血行が悪くなる冬は、腰痛・膝痛・関節痛ケアを!痛みを緩和する生活習慣とおすすめストレッチ4選
監修者情報
杉山 なつみ
ヨガ講師・バリ島ヨガスタジオマーケター
2015年12月にヨガの資格を取得後、都内を中心に企業向け健康セミナーの実施や、ヨガスタジオでの自主開催レッスンやスポーツ選手向けのパーソナルヨガレッスンを行う。
2019年1月にインドネシア・バリ島へ移住。現在はフリーランスのヨガインストラクターとして、現地のマーケティングや、バリ島からのオンラインレッスンを開催中。
■資格
・日本ヨガインストラクター協会2級
冬に腰痛や膝痛、関節痛が起こる理由
「冬になると急に腰や膝などが痛くなる」「関節が痛くなり、動きが制限される」など、寒い時期に腰痛や関節痛に悩まされる方は少なくありません。ケガや慢性疾患など、腰痛・関節痛にはさまざまな原因がありますが、冬にだけ症状が表れる(もしくは症状がひどくなる)場合は、冷えによる血行不良が影響している可能性が高いでしょう。
寒さや冷えによる血行不良
気温が下がったとき、人間の血管は自然と収縮する仕組みになっています。「血管の幅が狭くなる→血行が悪くなる→酸素や栄養素の循環が滞って老廃物がたまる→周辺の筋肉が硬くなる」というプロセスを経て、少しずつ筋肉は動かしづらくなります。その結果、肩や腰、膝などの関節に大きな負担がかかり痛みが生じるのです。
急激な温度変化による自律神経の乱れも
冬はエアコンで暖まった屋内から寒い屋外に出ることも多く、急激な温度変化による負担がかかりやすい時季です。この温度変化が原因で自律神経のバランスが乱れ、筋肉や関節の痛みが生じることもあります。
関節の痛みだけじゃない!血行不良によって引き起こされる症状
冬の寒さで肩や腰、膝に痛みが出る方は多く、いつものことと思ってしまいがち。しかし、冬の寒さによって引き起こされる腰痛・関節痛を軽視するのはNG!最初は軽い痛みだったものが、重篤な症状に発展することも多いのです。
<冬の寒さ、血行不良によって引き起こされる症状>
- 神経痛
- 肩・腰の痛み、膝などの関節痛
- 頸椎の痛み
- 五十肩
- ヘルニア
- 坐骨神経痛
- 足首の痛み
- 手足のしびれ
- 痛みに起因する頭痛や吐き気 など
寒くなると、関節痛をはじめとする上記の症状を感じやすい方は、体を温めて血行を促進させましょう。ただし、症状がひどくなる場合や日常生活に支障をきたすほどの痛みが生じる場合は、ほかの病気も考えられます。自己判断せず、一度専門の医療機関を受診してみましょう。
関節痛を改善・緩和する3つの生活習慣
冬の冷えや運動不足による血行不良が原因で痛みが生じている場合、生活習慣を見直すことで症状緩和が期待できます。ここからは、腰痛・関節痛の改善や緩和に効果的な生活習慣をご紹介します。どれもすぐに実践できることばかりなので、ぜひ取り入れてみてくださいね。
入浴はシャワーで済ませず、湯船に浸かって体を温める
忙しい毎日を過ごしていると、ついシャワーだけでサッと入浴したくなるもの。しかし、冬の腰痛・関節痛がつらい場合は、湯船にしっかり浸かって体の深部体温を上げていきましょう。体を温めることで血流が促進され、腰痛・関節痛の緩和や改善が期待できます。
ただし体を温めたいからといって、熱すぎる湯温にするのはNG。38〜40度くらいのぬるめのお湯に最低でも10分、理想は20~30分程度浸かるのがベストです。血管拡張に効く入浴剤を選ぶのも一案です。
食材や飲み物に気を付けて、体内から温める
体を温めて血行を促進するために、食生活にも気を配りましょう。冷たい水や炭酸ジュースなどは避け、白湯やショウガ湯、温かなハーブティーやルイボスティーなどを飲むように習慣化しましょう。食材としては季節の根菜やしょうが、にんにく、青魚もおすすめ。魚は生ではなく、加熱して食べるとより効果的です。
<冬の冷えに効く食材>
- しょうが
- にんにく
- アジやイワシなどの青魚
- ニンジンやごぼう、大根、蓮根などの根菜
- 大葉
ウォーキングやストレッチなど、運動を習慣化する
寒い季節はつい家にこもりがちになりますが、血行促進のためには適度な運動が欠かせません。無理に激しい運動に取り組む必要はないので、ウォーキングやストレッチ、ヨガ、スイミング、軽い筋トレなどに自分のペースで取り組みましょう。運動によって腰痛・関節痛が改善・緩和される理由は、次の章で詳しく解説します。
体を動かして痛みを軽減!運動習慣と腰痛・関節痛の関係
運動を習慣化すると関節の可動域が広がり、凝り固まった筋肉がほぐれて血行が良くなります。血行が良くなると体内に滞っていた老廃物が流れやすくなり、その結果老廃物によって生み出されていた発痛物質が減少し、関節の痛みや筋肉の凝りも緩和されやすくなるわけです。
ハードなトレーニングは必要なく、日常生活で使う機会の少ない関節や筋肉にアプローチできるストレッチやヨガで十分!運動によって増えた筋肉がさらに熱を作り出してくれるため、冷えの予防効果も期待できます。
痛みの出はじめ&痛みが強すぎる時期は運動を避けよう
痛みが出たばかりのタイミングや痛みが強いときに無理して運動すると、かえって症状が悪化することも…。その日の体のコンディションと相談しながら、無理のない範囲で運動習慣をつけていきましょう。
運動は関節痛の予防&再発防止にも効果的
「また冬が来るのがこわい」「何歳になっても元気に歩きたい」と感じている方は、予防のためにトレーニングを続けていきましょう。必要な筋力を身につけ、関節可動域を広げておくことで関節痛を防ぐことができます。予防や再発を防ぐためのトレーニングとしては、ストレッチやウォーキング、スイミングがおすすめです。
簡単なのに効果抜群!おすすめの関節痛緩和ストレッチ4選
前述したとおり、運動は冬に起こる関節痛の改善に効果的!とくに、ストレッチは柔軟性アップに適しています。最後に、簡単なのに効果抜群な「関節痛緩和ストレッチ」を4つご紹介します。無理なく取り組めるストレッチばかりなので、運動が苦手な方にもおすすめです。
①体全体の血行促進に、全身伸び伸びストレッチ
全身を伸ばすことで、高いストレッチ効果を得られるストレッチです。血行不良や冷え性の改善はもちろん、反り腰や骨盤のゆがみ、疲労回復効果も期待できます。
■実際に行ってみましょう
難易度:易しい
- 真っ直ぐに立った状態から脚を前後に開き、前の足の膝を軽く曲げます。後ろの足は、アキレス腱をグーっと伸ばすようなイメージで、かかとが床から離れないように意識しましょう。
- 両手を胸の前で合掌し、両手を天井に向けて両腕を伸ばしましょう。
- そのまま数秒キープしたら、伸ばしている腕を左右に倒すようにして少し揺らし、体側も伸ばしましょう。
- 脚を入れ替え、反対側も同様に行いましょう。
■全身伸び伸びストレッチのポイント
腕を上げるときは、上半身と腕が一直線になるよう真っ直ぐ伸ばし、肩が上がらないように注意しましょう。
人差し指が天井方向から真っ直ぐに引っ張られるイメージで行いましょう。
②猫背や反り腰改善、腰痛予防に効くニーアップ
背骨と太ももを繋ぐ大腰筋を伸ばせる「ニーアップ」。大腰筋まわりの筋肉がほぐれることで姿勢が安定し、腰痛の緩和が期待できます。寝たままできるため、お風呂上がりや就寝前、起床時にも取り入れやすいストレッチです。
■実際に行ってみましょう
難易度:易しい
- 仰向けに寝て、右膝を曲げて両手で持ちます。
- ゆっくりと息を吐きながら右膝を胸に引き寄せ、太ももとお腹をくっつけるようにします。このとき左膝裏が浮いてきやすいため、左のかかとを遠くに蹴り出し、左足を痛みのない範囲で床につけて伸ばしましょう。
- 20秒間、ゆっくり呼吸しながら2の状態をキープします。
- ゆっくり息を吸いながら、太ももとお腹を離します。
- ゆっくりと息を吐きながら、両手を離し優しく右膝を伸ばし右足を床に下ろします。
- 左足も同様に行いましょう。
■ニーアップのポイント
抱えていないほうの脚をしっかり伸ばし、床からの浮きを抑えることがポイント。
体が左右にぐらつく方は、背骨を長くする意識を持つと安定しやすいです。
③股関節の痛みを緩和する、股関節揺らしストレッチ
脚を大きく開き、つま先を内側と外側に揺らすことで股関節の柔軟性を高めるストレッチです。難しい動きがないためストレッチに慣れていない方にも最適です。
■実際に行ってみましょう
難易度:易しい
- 床に座って両足を開脚させ、背筋を真っ直ぐにします。
- 両手はお尻の後ろあたりの床につけ、手の指先はお尻に向けます。
- 体重を少し支えながら、両足のつま先を左右に倒すようにして、脚全体を揺らします。
■股関節揺らしストレッチのポイント
両足を一気に開くと股関節を痛めてしまうため、開脚に自信のない方は片足ずつゆっくりと開くようにしましょう。
つま先を前後に揺らす際、股関節から脚が揺れるように意識して行いましょう。
④膝の痛みが楽になる、寝たまま行う大腿直筋ストレッチ
布団やヨガマットなどに横になった状態でできる、簡単な前もものストレッチです。脚まわりの筋肉の張りを解消する効果も期待できます。
■実際に行ってみましょう
難易度:易しい
- 右の体側を下にして横向きに寝ます。右腕は体の前に伸ばし、姿勢がぐらつかないようにします。
- 左足の膝を背中側に曲げ、左手で足先を掴みます。
- 左手で左足を後ろに向けて引き、膝が背面方向に向くようにして左前もものつけ根から15秒程度ストレッチします。そのまま数秒キープしたら、伸ばしている左腕を上下(天井方向と床方向)に少し揺らし、体側も伸ばしましょう。
- 反対側も同様に行います。
■大腿直筋ストレッチのポイント
体が左右にぐらつく場合は、床側にある腰で床を押すと安定しやすくなります。伸ばしたほうの足裏を壁につけるのもおすすめです。
毎日のストレッチで体が変わる!運動で腰痛・関節痛をケアしよう
冬に起こる腰痛・関節痛を改善するためには、冷えによる血行不良を改善する必要があります。食生活や温活はもちろん、関節可動域を広げたり筋肉をほぐすための「運動」も欠かせません。本記事でご紹介したストレッチは、運動が苦手な方にもぴったり。ぜひ継続して年中健やかな体をキープしましょう。