家庭用蓄電池のデメリットとは?「やめたほうがいい」と言われる理由と後悔しない判断軸

家庭用蓄電池のデメリットとは?「やめたほうがいい」と言われる理由と後悔しない判断軸

監修者情報

高橋 卓也

高橋 卓也

ソーラーパートナーズ総研 所長/一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)住宅部会 普及促進WGリーダー

太陽光発電アドバイザーとして累計15,000件以上の相談に対応。専門知識を活かしてコンテンツ制作にも携わるほか、業界団体において住宅用太陽光発電の普及に向けたセミナー講演などを多数行っている。

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◼︎資格
特定非営利活動法人 日本住宅性能検査協会(内閣府認証)
・太陽光発電アドバイザー
・ペロブスカイト太陽電池アドバイザー
・蓄電池アドバイザー

一般社団法人 日本不動産仲裁機構(法務大臣認証ADR機関)
・不動産ADR

家庭用蓄電池は、電気代の節約や停電対策に役立つ設備として注目されていますが、インターネット上では「やめたほうがいい」「導入して後悔した」という声も見かけます。

気になって調べてみても、良い話と悪い話が混ざっていて、何を信じればいいのか迷ってしまうこともあるでしょう。

こうした情報があふれるなかで大切なのは、デメリットを正しく理解したうえで「自分の家庭にとって本当に必要かどうか」を判断することです。

この記事では、家庭用蓄電池の主なデメリットと、なぜ「やめたほうがいい」と言われやすいのかを整理しつつ、後悔しないための考え方をわかりやすく解説します。

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家庭用蓄電池はなぜ「やめたほうがいい」と言われるのか

家庭用蓄電池について調べると、否定的な口コミや体験談が目に入りやすく「本当に導入して大丈夫なのか?」と不安になる人は多いです。

特に高額な設備であるからこそ、少しでもネガティブな情報があると気になってしまいます。

実際のところ「やめたほうがいい」と言われる理由は一つではありません。

初期費用の高さや投資回収の難しさ、寿命や劣化の問題、停電時に思ったほど使えないケースがあることなど、いくつかの要素が重なって不満や後悔につながっています。

また、インターネット上では、古い情報や一部の事例がそのまま広がってしまい、誤解と事実が混ざった状態で語られやすいという面もあります。

大切なのは「デメリットがあるからやめたほうがいい」と一括りにするのではなく、自分の家庭にとって本当に当てはまるデメリットなのかを切り分けて考えることです。

次の章から、よく言われる家庭用蓄電池のデメリットについて具体的に見ていきましょう。

デメリット① 初期費用が高く、投資回収に時間がかかる


家庭用蓄電池のデメリットとして、まず多くの人が気にするのが初期費用の高さです。

本体価格にくわえて設置工事費もかかるため、決して安い買い物ではありません。

また、蓄電池は短期間で元が取れるタイプの設備ではないことも知っておく必要があります。

電気代の削減効果や売電・自家消費のバランスは、家庭ごとの電気使用量や契約プラン、太陽光発電の有無によって大きく変わります。

そのため「何年で元が取れるか」は一律には言えず、家ごとに差が出やすいのが実情です。

こうした事情から「思ったより元が取れない」「シミュレーションよりもお得感が少ない」と感じてしまい、デメリットとして語られることが多くなっています。

家庭用蓄電池の価格については、以下の関連記事でより詳しく解説しています。

「何年で元が取れるか」だけで判断すると失敗しやすい理由

家庭用蓄電池を検討する際に「何年で元が取れるか」だけに注目してしまうと、判断を誤りやすくなります。

その理由の一つは、電気料金や使用量は将来変わる可能性が高いからです。

電気料金はここ数年でも大きく変動しており、今後も同じ条件が続くとは限りません。

また、家族構成や生活スタイルの変化によって、電気の使い方も変わっていきます。

さらに、国の制度や売電単価も固定ではないため「現在の条件を前提にした回収年数」はあくまで目安にすぎません。

シミュレーション通りにいかないからといって、必ずしも失敗とは言えないのです。

ここで一度、ほかの高額な消費財と比べてみましょう。

家庭用蓄電池は「耐久消費財」に分類され、自動車や冷蔵庫、エアコンなどと同じカテゴリに入ります。

自動車を購入する際、燃費や維持費は気にしても「何年で元が取れるか?」まで厳密に計算する人は多くありません。

それと同じように、太陽光発電や蓄電池も“投資商品”というより“長く使う生活インフラ”として捉える視点も必要です。

もう一つのポイントは、防災としての価値は金額だけでは測りにくいという点です。

停電時に冷蔵庫や照明が使える安心感、在宅で仕事を続けられることなどは、単純な「元が取れる・取れない」の計算にはあらわれにくい部分です。

そのため、家庭用蓄電池は「何年で元を取れるか」だけで判断するのではなく、電気代対策と防災を含めたトータルの安心感に、どこまで価値を感じるかで考えるとよいでしょう。

デメリット② 使うほど劣化し、容量は減っていく

家庭用蓄電池は、充放電を繰り返すことで少しずつ性能が落ちていくという性質があります。

新品のときと同じ容量を、ずっと維持できるわけではありません。

この点は、スマートフォンのバッテリーと同じと考えるとわかりやすいでしょう。

家庭用蓄電池の多くは、スマートフォンと同じリチウムイオン電池を使っており、使い続けることで電池が劣化していきます。

一般的な家庭用蓄電池では、使用年数がたつにつれて、実際に使える容量が少しずつ減っていきます。

カタログ上の容量は同じでも「以前より長くもたなくなった」と感じる時期がいずれくるでしょう。

そのため、家庭用蓄電池は将来的な買い替えが前提になる設備だと考えておく必要があります。

一度導入すれば一生そのまま使える、というものではない点はデメリットの一つです。

蓄電池の容量については、以下の関連記事でも詳しく解説しています。

寿命・保証を確認しないと後悔につながる

蓄電池の劣化や容量の低下は避けられないからこそ、寿命と保証内容を事前にしっかり確認しておくことが重要です。

家庭用蓄電池の寿命は、おおまかに10〜15年程度が目安とされていますが、これはあくまで目安であり、使い方や製品によって変わります。

また、メーカーごとに保証年数や保証内容が大きく異なる点にも注意が必要です。

特にチェックしたいのが、容量保証の有無です。「◯年後に何%の容量を保証する」といった条件があるかどうかで、将来の安心感は大きく変わります。

寿命や保証についてさらに知りたい人は、以下の関連記事をご覧ください。

デメリット③ 停電時でも「家全体」はまかなえないことが多い

家庭用蓄電池を検討する人のなかには「停電しても家中の家電をいつも通り使いたい」と考える人もいます。

しかし、実際には、停電時でも家全体をまかなえるケースは多くありません。

家庭用蓄電池には、ためられる電気の量(容量)や一度に使える電力(出力)に限りがあります。

そのため、停電時にすべての家電を同時に使えるとは限りません

給電できる回路があらかじめ決められている場合も多く、エアコンやIHクッキングヒーターなど、消費電力の大きい家電は使えない、または使用が制限されることがあります。

こうした制約を知らずに導入してしまうと「思っていたほど停電時に使えない」「期待していたイメージと違う」と感じてしまい、不満や後悔につながりやすくなります。

全負荷型・特定負荷型の違いを理解しておく必要がある

停電時の使い勝手をイメージするうえで、全負荷型と特定負荷型の違いを理解しておくことは非常に大切です。

全負荷型は、家全体に電気を送るタイプですが、容量や出力には上限があるため、理論上は家全体に給電できても、同時に多くの家電を動かすと電力が足りなくなる場合があります。

一方、特定負荷型は、あらかじめ決めた部屋やコンセントだけに電気を送るタイプです。

使える機器が限定される代わりに、重要な場所にしぼって電気を確保できるのが特徴です。

どちらのタイプを選ぶにしても、事前の設計と打ち合わせ次第で、停電時の満足度は大きく変わります。

「どの家電をどのくらい使いたいのか」を具体的に伝えたうえで、最適なプランを提案してもらうことが大切です。

デメリット④ 設置スペース・騒音・配線などの現実的な制約

家庭用蓄電池は、カタログ上のスペックだけでなく、設置スペースや周囲の環境といった現実的な条件も考える必要があります。

蓄電池は屋内タイプと屋外タイプがあり、どちらの場合も設置できる場所に条件があることが一般的です。

通気性や安全性を確保できるか、直射日光や雨風の影響はどうかなど、細かい確認が必要になります。

また、製品によっては運転時の音が気になる場合もあります。

特に寝室の近くや、日常的に人が過ごすスペースの近くに設置する場合は、騒音の感じ方も事前に確認しておきたいポイントです。

さらに、分電盤からの距離や配線ルートによっては、工事が大がかりになり、費用や工期が増えるケースもあります。

見た目の配線が気になる場合は、その点も含めて相談しておくと安心です。

デメリット⑤ 点検・故障対応など導入後の負担

家庭用蓄電池は、一度設置して終わりではなく、導入後の点検や故障対応といったメンテナンスも必要になります。

長く使うなかで、定期点検や修理が発生することもあります。

こうした対応の速さや費用負担は、メーカーや販売店によって差が出やすい点です。

さらに長期的には、メーカーの事業方針変更や撤退によって、修理部品の供給やサポートが受けにくくなるリスクも考えられます。

そのため、導入前には価格だけでなく、アフターサービスの体制や実績まで含めて確認しておくことが重要です。

同じような価格帯の製品であっても、サポート内容や対応のきめ細かさには違いがあります。

それでも家庭用蓄電池を検討するメリットがある人の特徴

ここまでデメリットを中心に見てきましたが、家庭用蓄電池が不要な設備だと一概に言えるわけではありません

考え方や目的によっては、前向きに検討する価値のある設備でもあります。

たとえば、家庭用蓄電池は電気代を下げるためだけの設備ではありません

停電時の備えや、将来の電気料金上昇への対策など、暮らしの安心感を高める目的も含めて考える人にとっては、有力な選択肢です。

また、短期間での回収を強く求めなければ、蓄電池の見方も変わります。

10年前後のスパンで、非常時に電気が使える安心感を求めたり、日頃の電力消費をコントロールできることを重視する人であれば、蓄電池の価値を感じやすくなるでしょう。

後悔しないために最低限やるべきこと

デメリットを理解したうえで、それでも家庭用蓄電池を検討するのであれば、いくつかのポイントを押さえておくことで後悔のリスクは大きく下げられます。

まず大切なのは、自分の家庭の条件を整理することです。

電気の使用量や使う時間帯、オール電化かどうかに加え、停電時に「どの家電をどの程度使えれば安心か」を具体的にイメージしておくと、必要以上に大きな設備を選ばずに済みます。

次に、複数社から見積もりを取ることも欠かせません。

蓄電池は同じような容量でも、価格や工事内容、アフターサービスの考え方が業者ごとに異なります。

比較することで、自分の条件に合った提案かどうかを冷静に判断しやすくなります。

さらに可能であれば実績のある業者や専門家に相談することも検討してみましょう。

第三者の視点で容量や使い方を確認してもらうことで「本当にこの選択でいいのか」という不安を減らし、納得感のある判断につながります。

まとめ|家庭用蓄電池はデメリットを理解して選ぶ設備

家庭用蓄電池には、初期費用の高さや劣化・寿命、停電時の制約やメンテナンスの負担など、たしかにいくつかのデメリットがあります。

そのため、すべての家庭にとっておすすめできる設備とは言えません。

一方で、デメリットを理解したうえで、電気代対策と防災の両方を考えたい人にとっては、有力な選択肢になり得る設備でもあります。

大切なのは、良い面だけを見て決めるのでも、悪い口コミだけを見てあきらめるのでもなく、自分の家庭にとってのメリットとデメリットを比べて判断することです。

家庭用蓄電池は「なんとなく不安だからやめておく」「とにかくお得そうだから導入する」といった決め方をすると、後悔につながりやすくなります。

デメリットをきちんと理解したうえで、自分たちの暮らしに合うかどうかを冷静に見極めて判断しましょう。

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