ゴルフマナー完全ガイド!初心者がラウンドで恥をかかないための基本と気遣い

監修者情報
正覺 友香里
ゴルフコーチ・ゴルフクラブアドバイザー
中学2年でゴルフを始め、高校で県大会優勝。ゴルフクラブアドバイザーやキャディとしての勤務経験を持ち、現在は初心者〜中級者向けにマンツーマンレッスンを行う。
元ドラコンプロで、九州のタイトルマッチ戦2位の実績あり。
■資格
USGTF(全米ゴルフ指導者連盟)ティーチングプロ
ゴルフのマナー【服装・身だしなみ編】

クラブハウスでの服装
ゴルフは「紳士・淑女のスポーツ」とされ、クラブハウス内でも服装や振る舞いにマナーが求められます。
Tシャツやジーンズなどのラフな服装は避け、襟付きのシャツにジャケットを羽織るなど、きちんとした服装が基本です。
夏季はジャケットが不要な場合もありますが、ドレスコードに従うことが大切です。
館内では、帽子・サングラス・レインウェア・ジャンパーなどのアウター類は脱ぐのがマナーです。特にレストランやラウンジでは、これらを着用したままの利用はNGとされることも。着席時にはイスの背にかけるなどの配慮をしましょう。
ドレスコードはゴルフ場ごとに若干異なるため、訪問前にホームページなどで確認しておくと安心です。

コースでの適切な服装
ゴルフコースでは、プレーのしやすさはもちろん、周囲への配慮や格式を重んじた服装が求められます。基本のスタイルは「襟付きトップス」「パンツルック」「ゴルフシューズ」。この3点を押さえていれば、まず間違いありません。
一方で、Tシャツ、ジーンズ、ジャージ、サンダルなどは多くのゴルフ場でNGです。プレーに不向きなだけでなく、マナー違反と受け取られるおそれもあります。
特に注意したいのが靴の選び方です。ゴルフ専用シューズ(ソフトスパイクやスパイクレス)が推奨されますが、スニーカーの可否はゴルフ場によって異なります。スパイクが芝を傷めることもあるため、事前に公式ホームページなどで確認しておくと安心です。
初めて訪れるコースでは「どこまでがOKで何がNGなのか」がわかりにくいもの。以下に一般的な例を表にまとめました。
アイテム | OK例 | NG例 |
---|---|---|
トップス | 襟付きポロシャツ、モックネックシャツ | Tシャツ、タンクトップ |
ボトムス | スラックス、チノパン、ゴルフスカート | ジーンズ、ジャージ、短すぎるスカート |
シューズ | ソフトスパイク、スパイクレスゴルフシューズ | サンダル、革靴、スニーカー(※ゴルフ場による) |
アクセサリー類 | 帽子、サンバイザー(※着脱マナーは守る必要あり) | 大きな装飾品、プレーの妨げになるもの |
服装は、その人のマナー意識を示すものでもあります。動きやすさと上品さを両立させた装いを意識することで、気持ちよくラウンドを楽しめるはずです。

ゴルフ場での基本マナー

ゴルフは審判のいないセルフマネジメントのスポーツ。だからこそ、一人ひとりのマナー意識がプレーの質やほかのプレーヤーの快適さを左右します。
特に重要なのが「時間の厳守」と「スロープレーの回避」。この2つは、初心者であっても必ず守るべき基本マナーです。
時間を厳守する
ゴルフでは、定められたスタート時刻に遅れることは厳禁です。プレー全体の進行を乱すだけでなく、同伴者や後続のプレーヤーにも大きな迷惑をかけてしまいます。
ゴルフ場にはスタートの30〜60分前までに到着しておきましょう。
受付や着替え、パター練習などの時間を確保し、スタート10分前にはカート周辺にクラブや準備を整えた状態で集合しておくのがマナーです。
遅刻は信用を失う原因にもなるため、初心者こそ時間に余裕を持って行動することが大切です。
スロープレーを避ける
「プレーファスト」は、すべてのゴルファーに求められる大原則。ゴルフ場では複数の組が同じコースを順番に回るため、自分たちのプレーが遅れると、後続組全体の進行に影響を及ぼします。
特に初心者にありがちなのが、無意識のうちにプレー時間が長引いてしまうケース。打順の把握、素早いクラブ選び、素振りは1~2回までなど、常にスムーズな進行を意識しましょう。
また、前の組との距離が詰まりすぎて「打ち込み」になるような危険なプレーは厳禁です。間隔を適切に保ちつつ、テンポよくプレーすることが周囲への思いやりにもつながります。
ゴルフプレー中のコミュニケーションマナー

ゴルフはスコアを競うだけでなく、同伴者とのコミュニケーションも大切なスポーツです。とはいえ、コース上では静けさや思いやりが求められる場面も多いため、場の空気を読んだ行動がマナーとして必要です。
特に「ショットに集中できるよう静かにする配慮」と「仲間を気遣う姿勢」は、初心者が注意しておきたいポイントです。
ほかの人がプレーする際は静かに。声のボリュームと話すタイミングに注意
ゴルフは集中力が重要なスポーツ。ほかのプレーヤーがショットを構える場面では、話し声・笑い声・足音・物音を控えましょう。特にアドレス(構え)に入ってからスイングが終わるまでは、静止するのがマナーです。
また、電動カートを使っている場合は、同伴者が打つ間はエンジンを止めて待機します。カートの振動や動作音も集中を妨げる要因になるため、細かな気配りが求められます。
会話を交わすのは、プレーが終わって次のホールへ移動するタイミングや、ショットの妨げにならない距離にいるときにしましょう。
同伴者へのフォローや盛り上げ
ゴルフでは、気持ちの良いコミュニケーションがラウンド全体の雰囲気を左右します。良いショットが出たら「ナイスショット!」と声をかけたり、軽く拍手したりするのが自然な振る舞いです。上手・下手にかかわらず、他人のプレーを讃える姿勢は大切です。
一方で、ミスショットに対しては過剰に反応しないのがマナー。責めたり笑ったりするのは厳禁です。「落ち込まないで」や「次いこう」と軽く励ますなど、さりげない気遣いを心がけましょう。
ラウンド終了後も「今日はご一緒できて楽しかったです」など、感謝の気持ちを言葉にして伝えることで、心地よい締めくくりになります。
ゴルフ場でのマナー【グリーン上編】

グリーンは、ゴルフコースの中でも最も繊細で、スコアに直結する重要なエリアです。そのため、どの場面よりも丁寧な振る舞いと周囲への配慮が求められます。
以下の4つのグリーン上のマナーについて詳しく解説します。
- 走らない・飛び跳ねない
- パッティングラインを踏まない・影をかけない
- 打つ人のラインや近くには立たない
- ピッチマークは見つけたら修復する
グリーン上では走らない・飛び跳ねない
グリーンはコースの中でも特にデリケートなエリアで、芝の状態がプレーに直結します。走ったり飛び跳ねたりする行為は重大なマナー違反とされ、初心者であっても必ず避けなければなりません。
グリーンの芝は想像以上に繊細で、足の衝撃やスパイクの摩擦によって簡単に傷ついてしまいます。一度傷んだグリーンはボールの転がりにムラが出て、パッティングの精度に大きく影響します。特にほかのプレーヤーのライン上で起こると、不公平になる場合も。
グリーン上では常にゆっくりと歩くことを意識し、足音や動作にも注意を払いましょう。
パッティングラインは踏まない
グリーン上では、ほかのプレーヤーのパッティングライン(ボールからカップまでの想定ルート)を踏まないことが基本的なマナーです。芝は非常に繊細です。足で踏むと、へこみや傷ができ、ボールの転がりに悪影響を与える可能性があります。
特にパットは繊細な操作が求められるため、わずかな凹凸でもラインが乱れ、スコアに影響することも。他人のライン上を踏む行為は、プレーの公平性を損なうマナー違反と受け取られかねません。
また、自分の影をラインにかけるのもNGです。視界を遮られたり、集中力が途切れる原因になるため、打つ人に配慮して自分の影の位置も気をつける必要があります。
グリーン上を移動する際は、他人のボールとカップを結ぶ線を常に避けて歩く意識を持ちましょう。
ピッチマークを見つけたら修復する
グリーン上でボールが落下した際にできる芝のへこみは「ピッチマーク」と呼ばれます。これをそのまま放置してしまうと、芝の回復が遅れ、ボールの転がりにムラが出る原因になります。
結果として、ほかのプレーヤーのパッティングに悪影響を与えてしまうことにもなりかねません。
自分のピッチマークはもちろん、他人のものを見つけた場合も、気づいた人が修復するのがゴルファーのマナーです。専用のグリーンフォークを使い、芝を持ち上げるのではなく周囲から寄せるようにして、丁寧に整えましょう。
快適なグリーンコンディションを保つためにも、習慣として身につけておきたいマナーのひとつです。
ボールを打つ人の近くには立たない
ゴルフでは、打つ人の安全と集中を守るために距離をとることが基本マナーです。プレーヤーのすぐ近くに立つと、視界に入って集中を妨げるだけでなく、万が一の事故につながるおそれもあります。
立ち位置として適切なのは、打つ人の斜め後方です。視界に入りにくく、動作を妨げない位置を意識しましょう。
ティーグラウンドやグリーンまわりが狭い場合は、自分の順番が来るまで一旦エリアの外で待機するのも配慮のひとつ。安全性と気持ちよくプレーできる空間づくりのために、立ち位置には常に注意を払いたいところです。
ゴルフ場のマナー【バンカー編】

バンカーでは、ショットの腕前以上にマナーと気配りが求められます。砂は芝以上に足跡やスイングの跡が残りやすく、後処理を怠ると後続プレーヤーの妨げになることも。
快適なプレー環境を保つためにも、出入りや砂のならしといった基本動作を丁寧に行う意識が大切です。
以下の3つのバンカーにおけるマナーを解説していきます。
- 傾斜の低いところから入る
- レーキを持ってバンカーに入る
- 足跡などをならして出る
傾斜の低いところから入る
バンカーへの出入りは、傾斜の低い場所から行うのが基本マナーです。これは、安全の確保はもちろん、コースの保護や後続プレーヤーへの配慮にもつながります。
高い斜面から無理に出入りすると、滑って転倒する危険があるだけでなく、土手を崩したり芝や砂を荒らしてしまう原因になります。
バンカーの形状が乱れると、元の状態に戻すのが難しくなり、コース全体の品質にも影響を及ぼしかねません。
また、ボールに近く、砂が平らで縁が浅い位置から入ることで、ショット後の砂ならしもスムーズに行えます。
些細に見える行動ですが、バンカーの出入りひとつでもマナーの良し悪しが伝わるものなのです。
レーキを持ってバンカーに入る
バンカーに入る前には、あらかじめ砂をならす道具であるレーキを持ってから入るのがマナーです。
ショット後にそのまま砂ならしを行えるため、余計な往復を避けられ、プレー進行をスムーズにすることができます。
後からレーキを取りに戻ると時間をロスし、同伴者や後続組にも影響を与える可能性があります。時間短縮とマナーの両立のためにも、事前に持って入る習慣を身につけましょう。
足跡などをならして出る
バンカーショットの後は、自分がつけた足跡やショット跡を丁寧にならしてから出るのが基本マナーです。砂のへこみをそのまま放置すると、次に打つプレーヤーが不利な状況に置かれてしまいます。
これは後続プレーヤーの公平性を保つための配慮であると同時に、コースの美観や品質を維持するうえでも欠かせない行動です。
特にスパイクを引きずるような歩き方や、飛び跳ねるような動作は砂を荒らす原因となり、場合によってはペナルティの対象になることもあるため注意が必要です。
レーキが設置されていない場合でも、足で軽くならしてから出るだけでも十分な配慮となります。使ったバンカーは“来たときより美しく”を心がけましょう。
ゴルフ場でのマナー【トラブル対応編】

ゴルフは紳士・淑女のスポーツとされる一方で、自然の中で行うため予期せぬトラブルも起こり得ます。そうした場面では、ルールとマナーの両方を理解して落ちついた対応を心がけることが大切です。
危険がある場合「フォアー」と声をかける
ゴルフでは、打球がほかの人のいる方向に飛んだ際に「フォアー!(Fore!)」と叫ぶのが世界共通のマナーです。これは単なる注意喚起ではなく、プレーヤーの義務であり、安全確保と他者への配慮のための必須行動です。
以下のような状況では、ためらわずすぐに「フォアー!」と声を出しましょう。
- 隣のホールへ打球が飛んでしまったとき
- 人がいる方向にボールが向かっているとき
- 打ち込みの危険があるとき
小さな声や曖昧な言い方では危険を防げませんので、大きな事故を防ぐために大声で叫びましょう。
OBやロストボール時は、ルールに沿って慌てずに行動する
OB(アウト・オブ・バウンズ)やロストボールの可能性がある場合は「暫定球を打ちます」と宣言して、予備のボールを打つのがルールです。
あらかじめ対処しておくことで、プレー進行が滞るのを防げます。
暫定球を打つ際は、使用するボールの番号や種類を同伴者に伝えるのがマナーです。これは後でどちらの球かを識別するために必要な情報です。
また、ラフや林でボールを探す時間は5分以内が原則とされています。見つからない場合は無理に粘らず、後続組に先に打たせるなどの配慮をしましょう。
ゴルフには「球はあるがままにプレーする」という原則があります。状況に応じてペナルティが発生する場合は、正直に申告することが信頼につながります。
怪我や事故の防止と対応
ゴルフ場で起こり得るトラブルの中でも、最も避けたいのが怪我や打球事故です。クラブを振る際は、必ず周囲に人がいないかを確認し、誤って人に打ち込むことのないよう十分注意を払いましょう。
それでも万が一、事故や体調不良が発生した場合は、まず落ちついて周囲の安全を確保します。
負傷者がいる場合は、無理に動かさず、安静な状態を保つことが大切です。
次に、速やかにマスター室やクラブハウスへ連絡し、スタッフの指示を仰ぎましょう。多くのゴルフ場では応急処置体制が整っており、必要に応じて医療機関への連携も行ってくれます。
遠慮せずにすぐに連絡を取りましょう。
ゴルフ場でのマナー【ラウンド後編】

ゴルフはプレー中だけでなく、ラウンド後の振る舞いにもマナーが求められるスポーツです。最後の一打を終えたあとこそ、その人の品格や周囲への配慮があらわれる場面。気持ちよく1日を締めくくるために、細やかな心配りを忘れずに行いましょう。
同伴者・キャディへの感謝を伝える
ラウンドを終えたら、同伴者やキャディ、スタッフに対して「ありがとうございました」「お疲れさまでした」といった挨拶をきちんと伝えるのが基本マナーです。形式ばった言葉でなくても、感謝の気持ちを込めたひと言が大切です。
特にキャディがついていた場合は、その日のサポートに対してしっかりとお礼を伝えましょう。
クラブハウスに入る前の身なりに整える
プレー後にそのままクラブハウスへ入るのではなく、ロッカールームで着替えや身だしなみを整えてから向かうのがマナーです。
汗で濡れたシャツや乱れた髪のまま施設内を歩くと、周囲に不快感を与えてしまうこともあるでしょう。
着替えが難しい場合でも、タオルで汗を拭いたり、帽子やサングラスを外すなど、最低限の配慮は忘れないようにしましょう。
クラブハウスはくつろぎの場でもあるため、清潔感のある装いで過ごすことが求められます。

ゴルフのマナーを身につけて、スマートなプレーを心がけよう
ゴルフはスコアだけでなく、人柄や思いやりがあらわれるスポーツです。服装や所作、言葉づかい、そしてトラブル時の対応まで、一つひとつのマナーがプレー全体の印象を左右します。
特に初心者にとっては「ルールを守る」以上に「一緒にいて気持ちのいいプレーヤー」であることが大切です。
マナーを身につけておくことで、初ラウンドでも不安なく臨めるだけでなく「また一緒に回りたい」と思ってもらえるゴルファーに近づけるでしょう。