 | 腕立て伏せの押す動き、手を突き出す |
上腕二頭筋は「短頭」と「長頭」の2つのパートに分かれており、それぞれ動きや鍛え方に特徴があります。
短頭
短頭は、肘を曲げる動作や、手首を内側にひねる動き(回内)に関与します。買い物袋や重い荷物を手に持つときなど、日常生活でも自然と使われる筋肉です。
短頭を効率良く鍛えたい場合は、インクラインダンベルカールなど、腕を前に出した姿勢で行うトレーニングが効果的です。
長頭
長頭は、肩甲骨の外側から肘に向かって伸びている筋肉で、肘を曲げる動作に加えて、腕を後方に引いたり内側に回したりする動作に関与します。上腕二頭筋の中でも、より外側に位置し、力こぶの高さや立体感に大きく影響します。
この長頭を鍛えるには、ハンマーカールのようにダンベルを縦に握って行う種目が適しています。腕全体の厚みを出したい場合は、長頭のトレーニングも取り入れましょう。
【道具なし】上腕二頭筋を鍛える自重トレーニング

ダンベルなどの器具がなくても、上腕二頭筋は自重トレーニングで鍛えられます。体重を負荷として使うため、運動初心者でも始めやすく、自宅でも気軽に取り組めるのが魅力です。
ここでは、特別な道具を使わずに実践できるおすすめの自重トレーニングを3つ紹介します。
【最強】斜め懸垂
斜め懸垂は、仰向けの状態で行う懸垂のバリエーションです。足を床につけたまま行えるため、通常の懸垂より負荷が軽く、初心者でも取り組みやすいのが特徴です。
上腕二頭筋だけでなく、広背筋や背中全体も同時に鍛えられる効率的なトレーニングです。
斜め懸垂のやり方
- 安定したテーブルの下に仰向けになり、かかとを床につけます。
- 両腕を床と垂直に伸ばし、肩幅よりやや広めにテーブルの端を握ります。
- 背中をまっすぐに保ち、胸がテーブルに近づくまで肘を曲げて体を引き上げます。
- ゆっくりと元の位置に戻します。
- 10回を1セットとし、3セット繰り返しましょう。
斜め懸垂のポイント
手の向きは順手でも問題ありませんが、手のひらを自分に向ける「逆手」で握ると上腕二頭筋への刺激が強まります。
慣れてきたら、テーブルの向こう側にイスを置いて足をのせ、体を水平に近づけることで負荷を高められます。
ドルフィンプッシュアップ
ドルフィンプッシュアップは、肘から前腕を床につけた状態で行う、プランクと腕立て伏せを組み合わせたようなトレーニングです。上腕二頭筋に加えて、三角筋や広背筋、体幹にも刺激を与えられる全身型の種目です。
ドルフィンプッシュアップのやり方
- 床に両肘をつけて拳を握り、肩の真下に肘がくるようにセットします。
- 両足を伸ばし、つま先を床につけて体を一直線に保ちます。いわゆるプランクの姿勢と同じです。
- 体を支えながら、お尻を高く持ち上げて逆V字の姿勢をつくります。
- ゆっくりと元の姿勢に戻しつつ、上体を前方へスライドさせるように動かします。
- この動作を10回×3セットを目安に行いましょう。
ドルフィンプッシュアップのポイント
フォームが崩れると、大胸筋や上腕三頭筋にばかり負荷がかかってしまい、上腕二頭筋への効果が薄れてしまいます。
常に二の腕の前側の上腕二頭筋に効いているかを意識しながら、ゆっくりと丁寧に動作を行うことが重要です。
比較的負荷が軽いため、慣れてきたら回数やセット数を増やすことで、段階的に強度を高められます。
パームカール
パームカールは、片方の手を拳にして上に持ち上げようとし、もう一方の手でそれを押さえつけることで負荷をかける、シンプルな自重トレーニングです。
道具を使わずに上腕二頭筋や上腕筋、腕橈骨筋(わんとうこつきん)など、腕まわりの筋肉をまとめて鍛えることができます。動作がコンパクトで音も出にくいため、職場や外出先でも手軽に取り組めます。
パームカールのやり方
- 鍛えたい側の手で拳を握ります。
- 反対の手でその手首をしっかりとつかみ、下方向に押さえつけるように力をかけます。
- 拳を握った側の手は、それに逆らって上に引き上げるように力を入れます。
- 両手の力が拮抗した状態で、腕をゆっくり上下に動かします。
- 左右それぞれ30回を1セットとして、1~2セット行いましょう。
パームカールのポイント
両手の力が均等にかかっているかを常に意識しましょう。筋肉にしっかりテンション(張力)がかかっていることが、トレーニング効果を高めるカギになります。
動作1回あたりの負荷は軽めなので、筋トレ初心者にもおすすめです。慣れてきたらダンベルを使ったカール系(肘を曲げて腕を引き寄せる動き)のトレーニングにステップアップすると、より強い刺激を与えられます。
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- 株式会社コンプライアンス
関連記事:道具なしでできる二の腕のトレーニングを紹介した記事はこちら
自重トレーニングで上腕二頭筋を鍛えるポイント

自重トレーニングで上腕二頭筋をしっかり鍛えるには、正しいフォームで動作を行うことが重要です。さらに、継続して取り組むことや負荷の調整、ほかの筋肉とのバランスも意識することで、より効果的に上腕二頭筋を鍛えることができます。
ここでは、トレーニング効果を高めるための基本的なポイントを4つ紹介します。
正しいフォームを意識する
マシンや器具を使わない自重トレーニングでは、フォームの精度が特に重要です。正しいフォームを保たなければ、狙った筋肉に十分な刺激が伝わらず、効果が半減してしまいます。
上腕二頭筋は、肘を曲げる動作と、手首の回内の動作に関与している筋肉です。トレーニングを行う際は、肩のブレを抑えて肘の曲げ伸ばしを中心に動作し、手首のひねりをしっかり意識しましょう。
継続して実施する
1日や1週間程度のトレーニングでは、筋肉の変化を実感するのは難しいのが現実です。上腕二頭筋は、大胸筋や広背筋などの大きな筋肉に比べてサイズが小さいため、目に見える効果が出るまでには時間がかかります。
成果を感じるには、最低でも1ヶ月以上、地道に継続することが大切です。無理のないペースで回数やセット数を増やしながら取り組めば、自重トレーニングでも十分に効果を実感できるでしょう。
徐々に負荷を上げる
上腕二頭筋を鍛える自重トレーニングは、1回あたりの負荷が比較的軽いため、回数やセット数を増やしていくことが基本になります。
とはいえ、数字だけを追いかけることにストレスを感じる方もいるかもしれません。そのような場合は、ダンベルを活用して負荷を高める方法を取り入れてみましょう。種目のバリエーションも広がり、より効率的に鍛えることができます。
関連記事:ダンベルを使った上腕二頭筋のトレーニングを紹介した記事はこちら
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- 株式会社コンプライアンス
ほかの筋肉も鍛える
上腕二頭筋ばかりを集中して鍛えてしまうと、体のバランスが悪く見えてしまうことがあります。特に、力こぶの部分だけが発達していると、ほかの部位との筋肉量の差が目立ちやすくなります。
上半身はもちろんのこと、下半身や体幹もあわせてトレーニングすることで、全身のバランスが整い、見た目にも機能的にも優れた体を目指すことができます。
以下の記事では、自宅でできる筋トレや下半身を鍛えるメニューも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:自宅でできる筋トレ種目や1週間のトレーニングメニューを紹介した記事はこちら
関連記事:下半身を鍛える筋トレメニューについて詳しく解説した記事はこちら
上腕二頭筋の筋トレに関するよくある質問
ダンベルの代わりにペットボトルで代用するのはアリ?
ダンベルの代用としてペットボトルを使うことは十分に可能です。500mlや2Lなどサイズもさまざまで、水や砂を入れることである程度の重量調整ができるため、自宅トレーニングには便利なアイテムです。
さらに、2Lのペットボトルを数本まとめてスーパーの袋に入れれば、10kg前後まで加重することも可能です。ただし、袋は持ち手が安定せず、フォームを保ちにくくなるため、ある程度慣れてきたら専用のダンベルに切り替えることをおすすめします。
二の腕痩せを目的としたトレーニングはアリ?
「二の腕を引き締めたい」「脂肪を落としたい」と考える方は多いですが、残念ながら筋トレによって特定の部位の脂肪だけを狙って落とすことはできないという点は理解しておきましょう。
ただし、脂肪は筋肉の少ない部位につきやすいため、二の腕の筋肉をしっかり使うことで、見た目の引き締め効果は期待できます。
特に日常であまり使われない上腕二頭筋・三頭筋を動かすことで、血流が促進され、全身の代謝アップにもつながります。見た目改善を目的とするなら、継続的な筋トレと食事管理の組み合わせが効果的です。
道具なしでもOK!自重で上腕二頭筋を効率良く鍛えよう

上腕二頭筋は、ダンベルなどの器具がなくても、自重を活かしたトレーニングでしっかり鍛えることができます。道具を使わないため、自宅はもちろん外出先でも取り組みやすく、運動習慣のない方でも始めやすいのが大きな魅力です。負荷が軽めなので、無理なく続けやすい点もメリットと言えるでしょう。
ただし、効果を得るには正しいフォームを意識し、継続することが大切です。慣れてきたら回数やセット数を少しずつ増やし、ほかの部位の筋肉もあわせて鍛えることで、見た目にもバランスの取れた体づくりにつながります。
今日からでも始められる自重トレーニングで、理想の腕を目指しましょう!