筋肉痛の緩和にはストレッチがおすすめ!運動前後に最適なストレッチをご紹介
監修者情報
槇村 糸
ヨガ・バレエ講師
幼少時代からバレエを始め、ダンサーとして舞台活動を行う。
現在はフリーランスのフィットネスインストラクターとしての活動も行っており、公共施設や教育機関などで子ども〜成人・高齢者に向けたヨガ、バレエ、ボディメイクなどのレッスン指導を行う。
■資格
・日本ヨガインストラクター協会2級
・ADI(エアロビックエクササイズインストラクター)
運動前後のストレッチが筋肉痛に効く理由
運動後の筋肉痛について、「運動を頑張った実感が得られて好き!」という方は少数派。痛みの不快感に悩んだり、できれば痛い思いはあまりしたくないという方のほうが多いのではないでしょうか。
筋肉痛は普段の生活で使いきれていなかった筋肉が刺激されたことによって起きるもので、“効いている証拠”ではありますが、できれば避けたいもの。運動の前後にストレッチを効果的に取り入れることにより、筋肉痛は緩和することができます。では、ストレッチが筋肉痛に効くのはなぜなのでしょうか。
ストレッチは筋肉の血流を改善する
ストレッチの最中、筋肉内の血管は引き伸ばされることでいったん細くなり、その後ストレッチをやめて筋肉を解放するとリバウンドの現象によって血流量が増加します。凝り固まっている筋肉がほぐれることで筋肉内の血流も改善されるため、トレーニングの前後のストレッチは効果的なトレーニングにつながるだけでなく、筋肉痛の予防や緩和にも貢献するのです。トレーニング前、トレーニング後、それぞれの場面でのストレッチの効果についてご紹介します。
トレーニング前にストレッチをすると効く理由
普段の生活で十分に使いきれていなかった部分の筋肉は、動きが鈍く固くなってしまいがち。筋肉が固まったまま高負荷のトレーニングや運動を行うと、筋肉は急激な伸び縮みに対応しきれず断裂して、筋肉痛を発生させてしまいます。ときには、ひどいケガにつながってしまうケースも…。運動前のストレッチで血流を改善し筋肉を温めておくことで、さまざまな運動を体に負担をかけすぎず行うことができます。
トレーニング後にストレッチをすると効く理由
運動をした後の筋肉は疲労によって緊張が高まり、固くなっています。そのまま放置しておくと筋肉に十分な血液が運ばれず、疲労回復が遅れることも。疲れの回復を円滑にし、激しい筋肉痛を予防するためにも、運動後のストレッチは必ず行いたいものです。
筋肉痛を予防!運動前にできる全身を温めるストレッチ
運動前には、軽く反動をつけて行う動的ストレッチがおすすめ。全身の血流をアップして、体を温めましょう!
<全身を温めるストレッチ>
上半身4種類、下半身4種類の運動が含まれています。それぞれの運動の回数に決まりはありませんが、一つの動作ごとに5〜10回程度を繰り返し行ってみましょう。数回の繰り返しによって筋肉を徐々にストレッチします。
■実際にストレッチを行ってみましょう
難易度:易しい
- 立った姿勢になり、両足を腰幅に開きます。
- 首を前後、左右に倒します。
- 肩を上げ下げします。
- 両手をバンザイします。
- 足幅をやや広げて、右手を左斜め上に向かって伸ばしながら側屈します。
- 左手も同様に側屈します。
- 膝を胸に近づけるように交互に持ち上げ、もも上げをします。
- 右足を前へ蹴り上げ、左手と右足つま先をタッチします。
- 左足も同様に、交互に繰り返します。
- 両手を太ももに置いて、屈伸運動をします。
- 屈んだ状態から足首を掴んで、お尻を上げてもも裏を伸ばします。
■全身を温めるストレッチのポイント
強い痛みを感じた場合は無理に動かそうとせず、小さい動きで数回繰り返してみましょう。
息を止めないよう意識しながら、呼吸と連動してストレッチをするとさらに血行促進効果がアップします。
筋肉痛を緩和する!運動後のストレッチ
運動後には、じっくり時間をかけて行う静的ストレッチで血流をアップ!筋肉の疲労回復を促しましょう!
<ふくらはぎの筋肉痛に効くストレッチ>
ふくらはぎの筋肉を伸ばす簡単なストレッチです。足先のむくみの解消にも効果的です。
■実際にストレッチを行ってみましょう
難易度:易しい
- 床に座った姿勢になり、両足を前に伸ばします。
- 両足のつま先を天井向きにして、かかとをけり出すようにします。
- ふくらはぎの伸びを感じたら、5秒程度キープします。
- ゆっくりつま先の力を緩めます。
■ふくらはぎの筋肉痛に効くストレッチのポイント
つま先が天井向きになってもふくらはぎの伸びを感じにくい場合は、つま先を顔の方へ向けたり、前脛とつま先を近づけるイメージで行ってみましょう。
<背中の筋肉痛に効くストレッチ>
背中の筋肉痛を緩和する、簡単なストレッチです。座りっぱなしや立ちっぱなしで緊張した背中の筋肉をほぐし、血流を改善するのにも効果的なストレッチです。
■実際にストレッチを行ってみましょう
難易度:易しい
- 正座やあぐらの状態など、お好きな座った姿勢になります。
- 両手の指を胸の前で組み、繋いだ手を前方に向かって伸ばします。
- 手を前に出しながら背中を丸めて、おへそを見ます。
- 背中の伸びを感じたら、10秒程度キープします。
- ゆっくり腕を下ろし、姿勢を戻します。
■背中の筋肉痛に効くストレッチのポイント
背中の筋肉を伸ばしているときは、呼吸を忘れないように行いましょう。とくに、息を吸ったときに背中の筋肉が伸びるようなイメージで胸を膨らませると、効果的なストレッチになります。
<太ももの筋肉痛に効くストレッチ>
壁にお尻をつけて、体の重さを壁に預けて行うストレッチです。壁を使うことで上半身を脱力することができ、より深いストレッチになります。反動をつけず、ゆっくり呼吸をしながら行いましょう。
■実際にストレッチを行ってみましょう
難易度:易しい
- 壁から30〜40㎝程度離れたところに、壁を背にして立ちます。
- 足の位置を動かさず、壁にお尻をつけて寄りかかります。
- お尻を壁につけたまま、上半身の力を抜いて前屈します。
- もも裏に伸びを感じたら、呼吸をしながら1分程度キープします。
- ゆっくり壁に背中をつけるように起き上がります。
■太ももの筋肉痛に効くストレッチのポイント
前屈をしたときに伸びすぎるもしくは痛みが強い場合は、両手を太ももに置いて体が倒れすぎないように支えましょう。
上半身は脱力することでもも裏を伸ばすための重りになります。視線は床でなく、すねや膝を見るようにして首に負担がかからないようにしましょう。
<お腹の筋肉痛に効くストレッチ>
お腹の筋肉を伸ばす簡単なストレッチです。腹筋運動と組み合わせて行えば、内臓のマッサージや血行促進にも効果的!
■実際にストレッチを行ってみましょう
難易度:易しい
- うつ伏せで寝た姿勢になります。
- 両手を肩の下におきます。
- 両手で床を押して、上半身を持ち上げます。
- お腹の伸びを感じたら、呼吸をしながら20秒程度キープします。
- ゆっくり体を床へ下ろします。
■お腹の筋肉痛に効くストレッチのポイント
手を床に置いて体を起こすのがつらい方は、肘を床に置いて同様に行ってみましょう。
呼吸を止めないように意識し、できれば腹式呼吸をすることで、よりお腹の筋肉を刺激して血流をアップできます。
<二の腕の筋肉痛に効くストレッチ>
二の腕の筋肉痛に効く簡単にできるストレッチです。肩こりの改善にも効果的なストレッチです。
■実際にストレッチを行ってみましょう
難易度:易しい
- 正座やあぐらの状態など、お好きな座った姿勢になります。
- 両手の指を胸の前で組み、繋いだ手をひっくり返して手のひらを外に向けながら前方に向かって伸ばします。
- 肘を伸ばし切ったら、さらに肩から腕を前に押し出すようにします。
- 腕の伸びを感じたら、10秒程度キープします。
- ゆっくり腕を下ろします。
■二の腕の筋肉痛に効くストレッチのポイント
必ず呼吸をしながら行いましょう。力を入れるとつい息が止まってしまいがちですが、呼吸を止めることは筋肉を緊張させる原因になります。
吐く息で血管はさらに広がるため、吐く息を中心にゆっくりとした呼吸を心がけます。
逆効果!?ストレッチで筋肉痛が悪化するパターン
以下のような場合は、無理にストレッチをするのではなく、傷んだ筋肉を休ませる必要があります。
- 筋肉痛になっている筋肉に熱がある
- 鈍痛というより、鋭い痛みがある
- 筋肉痛で体が動かせず、痛みがつらくストレッチの姿勢を維持できない
とくに痛みのある筋肉が熱を持っている場合は筋繊維が炎症を起こしているため、しっかり冷やしてあげましょう。痛みが多少和らげば少しずつストレッチを再開してもよいですが、数日経っても痛みがひかない場合は肉離れなどのおそれがあるため、整形外科などへの受診も検討しましょう。
ストレッチを効果的に取り入れて筋肉痛と上手に付き合おう!
筋肉痛は頑張った証とも言えますが、生活に支障が出る痛みはできるだけ避けたいもの。筋肉痛を予防するためにも、そして筋肉痛から早く回復するためにも、ストレッチは欠かせません。ストレッチを運動やトレーニングとセットで行うことで、筋肉痛と上手に付き合っていきましょう!