ゴルフの体重移動を身につけるには?正しいコツと練習法を徹底解説!

監修者情報
正覺 友香里
ゴルフコーチ・ゴルフクラブアドバイザー
中学2年でゴルフを始め、高校で県大会優勝。ゴルフクラブアドバイザーやキャディとしての勤務経験を持ち、現在は初心者〜中級者向けにマンツーマンレッスンを行う。
元ドラコンプロで、九州のタイトルマッチ戦2位の実績あり。
■資格
USGTF(全米ゴルフ指導者連盟)ティーチングプロ
体重移動のゴルフスイングにおける役割と重要性

ゴルフスイングにおいて体重移動は、飛距離・方向性・安定感すべてに関わる重要な要素です。特にポイントとなるのが、下半身から始動するスイング。
これにより体全体が連動し、効率的にパワーを伝える動きが生まれます。
正しく体重を移動できると、クラブスピードが自然と高まり、少ない力でも飛距離アップが可能になります。
一方で、うまく体重移動ができていないと、スイング軌道が乱れてミスショットにつながりやすくなります。
トップやダフリは体重移動が原因になっていることも少なくありません。
また、アイアンショットにおける「ダウンブロー」の習得にも体重移動は不可欠です。
インパクトの瞬間に左足へしっかり体重をのせることで、ボールの先の芝を削るような理想的な軌道を描けます。
ゴルフをより安定させたい、飛距離を伸ばしたいと考えるなら、まずは体重移動をしっかり身につけることが上達への近道です。
ゴルフの体重移動でよくあるミス

体重移動はゴルフスイングの基本ですが、意識しすぎるあまり、かえってバランスを崩してしまうこともあります。特に多くのゴルファーが陥りがちなのが以下の2つです。
- スウェー
- リバースピボット
どちらもスイング中の軸のブレが原因で起こりやすく、飛距離や正確性に悪影響を与えるため、早めの修正が必要です。
スウェー|体全体が横に流れる
スウェーとは、スイング中に体の軸が保てず、体全体が左右に大きく流れてしまう動きを指します。
特にバックスイングやダウンスイング時に、足裏の圧力移動(プレッシャーシフト)ではなく、体ごと移動してしまうのが問題です。
この動きになってしまうと、体重が正しくクラブに伝わらず、軌道が不安定になってショットの再現性が低下します。
さらには、トップやダフリの原因になりやすく、ミスショットが増える傾向も。
改善するには、体の中心軸を意識しながらスイングし、左右の体重配分を正しくコントロールすることが重要です。
バックスイングでは右足内側、ダウンスイングでは左足内側に体重がのるよう意識するだけでも、スウェーを抑えることにつながります。
なお、まれにスウェー気味の動きでもタイミングや柔軟性によって飛距離が伸びるケースもありますが、これはあくまで例外。
安定したショットを目指すなら、軸を保った体重移動が基本となります。
リバースピボット|トップで軸が左に傾く
リバースピボットとは、バックスイングのトップで体の軸が目標方向(左側)に傾いてしまう誤った動きのことです。
一見きちんとバックスイングできているように見えても、正しい体のひねりや右足への加重ができていない状態です。
原因として多いのは、右足へののり込み不足や上半身だけでクラブを引こうとする動き、あるいはスウェーによる軸のブレです。
この状態になると、ダウンスイングでしっかりと体重をのせられず、パワーの伝達が不十分になります。その結果、力が抜けたような弱いスイングになりやすく、飛距離も伸びません。
さらに、クラブが下から入りやすくなることで、すくい打ちやスライスの原因にもつながります。
対策としては、バックスイングで右股関節の上に体をのせるイメージを持ち、右足の内側でしっかり地面をとらえる意識が効果的です。
下半身からスイングを始動する感覚をつかむことで、軸の安定と正しい体重移動が自然と身についていきます。
ゴルフの正しい体重移動のポイント

体重移動をスムーズに行うには、単に左右に体を動かすだけでは不十分です。
- 重心の基本配分
- タイミング
- 足裏の使い方
- 下半身の感覚
主に上記の4つを組み合わせて意識することで、安定したスイングと効率的なパワー伝達が可能になります。
重心の基本配分を意識する
スイングの各フェーズで重心がどこにあるべきかを把握することが、正しい体重移動への第一歩です。
以下に、各フェーズでの左右の体重配分の目安をまとめました。
フェーズ | 体重配分の目安 |
---|---|
アドレス | 左50%:右50% |
バックスイング | 左30%:右70% |
トップ | 左20%:右80% |
ダウンスイング | 左50〜70%:右50〜30% |
インパクト | 左80〜95%:右20〜5% |
フォロー〜フィニッシュ | 左90%以上:右10%以下 |
アドレスでは、両足に均等に体重をのせ、ややつま先寄りの母指球あたりに重心を置くのが基本。
バックスイングでは体重の約70%を右足に移し、右股関節の上にしっかりのっていることが重要です。
ダウンスイングでは、左足を強く踏み込みながら骨盤を回転させ、体重を左足へ移動させます。
インパクト時には、体重の80〜95%が左足にのっている状態が理想です。
また、アイアンではやや左足寄りでダウンブローを意識し、ドライバーではやや右足寄りのアッパーブローに適した頭と重心の位置をキープする必要があります。
最終的にフィニッシュでは、体重が完全に左足にのり、右足は軽くつま先立ちになる形が理想です。
トップに入る直前~切り返しの瞬間に、左足への重心を移動する
体重移動でもっとも重要な局面が、バックスイングの終わりから切り返しの瞬間です。
トップの位置では、右足に体重の約70%をのせ、右股関節の上に上体を安定させることで、軸のブレやスウェー、リバースピボットを防ぐことができます。
そこから切り返しに入る際は、下半身から動き出す意識を持つことが大切です。
このとき、左腰をわずかにスライドさせる「バンプ」の動きを入れることで、骨盤の回転と体重移動がスムーズにつながります。
さらに、左足のかかとで地面を踏み込む「踏み込み」と、右足で地面を押し返す「キック」の動作を組み合わせることで、重心がセンターを通りながら左へ移動し、クラブヘッドにパワーが効率よく伝わります。
足裏のどこに体重をのせるかを意識する
スイング中の足裏のどの位置に体重をかけるかを意識することで、軸が安定しやすくなり、地面からの反力も効果的に活かせます。
フェーズ | 足裏の荷重位置 |
---|---|
アドレス | 母指球(親指の付け根)を意識し、足裏全体で安定させる |
バックスイング | 右足の母指球〜土踏まず付近でしっかり踏み込む |
ダウンスイング | 左足の母指球〜かかとで地面を踏み込み、重心を移動させる |
インパクト | 左足の母指球〜かかとでしっかり体重を受け止める |
フィニッシュ | 左足全体で体を支え、右足はつま先で軽く立つ |
アドレスでは、左右均等に体重をかけ、親指の付け根の母指球に重心を置くのが基本です。バックスイングでは、右足の内側、特に母指球〜土踏まず周辺で地面をしっかり踏み、体を右股関節の上にのせて軸を保ちます。
ダウンスイングからインパクトにかけては、左足の母指球とかかとで地面を踏み込みながら体重を左側へ移動させます。
最後のフィニッシュでは、体重の90%以上が左足にかかり、右足はつま先で軽く立っている状態が理想的です。
お尻・腰・ひざの感覚を活用する
体重移動を体の感覚でつかむには、お尻・腰・ひざといった下半身の使い方がカギになります。
まずバックスイングでは、右のお尻で体重を支える意識を持ち、インパクトにかけては左のお尻で受け止める感覚を持つことで、軸を保ったまま体をしっかり回転させることができます。
腰は単に横にスライドさせるのではなく、骨盤を回転させるように動かすのがポイント。
また、ひざは常にやわらかく構え、切り返しでの踏み込みと蹴り動作をスムーズに行える状態に保ちます。
こうした下半身全体の感覚をうまく連動させることで、地面からの反力を最大限に活かし、安定感とパワーを両立したスイングが可能になります。
体重移動を身につける練習方法3選【自主練で上達を目指せる!】

体重移動は、意識だけで身につくものではなく、動きを繰り返す中で自然に体にしみ込ませることが必要です。
ここでは、スイングの流れに沿って体重移動を習得できる3つのドリルを紹介します。
- ステップ打ち
- 連続打ち
- 足踏みドリル
いずれも練習場や自宅で実践しやすい内容なので、自主練にぜひ取り入れてみましょう。
ステップ打ち:感覚で覚える横方向の体重移動
体重移動を頭で考えるのではなく、動きの中で自然に体に覚え込ませたい人におすすめなのが「ステップ打ち」です。
大きな足の動きを取り入れることで、体重が「左→右→左」と移っていく感覚を体にしみ込ませることができます。
やり方
- 左足を広げながら、クラブをフォロー方向に振り出して助走をつけます。
- 右足を広げながらクラブをバックスイングし、同時に左足を軽く上げて体重を右足にのせていきます。
- 左足を地面にしっかり踏み込みながらスイングします。
- この一連の流れをリズムよく繰り返しましょう。
強く打つことを意識する必要はなく、動作のなめらかさと体重の移り変わりに集中することがポイントです。
連続打ち:スイングの流れで自然と移動を身につける
連続打ちは、実際に前方へ歩きながらボールを打っていく練習法です。
ステップ打ちがその場で左右に重心を移す動きであるのに対し、連続打ちは前進しながらスイングを繰り返すため、動きの中でスイングリズムと体重移動を同時に習得できます。
やり方
- 1球目のボールから少し離れた位置に、両足を揃えて立つ
- 左足に体重をのせながら、クラブをフォローサイドに振って助走をつける
- 右足を右斜め前に踏み出しながらバックスイングを開始
- トップの位置までクラブが上がったら、左足を左斜め前に踏み込んでスイング
- 打ち終わったら、再び右足を斜め前に出して次のバックスイングへ移る
- この動作を繰り返し、前進しながら連続でボールを打つ
このドリルでは、フィニッシュから自然に戻ってくるクラブの反動を利用して次のスイングに入ることができるため、切り返しのタイミングや重心移動を効率よく体に覚えさせられます。
クラブは最初はウェッジなど短いものからはじめ、慣れてきたら7番アイアンなどでの実践を試すとより効果的です。
足踏みドリル:リズム感と荷重タイミングを同時に改善
足踏みドリルは、スイング中のリズム感や体重移動のタイミングが合わない人に特に有効な練習法です。常に足を動かした状態でスイングすることで、下半身主導の動きと地面反力の活用が自然に身につきます。
やり方
- アドレスを取った状態でその場で軽く足踏みをする
- 足踏みを継続しながら、右足に体重がのるタイミングでバックスイング
- 次に左足を踏み込みながらダウンスイングをする
- インパクトからフォローまでスムーズに振り切る
このドリルの最大の特徴は、静止した状態からではなく、“動きの中”でスイングを行う点です。
特に「踏み込み→骨盤の回転→振り抜き」の一連の動作を一体化させたい人に非常に有効です。
ゴルフ上達の近道?体重移動のセルフチェックと改善サイクルの作り方

正しい体重移動を身につけるには、自分の感覚だけに頼らず、現状を客観的に把握し、改善→確認→再調整のサイクルを回すことが大切です。
以下では、動画を活用したセルフチェック法と、体重移動に特化した練習器具の使い方を紹介します。
動画撮影でわかる「軸のブレ」「頭の位置」のチェック法
スマートフォンを使った動画撮影は、自分のスイングを客観的に確認できるもっとも手軽な方法です。
特に体重移動に関しては、頭の位置や軸のブレを把握することが、フォーム改善への第一歩になります。
動画撮影する際のポイントを以下にまとめます。
- カメラは正面(飛球線と垂直方向)と後方(飛球線後ろ)の両方から撮影する
- スイング中に頭が左右に大きく動くスウェーの状態になっていないかをチェック
- バックスイングで頭が右にズレすぎていないか、インパクトで左に突っ込みすぎていないかを確認する
- 軸が傾いてしまっているリバースピボットの兆候がないかを見る
- 腰と胸が同時に回っていないかもチェックポイント。理想は「腰→肩」の順に回転がはじまる
繰り返し撮影・確認を行うことで、自分の弱点やクセに気づきやすくなり、練習の精度が上がります。
体重移動を身につけるのに役立つ練習器具
体重移動の感覚がなかなかつかめない人は、専用の練習器具を活用することで効率よく動きを身につけることができます。
以下の2つは、体重移動に特化した代表的な練習用アイテムです。
プレッシャーシフトボード
「プレッシャーシフトボード」は、足元に置いて左右の体重配分を“体感しながら”確認できる練習器具です。
バックスイングでしっかり右足にのれているか、切り返しで左足にスムーズに体重を移せているかといった動きを明確に感じ取れるのが特徴です。
立ち位置や足裏の圧力のかかり方を意識しながら使うと、スイングの安定性が向上します。

POWER PLATFORM
キャロウェイの「POWER PLATFORM」は、右足の下に設置して使う体重移動のトレーニング器具です。バックスイングの右足へののり込みが不十分な場合や、逆にスウェーしてしまった場合にその違和感を感覚で実感できます。

正しい体重移動をマスターすれば、スイングは劇的に安定する
体重移動は、飛距離や方向性、そしてショットの安定感を大きく左右するスイングの基盤です。
正しく身につけるには、感覚に頼らず、動画や練習器具を活用しながら自分の動きを客観的にチェックすることが欠かせません。
今回紹介したセルフチェック法やドリルを繰り返すことで、正しい体重移動が自然と身につき、スイングの再現性が高まっていきます。
まずは、自分のスイングと丁寧に向き合うことからはじめてみましょう。小さな積み重ねが、確かな成長につながります。