股関節の硬さは腰痛や膝痛、将来の歩行にも影響が!?不調をすぐに改善できる、簡単ストレッチ&ヨガ5選

腰痛や膝痛にお悩みの方&将来の歩行に不安を感じている方に向けて、ヨガインストラクターが「股関節の柔軟性」の重要性を解説します。股関節を柔らかくするストレッチやヨガポーズも紹介しているので、ぜひトライしてみてくださいね。

腰痛やひざ痛と股関節の関係

慢性的な腰や膝の痛みを感じている場合、股関節の硬さが原因のひとつかもしれません。十分な可動域がないと、腰や膝に過度な負担がかかってしまいます。まずは、腰痛や膝痛と股関節の関係をチェックしましょう。

股関節の柔軟性不足は腰痛につながる

骨盤の左右に位置する「股関節」は、胴体と両足を繋ぎ体を支えるうえで重要な役割を担っています。日常的な動作に欠かせないパーツですが、動かさないと硬くなり可動域もどんどん狭くなってしまいます。股関節が硬くなった状態で歩く、立ち上がるなどの動作をすると、可動域の狭い股関節の動きを補うため、骨盤が傾いて脊椎に負担がかかります。これが腰痛の原因になってしまうのです。

座りっぱなしによる筋肉の衰えも腰痛につながる

デスクワークなどで座りっぱなしの状態が続くと太ももの筋肉が衰え、股関節の動きが悪くなってしまいます。すると、骨盤が傾いて腰に負担がかかり腰痛を引き起こします。

ひざ痛は股関節と足首の硬さが原因

人間の体は股関節・膝・足首が連動しながら、歩いたり跳んだりといったあらゆる動作を行っています。通常は3つのパーツが互いに動き合うことで負荷を分散させていますが、股関節や足首が硬くなり十分に動かないと、膝にのみ負荷が集中した状態に。下半身を動かすたびに強い負荷がかかり、膝が痛くなってしまうのです。

歩行と股関節痛の関係

「健康のためにウォーキングをしようと頑張っていたのに、逆に股関節が痛くなって歩きづらくなる」というケースがあります。その原因は、主に以下の3つが考えられます。

原因① 股関節が硬く、可動域が狭くなっている

  • 長時間のデスクワークなどにより筋肉が緊張したり凝り固まっている腹筋が弱い
  • 反り腰などが原因で股関節が硬く、動きに制限がある

このような状態の方は、歩くと負荷がかかり痛みやしびれが出ることがあります。太ももの前やお尻の筋肉が張ったり、疲労を感じやすいといった症状が出ることもあります。

原因② 筋肉の柔軟性が落ちている

運動不足で筋力が落ちていたり、肥満傾向にある場合、筋肉が凝り固まって柔軟性が失われやすくなります。柔軟性を補うために、歩行中に無理に関節を動かしてしまい、股関節の痛みが出てしまうのです。平坦な場所でつまずきやすい方や、脚の蹴りだしがなんとなくスムーズにいかない方、以前よりも歩幅が小さくなったと感じる方は、筋肉が硬くなっているのかもしれません。

原因③ 股関節が変形、またはすり減っている

先天性の股関節脱臼や、臼蓋(きゅうがい)形成不全の方、骨折したことがある方、力仕事をしている方に多いのが、関節の変形・すり減りが原因による痛みです。すり減った骨同士が接触することで痛みが生まれます。股関節の痛みのほか、足の付け根の違和感や痛み、お尻や太もも、膝の痛みにお悩みの方、歩き方が横に揺れやすい方も股関節の変形やすり減りが原因となっている可能性があります。

反り腰での歩行による腰痛やひざ痛

腰痛や膝痛が引き起こされるケースは、反り腰や膝を曲げたままの姿勢で歩くのが原因
腰痛や膝痛が引き起こされるケースは、反り腰や膝を曲げたままの姿勢で歩くのが原因

股関節の動きが悪く「反り腰」になることで、腰痛や膝痛が引き起こされるケースもあります。股関節の動きが悪いと、歩幅が小さくなり歩行スピードが上がりません。そこでスピードをあげようと無意識に脚を大きく前に出そうとするため、必要以上に腰が反ってしまい、腰に負担がかかるのです。

また反り腰以外にも、股関節の動きをカバーしようと膝を曲げたままの姿勢で歩いたり、必要以上にふくらはぎに力が入ったまま歩いてしまうことも痛みの原因に。前ももの筋肉が常に緊張した状態になり、股関節や膝関節にも負担がかかって痛みにつながります。

股関節が硬いと将来の歩行に影響する

股関節が硬いとそれをカバーするために、腰を沿って歩く、膝を曲げたまま歩く、ふくらはぎを強く使って歩くといった歩行が常態化。本来使うはずのお尻や太ももの筋肉がうまく機能せずに、筋肉のバランスが崩れてしまいます。腰や膝、足首への負荷がかかり続けると、将来的に歩行そのものに悪影響を及ぼす可能性もあるため注意しましょう。

股関節を柔らかくするメリット

股関節が硬くなり可動域が狭くなると、骨盤の位置が傾いたり、腰や膝に痛みが出たりとさまざまな体の不調へつながることがわかりました。ここでは股関節を柔らかくするメリットや、柔軟性アップのポイントをご紹介します。

メリット:運動機能向上とケガのリスク軽減

股関節を柔らかくすると、下半身の動きが柔軟になり動きやすくなります。ダイナミックな動きができるなど運動機能が高まるほか、ケガの危険性も低くなるでしょう。股関節を柔らかく保つには、日々の柔軟やストレッチ、筋トレが大切です。その際のポイントをご紹介します。

股関節の柔軟性アップのポイント① 継続

股関節の柔軟性が上がると、股関節の動きが改善されてつらい痛みも和らぐでしょう。しかしそれは一時的な効果にすぎず、何もしなければ時間が経つにつれて元に戻ってしまいます。股関節の柔らかさをキープするには、毎日の柔軟・ストレッチの継続が欠かせません。

股関節の柔軟性アップのポイント② 無理をして伸ばさない

つい頑張りすぎてしまうと、逆にケガや痛みにつながってしまうことも。痛みを感じるようなストレッチはせず、“いた気持ちいい”くらいを目安にするとよいでしょう。無理をして伸ばすとほかの部分を痛める原因にもなります。

股関節の柔軟性アップのポイント③ しっかりほぐしてからストレッチ

体が冷えた状態や久しぶりに体を動かすときは筋肉が固まっていて、ストレッチをしても十分に伸びない可能性があります。そんなときは、最初にウォーキングや軽いジョギングをして、少し体を温めてみましょう。筋肉の凝り固まった部分をピンポイントでマッサージしてから、股関節のストレッチを行うのもおすすめです。

寝る前の5分でできる股関節ストレッチ&ヨガポーズ5選

腰痛や膝痛には、股関節まわりの柔軟性が大きく関係しています。痛みがある場合や腰痛や膝痛を予防したい場合は、ストレッチをして股関節を柔らかくしていきましょう!就寝前にベッドの中で簡単に取り組める「股関節ストレッチ」をご紹介します。

①合蹠(がっせき)のポーズ

内ももと足の付け根をほぐすことができる合蹠のポーズ
内ももと足の付け根をほぐすことができる合蹠のポーズ

内ももと足の付け根をほぐすことができる、ストレッチ要素の高いヨガポーズです。簡単な動きなので、体や股関節が硬い方も無理なく取り組めます。

■実際に行ってみましょう

難易度:易しい

  1. 体育座りの姿勢から、両膝を左右に開いていきます。
  2. 足の裏を合わせ、離れないように両手で足先を掴みます。
  3. 吸う息で背筋を伸ばし、息をゆっくり吐きながら上体を前に倒します。

■合蹠(がっせき)のポーズのポイント

上体を倒すときは、頭から倒していくのではなく、背筋を伸ばし股関節から前屈することを意識しましょう。
無理に体を倒すことは避け、心地の良い姿勢をキープしましょう。

②揺らすだけストレッチ

普段動かす機会の少ない縦方向に股関節を伸ばす揺らすだけストレッチ
普段動かす機会の少ない縦方向に股関節を伸ばす揺らすだけストレッチ

股関節はさまざまな角度に動かすことで可動域が広がります。この「揺らすだけストレッチ」は、普段動かす機会の少ない縦方向に股関節を伸ばすストレッチです。気持ちよく動かし、可動域を広げていきましょう。

■実際に行ってみましょう

難易度:易しい

  1. 右膝を立てて座り、左足は後ろへ伸ばします。右足のかかとは太ももの真下ではなく手前にだし、左足の付け根を床に近づけます。
  2. 1の体勢のまま体を左右に揺らします。揺らすたびに伸ばした足の付け根が伸びて床に近づくイメージです。
  3. 胸を右足の太ももに近づけます。右側のお尻と腰をストレッチしましょう。10〜20秒間キープしてください。
  4. 両手を腰の横において上体を起こします。背筋を伸ばして骨盤を立て、一呼吸しましょう。
  5. 反対側も同じように行います。

■揺らすだけストレッチのポイント

無理に大きく揺らさず、気持ちよい程度に左右にゆらゆらと揺らしましょう。

③膝を開いたチャイルドポーズストレッチ

腰まわりやもも裏にアプローチできるチャイルドポーズ
腰まわりやもも裏にアプローチできるチャイルドポーズ

「チャイルドポーズ」は、腰まわりやもも裏にアプローチできるヨガのポーズです。膝を開くことで通常のポーズよりも深く前屈でき、股関節の柔軟性を高めることができます。

■実際にポーズをとってみましょう

難易度:易しい

  1. 正座をしてから、両膝を左右に開きます。
  2. 息を吐きながら、上半身を徐々に前に倒していきます。おでこを床につけたら、両手を前に伸ばしましょう。
  3. 背中の力を抜いて、5回程度呼吸を繰り返します。吸った息が背中いっぱいに広がるイメージで深く呼吸しましょう。

■膝を開いたチャイルドポーズストレッチのポイント

上半身を倒したときに、お尻が上がりすぎないように注意してください。
上半身を倒すときに股関節がつらいと感じたら、顔の横で肘をついて体を支えるとよいでしょう。

④股関節まわりの筋肉をほぐすストレッチ

横になった状態で股関節まわりの筋肉にアプローチするストレッチです。継続することで、股関節の柔軟性が高まり、内ももと足の付け根をほぐすことができます。

■実際に行ってみましょう 

難易度:易しい

  1. 仰向けになって体をまっすぐに伸ばし、両手は体の横に置きます。
  2. 右側の腰は床につけたまま、左側の腰だけを5秒程かけてゆっくり浮かせていきましょう。
  3. 左側の腰を5秒程かけてゆっくり下ろしたら、反対側も同じように動かしていきます。
  4. 左右それぞれ3回行います。

■股関節まわりの筋肉をほぐすストレッチのポイント

お尻を上げるのではなく、骨盤を浮かせるイメージで行ってください。
回数はあくまで目安です。股関節に痛みを感じる場合は無理のない範囲で行いましょう。

⑤仰向けでの股関節ストレッチ

リラックスした状態で行う仰向けでの股関節ストレッチ
リラックスした状態で行う仰向けでの股関節ストレッチ

仰向けの姿勢のまま、リラックスした状態で行う股関節ストレッチです。大きな動きがないため、寝る前にベッドで行うのにぴったりです。

■実際に行ってみましょう 

難易度:普通

  1. 仰向けになり、体をまっすぐ伸ばしましょう。
  2. 両膝を立てて、左足首を右膝の上に置きます。
  3. 左手は両足の太ももの間を通して右足のもも裏を支え、右手は右側から右足のもも裏を支えます。
  4. 吐く息でゆっくりと両手で右膝を胸に引き寄せていきましょう。
  5. 反対側も同様に行いましょう。

■仰向けでの股関節ストレッチのポイント

反り腰の方は、仰向けの姿勢のときに腰が床から浮きすぎないよう注意しましょう。

股関節の柔軟性は、毎日の寝る前5分のストレッチ&ヨガ習慣で手に入れよう

デスクワークなどで長時間座りっぱなしや運動不足によって股関節が硬くなると、腰や膝、足首など体のあちこちに痛みや不調が生じます。その状態が続くと、将来的には「歩くだけで痛みを感じる→歩行を避ける→筋力が落ちる→さらに股関節が硬くなる」といった悪循環に陥ってしまう可能性があります。股関節の柔軟性は、ストレッチを継続することによって改善できます。ご紹介した寝る前5分の股関節ストレッチ&ヨガを習慣にし、何歳になっても元気に歩ける健康的で柔軟な股関節を目指しましょう。

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