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長時間のデスクワークや運動不足が続くと、筋肉が凝り固まり、筋繊維を覆っている「筋膜」が筋肉同士や皮膚と癒着してしまうことがあります。筋膜の委縮・癒着がひどくなると全身の倦怠感や痛みを招き、可動域の縮小や柔軟性が損なわれる原因にも。「体の疲れがなかなか取れない」「最近体がスッキリしない」という方は、筋膜の柔軟性を高めて癒着をほぐしてくれる「筋膜リリース」にチャレンジしてみましょう。本記事では、初心者でも簡単にトライできる、脇や肩甲骨、背中、太ももの筋膜リリースをご紹介していきます。
目次
テレビや雑誌などでも頻繁に取り上げられている「筋膜リリース」ですが、その定義やメリットについては詳しくご存じでない方も多いのではないでしょうか。まずは、筋膜リリースがどのようなものなのか、筋膜の役割や構造とあわせて解説します。
「筋膜」は筋肉を覆う薄い組織膜のことで、「浅筋膜(せんきんまく)」「深筋膜(しんきんまく)/腱膜筋膜(けんまくきんまく)」「筋外膜(きんがいまく)」「筋周膜(きんしゅうまく)」「筋内膜(きんないまく)」の5つが連続して層を成したものです。各筋膜はお互いに連携しており、筋肉や内臓の膜と繋がりながら全身に張り巡らされています。筋膜の役割は「各組織を包み込んで体の姿勢を保つ」「組織同士の摩擦から保護する」「筋線維の動きを支え、力を伝達する」の3つに大きく分類され、その重要性から“体の組織を支える第二の骨格”とも称されています。
筋肉をスムーズに動かすため、癒着・萎縮してしまった筋膜を解きほぐすのが「筋膜リリース」です。癒着が見られる筋膜をほぐすことで、正常な状態に戻していきます。筋膜は全身に張り巡らされているため、痛みやこりを感じる箇所だけを解きほぐすのではなく、全身をバランスよくほぐすことが大切です。腰や背中に痛みを感じる場合にはお尻や太ももなど下半身の筋膜リリースが、肩甲骨まわりの痛みには腕や脇などの筋膜リリースが有効です。
次は、筋膜リリースで期待される5つの効果&メリットをチェックしていきましょう。
多くの日本人を悩ませる、肩こりや腰痛の改善も期待できる筋膜リリース。トリガーポイントとなっている筋膜を引き剥がすことによって、滞っていた血行が促進され、こりや痛みの軽減に繋がります。
筋膜が癒着すると筋肉によって支えられている骨格が崩れ、体全体のバランスも悪くなってしまいがち。筋膜リリースによって筋肉の柔軟性をアップさせることで、骨格のバランスも整い、美しい姿勢へと改善されていきます。
凝り固まっていた筋膜が緩むことで筋肉の動きが良くなったり、関節の可動域が広がったりします。運動やストレッチ前の柔軟としてもおすすめです。
筋膜の癒着によって全身が緊張状態になると、心身の健康に大きな影響を及ぼす「自律神経」が乱れてしまうこともしばしば。筋膜リリースで筋膜の癒着を解消し、自律神経を整えて心身ともにリフレッシュしていきましょう。
骨や内臓を正しい位置に戻す効果も期待される筋膜リリース。内臓があるべきところに戻ることで、“筋膜のヨレ”解消によるたるみやむくみ、シワの改善なども期待できます。
ここからは、グッズを使わずに簡単にトライできる筋膜リリースを5つご紹介します。肩甲骨や背中まわり、下半身の痛みやこりにお悩みの方必見です!
背中や肩甲骨まわりを刺激する、簡単な筋膜リリースです。わずか1~2分で終わるので、仕事や家事の休憩タイムにもぴったり!
難易度:易しい
広背筋にアプローチできる脇の下の筋膜リリースは、肩こりや背中の痛みにお悩みの方におすすめ。簡単な動きですが、深部を刺激することで心地よさを感じられます。
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脚痩せ効果も期待できる、太ももの筋膜リリースです。内もも、外ももへのアプローチ方法をそれぞれご紹介します。
腰痛にお悩みの方も無理なく取り組める、お手軽な筋膜リリースです。上半身と下半身の繋ぎ目になる脚の付け根は、日常生活で大きな負荷がかかる部位。しっかり筋膜をリリースして、柔軟性を高めましょう。
関連記事:「腰痛」や「猫背」の改善に効果的な筋膜リリースについてまとめた記事はこちら
お腹まわりの筋膜を伸ばし、女性らしいくびれを作る筋膜リリースです。ダイエットやボディメイクにトライしたい方におすすめ。
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簡単な筋膜リリースストレッチに慣れてきたら、道具を使った方法もおすすめです。道具を使用することでより効果的に力を加えたり、狙った箇所を集中的に鍛えたりするメリットが期待できます。部位ごとに道具を使い分けたり、さまざまな運動と組み合わせたりして効果を高めていきましょう。
筋肉のこりが気になる部分に、ボールをコロコロと転がし当てるだけで簡単に筋膜リリースができます。肩や首、腰まわり、お尻の筋膜を集中してリリースしたい方におすすめです。
関連記事:マッサージボールを使った筋膜リリースについてまとめた記事はこちら
「フォームローラー」はトレーニンググッズとしても人気のアイテム。さまざまな形状のフォームローラーが展開されていますが、慣れないうちは表面が滑らかなフラットタイプがおすすめです。
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はじめて筋膜リリースにトライする際は、ケガやトラブルを防ぐため、そして成果をしっかり出すために以下のポイントに注意しましょう。
筋膜リリースに取り組む前に、前屈や後屈、首や肩(腕)の可動域をチェックしましょう。筋膜リリース前の体の状態を把握し、実践前の状態を知っておくことで、筋膜リリースによる体の変化を可視化できます。変化が一目瞭然なのでモチベーションアップにもつながります。
ゴリゴリと強くこすったほうがよいと思っている方も多いですが、強い力による刺激は皮膚への摩擦、筋肉の損傷や炎症を招きます。とくに、内出血や数日続く筋肉痛が現れている場合は要注意です。筋肉や筋膜が硬くなって逆効果になっている可能性もあるため、“イタ気持ちいい”くらいの力を意識しましょう。最初のうちは物足りないと感じる程度でもかまいません。
マッサージボールやフォームローラーを使う際は、道具のサイズも要チェック。「腰や太ももなど、下半身の筋膜リリースにはやや大きめ」「肩や脇の下など、ピンポイントに刺激を加えたい場合は小さめ」など、使う部位に合わせてサイズを選ぶことが効果を高める秘訣です。
体(筋肉)が冷えた状態では筋膜が滑らかに動かず、筋膜リリースの効果が下がってしまいます。お風呂上がりや軽いストレッチをしたあとなど、少し筋温度を高めてから取り組むのがおすすめです。
こり・痛みの解消や柔軟性アップだけでなく、姿勢改善やリフレッシュ効果も期待できる筋膜リリース。ダイエットやボディメイクにトライしたい方にもおすすめです。以下に当てはまる方は、ぜひ筋膜リリースを試してみてください。
筋膜リリースは、長時間のデスクワークや立ち仕事などが原因の肩こり・腰痛にお悩みの方におすすめです。患部を撫でたり揉んだりするマッサージも一時的な効果を発揮しますが、根本的な問題解決にはなりません。筋膜の癒着や萎縮を解きほぐして本来の動きを取り戻してあげることで、体を健康的な状態へと改善していきましょう。
筋膜リリースは、キュッとくびれたウエストや引き締まった二の腕など、理想のスタイルを叶えたい方にもおすすめです。骨や内臓を正しい位置に導くため、全身のむくみやたるみが解消されてスタイルアップにも効果的。また、筋肉の可動域・柔軟性を高めることで、スッキリとした後ろ姿を作るために必要な「僧帽筋」「広背筋」も鍛えやすくなります。筋肉にアプローチすることで基礎代謝もアップし、効率的なボディメイク&ダイエットが叶うのです。
筋膜リリースは、柔軟運動のようにトレーニング前のコンディション調整としても最適です。筋肉が緊張状態のときは体に大きな負荷がかかり、ケガに繋がってしまうこともしばしば。トレーニング前に筋肉の柔軟性を高め、より安全かつ効果的に体を鍛えていきましょう。
最後に、はじめて筋膜リリースを行う方が悩むことの多い項目をQ&A形式でご紹介します。疑問を解消して、楽しみながら筋膜リリースに取り組みましょう!
正しいやり方で取り組めばとくにデメリットはありませんが、すでに痛みを抱えている方やケガをしている方は要注意。筋膜リリース後に痛みが強く出たり、刺激によって患部の痛みが増す可能性もあります。不安要素を抱えている方は自己流で行うのではなく、専門家や医師に相談したうえではじめましょう。
筋膜リリースはすぐに効果が出るものではなく、継続していくことで少しずつ変化が生じるものです。早くとも2~3週間はかかると考え、地道にコツコツ取り組んでいきましょう。早く結果を出したいからといって、強い力で刺激するのは厳禁です。
筋膜リリースは継続することがなにより大切です。長時間でなければ毎日行っても問題ありませんが、無理に毎日続けようとするとプレッシャーになってしまいます。まずは一部位あたり1~2分からはじめてみましょう。「月曜日はお腹まわり、火曜日は脇の下、水曜日は…」といったように、日によって部位を変えていくと負担なく取り組めるでしょう。
慣れてきたら、同じ部位の筋膜リリースを1日2~3回してもOKです。ただし、痛みが出ているときやケガをしているときは、悪化を防ぐためにもスキップする(休む)ようにしましょう。
自宅でも簡単にトライできる「筋膜リリース」は、痛みや凝りの解消だけでなく、体の柔軟性アップや姿勢改善にも効果的。トレーニング前に取り入れることで体を緊張状態から解放し、ケガの予防にもつながります。ボディメイクやダイエットにチャレンジしたい方は、ぜひトレーニングの前後に“おうち筋膜リリース”を取り入れてみてくださいね!
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