バスソルトと入浴剤の違いは成分にあり!特徴や種類を理解してくつろぎのひと時を

監修者情報
水谷 さなえ
美容ライター・編集者
東北大学大学院農学研究科にて生理学を学ぶ。在学中からモデル・マネージャーとして美の世界に携わり、大学院修了後は美容情報サイトの企画やディレクションに携わる。
現在は美容系メディアのライター・編集者として活動中。
◼︎資格
日本化粧品検定1級
生物科学修士
バスソルトと入浴剤の違いはなに?


水谷 さなえ
バスソルトと入浴剤の違いは成分や効果、使い心地にあります。
入浴剤は、温浴効果や清浄効果を高める目的でお風呂に入れるものです。この点で言えば、バスソルトも入浴剤の一種と言えます。
しかし、バスソルトはおもに塩やミネラルを含み、肌にうるおいやみずみずしさを与える入浴料であるのに対し、入浴剤は、温浴効果や血行促進効果がある有効成分が配合された医薬部外品です。
バスソルトの原料として代表的なのは天然塩、または硫酸マグネシウムです。バスソルトは肌にうるおいを与えたり、引き締めたりする効果があります。
入浴剤にも似た特性がありますが、製品によってさまざまな成分が含まれています。肩こりや腰痛の軽減効果や皮膚の汚れや皮脂が落ちやすくなる効果があるものや、肌をなめらかに整えたり、リラックスできる香りを楽しめるものもあります。
バスソルトの特徴や種類

バスソルトには大きく分けて「天然塩」と「エプソムソルト」があります。似ているようで異なる特徴を持つため、違いを押さえておきましょう。違いを理解しておくことで、目的に合った製品を選びやすくなります。
天然塩
天然塩は、海塩、岩塩、湖塩など、自然の塩を主成分としたバスソルトで、肌に優しいのが特徴です。特にヒマラヤ岩塩や死海の塩はバスソルトによく使われます。
ヒマラヤ岩塩は塩化ナトリウムが主成分です。ピンク色や黒色をしたヒマラヤ岩塩は硫黄成分も含んでいるため、お風呂に入れれば気軽に温泉気分を味わえるでしょう。
一方、死海の塩は塩化マグネシウムが主成分で、肌によい影響を与えると言われています。
なお、天然塩は浴槽を痛める可能性があるため、使用後はしっかり洗浄することが大切です。
エプソムソルト
エプソムソルトは「ソルト」と名づけられていますが、実際には塩ではありません。15〜16世紀にイングランドの「エプソム」という場所で発見され、見た目が塩に似ているため「エプソムソルト」と名づけられました。
主成分は硫酸マグネシウムであり無色・無臭なので、強い香りが苦手な方や子どもがいる方でも使いやすいでしょう。
また、浴槽を傷めにくいため追い炊きを行うことが可能で、入浴後の後処理も簡単なのがメリットです。
入浴剤の特徴や種類


水谷 さなえ
入浴剤には大きく分けて「炭酸ガス系」「薬用植物系(生薬系)」「酵素系」「ミルク系」があります。
入浴剤にはさまざまな成分が使われており、得られる効果も多岐にわたります。ここでは、一般によくみられる4種類の入浴剤について、特徴を紹介します。
炭酸ガス系
炭酸ガス系の入浴剤は、炭酸水素ナトリウムと有機酸類(コハク酸、フマル酸、リンゴ酸など)、炭酸ナトリウムなどを原料とした入浴剤で、炭酸ガスの発生によりシュワシュワ泡立つのが特徴です。
お湯に溶けだした炭酸ガスは皮膚から吸収され、血管を広げます。この働きにより温浴効果が高まり、血行が促進されるほか、冷えや疲労の回復に効果が見込めます。
体に入った炭酸ガスは肺から出ていくため、体に蓄積したり害を及ぼしたりすることはありません。
薬用植物系(生薬系)
薬用植物系(生薬系)の入浴剤は、製品によって異なりますが、以下のような生薬を配合しています。
- センキュウ
- トウキ
- チンピ
- カミツレ
- ハッカ
生薬を切り刻んだものや成分を抽出したものなど、種類はさまざまです。
生薬はこれまで長く使われてきており、そこから見出された効果は現在でも注目されています。たとえば、センキュウやトウキには血行促進効果があるとされており、温浴効果を高めて肩こりや腰痛を軽減する作用が期待できます。また、チンピが含まれる入浴剤は、肌荒れが気になる方におすすめです。
酵素系
酵素系の入浴剤は、パパインやパンクレアチン、タンパク質分解酵素といった酵素を配合しています。
酵素の働きで皮膚の汚れや古い角質を除去し、肌の角質を柔らかくしてくれるのが特徴です。肌のざらつきが気になる方に適していると言えるでしょう。
皮膚の汚れや古い角質を除去する方法としてはボディスクラブもありますが、ボディスクラブよりも効果がマイルドなので、肌が敏感な方にもおすすめです。
ミルク系
お湯が白く濁るミルク系の入浴剤は、セラミドやコラーゲン、ヒアルロン酸などの保湿成分を含んでいます。
入浴によって保湿成分が全身の肌を包み込み、うるおいを与えてくれます。特に冬場は入浴後に肌が乾燥しやすいため、スキンケアをしないと肌のかさつきが目立ちがちです。肌を保湿してくれるミルク系の入浴剤は、肌が乾燥しやすい冬場や「入浴後のスキンケアは面倒だけど肌を保湿したい」といった場合に便利でしょう。
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バスソルトと入浴剤、おすすめの人を紹介


水谷 さなえ
バスソルトは「冷え性の方や自然志向の方」に、入浴剤は「美容効果を求める方」におすすめです。
ここでは、バスソルトと入浴剤について、それぞれどのような方におすすめか紹介します。
バスソルトをおすすめする人
バスソルトに含まれる塩類は、肌表面のたんぱく質と結合してベールをつくり、体から熱が出ていくのを防ぎます。つまり、入浴後も湯冷めしにくく、ポカポカが長続きするのです。実際、バスソルトの成分である無機塩類を含んだお湯に入浴した場合とさら湯(淡水)に入浴した場合では、前者の方が皮膚表面温度が下がりにくいというデータがあります。そのため、バスソルトは冷え性の方におすすめです。
また、バスソルトはヒマラヤ岩塩や死海の塩など自然の原料を使っています。「なるべく自然なものを使いたい」という自然派志向の方にもおすすめです。
入浴剤をおすすめする人
入浴剤にはさまざまな成分が含まれており、そのなかには保湿成分や抗炎症成分なども含まれます。そのため、入浴剤は美容効果を求める方、特に乾燥肌や敏感肌の方におすすめです。
たとえば、セラミドやコラーゲン、ヒアルロン酸などの保湿成分は、入浴中に肌の角質まで浸透してうるおいを与えてくれます。肌をうるおすことでキメが整い、透明感のある肌に近づけるでしょう。
また、製品によってはグリチルリチン酸やアラントインといった抗炎症成分を含んでいる場合もあります。肌が敏感な方や肌荒れしやすい方には、肌荒れ予防有効成分を含む入浴剤がおすすめです。
バスソルトと入浴剤の違いに関するよくある質問

バスソルトと入浴剤は併用していいですか?
エプソムソルト(バスソルトの一種)と入浴剤は併用しても問題ありません。併用することで、両方の効果を得ることができるでしょう。
ただし、エプソムソルトにも入浴剤にも香りがついていると、香りが強くなりすぎて不快に感じる可能性があります。併用したい場合は、エプソムソルトか入浴剤のどちらか、あるいは一方を無香料タイプのものにするとよいでしょう。
バスソルトは肌荒れに効果がありますか?
バスソルトそのものが肌荒れを治す効果を持つわけではありませんが、適切に使用することで肌をやさしく整えるサポートが期待できます。たとえば、バスソルトに含まれるミネラル成分は、入浴中に肌をやわらかくし、不要な汚れを落としやすくする働きがあります。
また、一部のバスソルトには保湿成分や天然オイルが配合されているものもあり、肌の乾燥を防ぎながら健やかな状態を保つのに役立つでしょう。ただし、肌が敏感な場合や傷がある場合などで刺激を感じたら使用を控えましょう。
バスソルトと入浴剤の違いを知って使い分けよう
バスソルトはおもに天然の塩やミネラルを含み、湯冷めを防ぐ効果があるため、冷え性の方や自然志向の方におすすめです。
一方、入浴剤は製品によって生薬や酵素、保湿成分などさまざまな成分を含んでおり、美容効果を求める方におすすめです。
このように、バスソルトと入浴剤は成分や効果、使い心地が異なります。両者の違いを理解して、目的や肌の状態にあわせて上手に使い分けましょう。