尾てい骨が痛むのはなぜ?痛みの原因や、改善するためのおすすめストレッチをご紹介
監修者情報
槇村 糸
ヨガ・バレエ講師
幼少時代からバレエを始め、ダンサーとして舞台活動を行う。
現在はフリーランスのフィットネスインストラクターとしての活動も行っており、公共施設や教育機関などで子ども〜成人・高齢者に向けたヨガ、バレエ、ボディメイクなどのレッスン指導を行う。
■資格
・日本ヨガインストラクター協会2級
・ADI(エアロビックエクササイズインストラクター)
尾てい骨が痛む原因は?
まず尾てい骨の位置を確認しましょう。尾てい骨は、お尻の中央、お尻の穴から少し後ろの上部にあります。
長時間座っているときや、低い姿勢から立ち上がるときによく痛みを感じたり、就寝中に痛みで目が覚めるなど慢性的な尾てい骨まわりの痛みが続く場合は、日常生活の習慣が原因となって痛みを引き起こしている可能性があります。主な原因としては以下のものが考えられます。
座り姿勢が悪い
椅子に浅く腰掛けて背中が丸まっている状態や足を組んで座る状態が習慣になっていると、尾てい骨に過度な負荷がかかってしまい痛みを引き起こします。
正しい座り姿勢であれば坐骨(骨盤の最下部)が座面に当たり骨盤をしっかり立たせた状態になりますが、骨盤が後ろに倒れ背中が丸まった状態で座っていると尾てい骨が座面に当たったり体の重みが尾てい骨まわりに集中し、負担をかけてしまうのです。
お尻の筋肉の凝り
尾てい骨の近くにはお尻の表面の筋肉(大殿筋)や、股関節を動かすためのインナーマッスルがあります。それらのお尻の筋肉が慢性的に凝りかたまってしまうと痛みを引き起こします。
妊娠・出産による骨格バランスの変化
産前産後は骨盤が開くだけでなく、前に大きく出るお腹の重みに引っ張られて骨盤が前傾し、尾てい骨が外に開いた状態になりやすいです。女性は生理周期や妊娠・出産などで骨盤まわりの変化が大きいために、尾てい骨まわりの神経を圧迫し痛みを引き起こしやすいとも言われます。
尾てい骨の痛みに効く改善策を原因別にご紹介
尾てい骨の痛みを改善する方法を、それぞれの原因に沿ってご紹介します。
悪い座り方が原因:正しい座り姿勢を意識しましょう
椅子に座るときは背もたれにお尻がつくまで深く座り、尾てい骨の上部から腰を背もたれがしっかり支えている状態で座りましょう。デスクワークなどで長時間座った姿勢を続ける場合は、正しい姿勢が維持しやすい椅子や机を使うのもおすすめです。
お尻の筋肉の凝りが原因:凝りをほぐして筋肉を伸ばしましょう
凝りかたまったお尻の筋肉をほぐすためには、ストレッチが効果的です。ストレッチをすると筋肉内の血流が改善し、痛みの軽減にもつながります。
また、立っているときの姿勢が崩れていたり、股関節の運動が少ない状態が続いたりするとお尻の筋肉は衰え、凝りかたまってしまいます。適度な運動やストレッチで尾てい骨まわりの筋肉をほぐす習慣をつけましょう。
妊娠・出産が原因:産褥期(さんじょくき)にしっかり休み、骨格バランスを整えるストレッチをしましょう
妊娠や出産に伴う体の変化は大きく、尾てい骨だけでなく体のさまざまな部分に影響を及ぼします。とくに出産後の産褥期は開いた骨盤が元に戻ろうとする大切な時期。骨盤や尾てい骨に必要以上の負担がかかると骨盤が元の状態に戻りにくくなるだけでなく、正しい位置に戻れずに痛みを引き起こしてしまいます。大きな負担をかけることは避けて体を休めつつ、負荷のかかりすぎないストレッチなどを取り入れながら、骨格バランスを整えましょう。
尾てい骨の痛みを改善!筋肉をほぐすおすすめストレッチ3選
尾てい骨の痛みを改善する、お尻や股関節の筋肉をほぐして伸ばすストレッチを3つご紹介します。いずれも負担のかかりすぎない易しいポーズなので、痛みに悩む方はもちろん、産褥期の方にもおすすめのストレッチです。
①揺らすだけストレッチ
日常生活の中ではなかなか伸ばしきれないお尻の筋肉と、股関節を縦方向に伸ばすストレッチです。
さまざまな角度でお尻や股関節を揺らしながら気持ちよく伸ばしましょう。
■実際にストレッチを行ってみましょう
難易度:易しい
- 四つん這いの姿勢から手と手の間に左膝をたたんで置き、右足は後方へ伸ばしましょう。
- 左足のかかとは太ももの真下ではなく手前に出して下っ腹やおへその真下へ置きます。
- 右足の付け根を床に近づけます。
- 1〜3の体勢のまま体を左右に揺らします。揺らすたびに伸ばした足の付け根が伸びて床に近づくイメージです。
- 胸を左足の太ももに近づけます。左側のお尻と腰をストレッチしましょう。10〜20秒間キープしてください。
- 両手を腰の横において上体を起こします。背筋を伸ばして骨盤を立て、一呼吸しましょう。
- 反対側も同じように行います。
■揺らすだけストレッチのポイント
無理に大きく揺らさず、気持ちよい程度に左右にゆらゆらと揺らしましょう。
伸びが強すぎると感じる場合は、お尻の下にクッションなどを敷いてお尻の位置を少し高くして行ってみましょう。
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②チャイルドポーズストレッチ
背中や腰、太もも裏など、凝りかたまった筋肉をゆったり伸ばせるヨガのポーズです。尾てい骨まわりの疲れた筋肉をほぐすだけでなく、腹式呼吸(吸うときにお腹を膨らませ、吐くときにお腹をへこませる)を行うと内臓が刺激され、消化機能の向上も期待できます。
■実際にストレッチを行ってみましょう
難易度:易しい
- 正座で座り、太ももの上にお腹と胸を乗せるように前に倒れましょう。
- 肩まわりの緊張を緩めて、腕を軽く前に伸ばします。
- お腹が苦しく感じたら、脚を左右に開きお腹が入る空間を作ってください。
- 腹式呼吸をしながら、お腹や背中が膨らんだりしぼんだりするのを感じましょう。
- 4の状態で、数呼吸繰り返します。
■チャイルドポーズストレッチのポイント
吸うときよりも、息を吐く時間を長めにとりましょう。ゆっくりと深呼吸すると交感神経が優位になり、リラックス効果を高めてくれます。
頭に血がのぼるような感覚になった場合には、おでこの下に手のひらや腕を入れて高さを出しましょう。クッションを抱え込むスタイルで行ってもかまいません。
③針の穴のポーズストレッチ
片足ずつ行うこのポーズでは、尾てい骨につながるお尻や太ももまわり、股関節の筋肉をストレッチしていきます。座りっぱなしや立ちっぱなしの状態で、凝りかたまった尾てい骨まわりをほぐすのに効果的なストレッチです。
■実際にストレッチを行ってみましょう
難易度:易しい
- 床に寝て仰向けの姿勢になり、両膝を立てて足の裏を床に置きます。
- 右足を軽く持ち上げて膝を外へ開き、右足首を左太ももに乗せます。右足のすねが床と平行になる状態を目指してみましょう。
- 組んだまま両足を軽く持ち上げ、左足を両手で持ちます。
- 右足のお尻、太ももの内側・外側・裏側、腰のいずれかに気持ちよい伸びを感じたらその状態をキープし、数呼吸繰り返します。
- 左足も同様に行います。
■針の穴のポーズストレッチのポイント
足を持ち上げたり、手で足を持つのが難しく感じたらステップ2の状態でキープしてみましょう。股関節まわりの伸びを感じられたら組んだ足を胸の前に無理に持ってくる必要はありません。気持ちよい伸びを感じられる状態を目指してストレッチしてみましょう。
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尾てい骨の痛みはストレッチで改善しよう!
尾てい骨を強く打ったり、強い痛みが続いて生活に支障が出ている場合は、病院(整形外科など)の受診を検討する必要がありますが、慢性的な尾てい骨の痛みはストレッチや日々の生活習慣を見直すと改善ができます。負担がかかりすぎない範囲で、体が喜ぶセルフケアを取り入れてみましょう。