水を飲み過ぎると水中毒のおそれあり!1日の摂取量を守って水分補給

監修者情報
板垣 奏穂
管理栄養士
管理栄養士と栄養教諭として働いた経験を活かし、食に関する記事の監修などを行う。
経営者支援事業などを展開する株式会社バシコミを経営するかたわら、プライベートでは20種類以上のアレルギーを持つ子どもの母でもあり、アレルギーや離乳食に関する相談の窓口としても活動している。
◼︎資格
管理栄養士
栄養教諭
【結論】水の飲み過ぎには注意が必要


板垣 奏穂
水を飲みすぎると水中毒のリスクがあり、命に関わる可能性もあるため注意が必要です。
水分補給は健康維持に欠かせませんが、飲みすぎには注意が必要です。過剰に水を摂取すると、血液中のナトリウム濃度が低下し「水中毒(低ナトリウム血症)」を引き起こすおそれがあります。症状としては、頭痛や吐き気、けいれん、意識障害などがあり、重症化すると命に関わるケースも。健康のために水を飲んでいるつもりが、かえって体調不良を招いてしまうこともあるのです。
一方で、水分が不足しても脱水や熱中症、便秘などのリスクが高まります。つまり、水分は摂りすぎても不足しても体に悪影響を及ぼします。まずは自分に合った適切な摂取量を知り、日常的にバランス良く水分補給を行うことが大切です。
水分補給の重要性

水分補給は、健康を維持するうえで欠かせない習慣です。体内の水分は、体温調節や老廃物の排出、血液やリンパの循環などに関わっており、常に一定の水分量を保つ必要があります。
水分が不足すると、脱水症状や頭痛、倦怠感が起こりやすくなり、肌の乾燥や便秘といった不調の原因にもなります。特に汗をかきやすい季節や運動時は、いつも以上に意識してこまめな水分補給を心がけることが大切です。また、水をしっかり摂ることで新陳代謝が促され、疲労回復や肌トラブルの予防にもつながります。日頃から水分を意識的に取り入れることが、内側からの健康づくりにつながります。
水分の一日の摂取目安量【何リットル摂取するべき?】

人の体の半分以上は水分で構成されており、成人女性で約55%、男性では約60%を占めます。たとえば体重53kgの女性であれば、体内に約29kg分の水分が含まれている計算になります。これらの水分は、体温調整や栄養の運搬など、生命維持に欠かせない役割を担っています。
しかし、呼吸や汗、尿などを通じて、男性は1日約2.5リットル、女性は約2.2リットルの水分を失っています。食事や体内で生成される水分を差し引くと、飲み物として補うべき量は、男性で約1.2リットル、女性で約0.9リットルが目安です。
無理に大量に飲む必要はありませんが、自分に必要な量を意識して、こまめな補給を心がけましょう。
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水分補給のポイント
水分補給は、量だけでなく「飲み方」も重要です。せっかく水分を摂取しても、タイミングや方法を誤ると体に吸収されにくく、逆に負担になることもあります。そこでここでは、体にやさしく効率良く水分を取り入れるためのポイントを4つ紹介します。
こまめに補給する
水分補給は、一度に大量に飲むよりも、少量ずつこまめに摂るのが効果的です。たとえば、一気に1リットルの水を飲もうとすると、現実的に難しいうえ、胃腸に負担がかかり、むしろ体調不良を引き起こす可能性もあります。
1回あたり200ml前後を目安に、朝・昼・夜の食事以外にも、通勤や運動、作業の間やその前後など、こまめに飲む習慣を取り入れることで、体に負担なく水分補給ができます。「ちょこちょこ飲む」習慣を身につけましょう。
なるべく水で摂取する
水分補給は、できるだけ「水」で摂るのが理想です。お茶やコーヒーにも水分は含まれていますが、カフェインによる利尿作用があるため、摂りすぎると水分が排出されやすくなります。さらにアルコールは、利尿作用に加え、体内で分解される際に水分を必要とするため、結果的に脱水状態を招くリスクも。カフェイン飲料、特にアルコールは水分補給としては適していないため、水分摂取量に含めないようにしましょう。
日常的には、水を中心にこまめな補給を心がけることで、体に負担をかけずに効率良く水分を取り入れることができます。
就寝前・起床後に積極的に摂取する
就寝中は汗や呼吸によって水分が失われやすく、朝の体は軽い脱水状態になっています。起床後にコップ一杯の水を飲むと、乾いた口内が潤い、血流も良くなり、目覚めがスッキリしやすくなります。
また、就寝前に適量の水を摂っておくことで、寝ている間の水分不足を防ぐことが可能です。ただし、飲みすぎると夜間にトイレで目が覚めてしまうこともあるため、200ml程度が目安です。
1日を気持ちよく始め、快適に終えるためにも、就寝前・起床後のタイミングでの水分補給を習慣づけましょう。
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電解質も合わせて補給する
水分補給では、水分と合わせてナトリウムやカリウムなどの電解質も補うことが大切です。これらの成分は汗とともに体外へ失われやすく、不足すると脱水症状や筋肉のけいれんを招くことがあります。
特に運動後や大量に汗をかいた日は、スポーツドリンクや経口補水液などで効率良く電解質を摂取するのがおすすめです。ただし、運動をしていないときにこうした飲料を飲みすぎると、糖分やカロリーの過剰摂取につながる可能性もあるので注意しましょう。
水の過剰摂取に関するよくある質問
水を飲みすぎて気持ち悪くなったらどうしたらいい?
水を短時間で大量に飲んで気分が悪くなったときは「水中毒(低ナトリウム血症)」の可能性があります。これは体内のナトリウム濃度が下がることで起こり、頭痛や吐き気などの症状を引き起こすことも。まずは水分の摂取を一旦控え、経口補水液やスポーツドリンクなど、塩分・糖分を含む飲料を少しずつ口にしましょう。改善が見られない場合や症状が強いときは、無理をせず速やかに医療機関を受診してください。
水を飲みすぎると太る?
水にはカロリーが含まれていないため、たくさん飲んだからといって太ることはありません。むしろ、水分でお腹が満たされることで食欲が抑えられやすくなり、食べすぎの予防にもつながります。
特に食前にコップ一杯の水を飲む習慣は、ダイエットのサポートとしても効果的です。ただし、一度に大量に飲むと胃腸に負担がかかる場合があるため、1日を通して少しずつこまめに摂るのがポイントです。
「ちょうどいい」水分補給で体を整えよう
水分補給は健康を保つうえで欠かせない習慣ですが「足りない」「摂りすぎ」のどちらも体に負担をかけてしまいます。大切なのは、自分に合った1日の適切な摂取量を知り、体調や活動量に応じてこまめに補給することです。
特に飲むタイミングや量を意識することで、体内への吸収効率も高まります。さらに、電解質を一緒に補ったり、就寝前・起床後に意識的に水分をとったりすることも日常の水分管理には効果的です。正しい水分補給を行って、内側から健康な体を目指しましょう。