膝裏が痛い方へ。痛みの改善につながる膝裏ストレッチ5選を紹介!
監修者情報
山本 信子
ヨガ講師・ライター
2015年にヨガの聖地であるインドのリシュケシュにて資格を取得。
夫の駐在に帯同したインドネシアで日本人、インドネシア人の女性向けにヨガレッスンを行う。
インナーマッスルを鍛える動きのあるレッスンが得意。マタニティヨガ、子連れヨガクラスの指導経験あり。
■資格
・全米ヨガアライアンス(RYT200)
・キッズヨガ指導者養成講座修了
膝裏の痛みの原因
血流の悪化
膝裏にはリンパが集中していますが、血流の悪化などが原因でリンパ節に老廃物が溜まり、痛みやむくみを引き起こすことがあります。血流の改善は、日頃の運動にストレッチを取り入れることで改善することができるため、ぜひ行ってみましょう。
筋肉不足
膝裏の筋肉は、歩くときに膝を曲げ伸ばしする重要な役割がありますが、歩き方や姿勢が悪い方は知らないうちに膝裏に大きな負担をかけてしまっている可能性があります。運動不足による筋力の低下も膝裏への負担を増加させる原因のひとつです。
太ももの裏やお尻まわり、ふくらはぎの筋肉を強化して、なるべく膝に負担がかからないような体づくりを心がけましょう。筋力の向上は、そこまで激しいトレーニングでなくてもご自宅でできるものもありますので、気軽に毎日続けられるメニューを選び、取り入れるようにしましょう。
膝裏の痛みにはストレッチが効果的!
膝まわりが痛むからといって体を動かさずにいると関節は萎縮して、ますます動かしづらくなり、筋肉が衰えてしまい悪循環です。そうならないためにも、関節まわりの筋肉を柔軟に保ち、鍛えることが大切です。特に膝を支える筋肉である大腿四頭筋(だいたいしとうきん)、前脛骨筋(ぜんけいこつきん)、腓腹筋(ひふくきん)をしっかりストレッチしましょう。
膝裏が痛いときにおすすめ!自宅でできるストレッチ&マッサージ5選
①大腿四頭筋を伸ばすストレッチ
大腿四頭筋は太ももの前にある筋肉群です。膝の曲げ伸ばしをする際に重要な役割を担う、膝を支える筋肉のひとつです。大腿四頭筋を鍛えて筋肉量が増加すると、長時間歩いたり、階段を登る際にも疲れにくくなり、腰や膝の痛みが軽減します。
■実際にやってみましょう
難易度:易しい
- 右手を壁について立ち、左足の膝を曲げ、足首を左手で持ちます。
- 左足のつま先をお尻の方へ引き寄せ、太ももの前を伸ばします。
- 息を吐きながら30秒間キープします。
- 反対側も同様に行い、左右2~3セット行います。
■大腿四頭筋を伸ばすストレッチのポイント
ポイントは、背中を丸めず胸を張って取り組むことです。バランスを崩さないよう体を手で支えて行いましょう。
②膝蓋骨(しつがいこつ)マッサージ
膝のお皿ともよばれる膝蓋骨まわりのこりや張りをほぐすセルフマッサージです。膝のお皿を動かすことで、膝まわりの筋肉や靭帯をストレッチでき、痛みの緩和につながります。
■実際にやってみましょう
難易度:易しい
- 前に両足を伸ばした状態で床に座ります。脚はピンと張らず少し力を抜いておきましょう。
または、椅子に座った状態で行っても大丈夫です。 - 片方の膝を左右から包むように手を添え、両手の親指で膝のお皿を動かします。
- 上下左右、斜めの8方向に、それぞれ5秒ずつお皿を動かします。
- 反対の脚も同様に行います。
- 左右繰り返しながら3分程度行いましょう。
■膝蓋骨(しつがいこつ)マッサージのポイント
膝に力が入っているとお皿が動かないため、リラックスして脚の力を抜きます。皿はゴリゴリ回さず、痛みのない範囲で行いましょう。
③すねの前と腓腹筋(ひふくきん)のストレッチ
すねの前側の前脛骨筋(ぜんけいこつきん)とふくらはぎの腓腹筋を伸ばすストレッチです。膝から下の筋肉が硬くなると脚の関節の柔軟性が失われ膝痛だけでなく、ケガや転倒のリスクもあります。疲れがたまって硬くなる前にストレッチしましょう。
■実際にやってみましょう
難易度:易しい
- 床に座って両足を伸ばします。背筋も伸ばし、両手は体の横で床についておきます。
- つま先をゆっくりと遠くに伸ばして、すねを伸ばします。
- つま先をゆっくりと手前に引き寄せ、ふくらはぎを伸ばします。
- 2〜3を10回程度繰り返します。
■すねの前と腓腹筋のストレッチのポイント
ゆっくりと呼吸しながら、痛くない程度に伸ばしましょう。
④太ももや股関節をほぐすストレッチ
股関節を柔らかくすることで歩行などの動きがスムーズになり、膝の痛みが緩和されます。マットの上に座った状態で行いましょう。
■実際にやってみましょう
難易度:易しい
- 伸ばした両足を90度ほど開いてマットの上に座ります。
- 右足をあぐらを組むときのように折り曲げます。
- 股関節から体を折りたたむようにして上体を前に倒していきます。
- 伸ばしている左足の太ももの内側・裏側が伸びていることを確認し、ゆっくり呼吸しながら15秒ほどキープしましょう。
- 反対側の足も同じように行いましょう。
■太ももや股関節をほぐすストレッチのポイント
体を前に倒すときに、背中が曲がらないように気をつけます。また、伸ばしている足が内側に倒れないようにしましょう。
⑤椅子に座ったふくらはぎストレッチ
椅子に座ったまま簡単に膝裏やふくらはぎをほぐすことのできるお手軽なストレッチです。
■実際にやってみましょう
難易度:易しい
- 椅子に深く腰掛け、床と平行になるように右足を真っすぐ持ち上げます。
- 右足首は90度に曲げたまま、10秒間キープします。
- ゆっくりと右足を下ろします。
- 反対側も同様に行います。
- 1~4を10セット行います。
■椅子に座ったふくらはぎストレッチのポイント
2で足首を曲げたとき、つま先がまっすぐ天井を向くようにしましょう。
膝裏の痛み改善に取り入れたい運動やトレーニング
次に、膝裏の痛み改善に効果的な運動と、自宅でできる簡単なトレーニングを紹介します。
今回紹介するトレーニングは、ジャンプをしたり、関節へ大きな衝撃を加えるものではなく、筋肉の収縮に特化したトレーニングです。関節や筋肉への負担が少なく、ケガのリスクが低いため、痛みがあって不安だという方や、運動初心者でも気軽にはじめることができるトレーニングといえるでしょう。
①ウォーキング
運動初心者の方は、まずは軽いウォーキングからはじめてみましょう。普段運動をしていない方が突然激しいトレーニングをすると、膝や関節に負担がかかり過ぎる場合があります。一方で、ウォーキングは膝や関節への負担が少ない有酸素運動です。全身の筋肉を使用した運動となりますので基礎代謝の向上も見込めます。まずは1日30分からでもウォーキングをはじめてみることがおすすめです。
ウォーキングをする際、歩き方には十分な注意が必要です。悪い姿勢のままウォーキングを行ってしまっては体を痛めたり、変形関節症を悪化させる原因にもなります。
次のような歩き方を心がけると膝への負担を軽減することができますので、実践してみましょう。
- 背筋をまっすぐ伸ばし、軽く腹筋に力を入れましょう。
- あごを軽く引いて5〜6m先を見るようにしましょう。
- 歩幅は広く取りすぎず、膝が軽く曲がる程度にします。
- かかとから着地してつま先まで順番に体重が移動するようにしましょう。
- 首は真っ直ぐにキープして前後左右にブレないようにしましょう。
②ハムストリングのトレーニング
ハムストリングはお尻の下から膝の裏にかけて伸びている筋肉です。膝を曲げたり、伸ばしたりする際に使われる筋肉です。膝裏に痛みが生じる原因は、ハムストリングが弱くなっていたり、凝りかたまっている可能性があるので、ストレッチとあわせてトレーニングを行うようにしましょう。
■実際にトレーニングを行ってみましょう
難易度:易しい
- 仰向けの状態で、体を真っ直ぐにします。
- 左足を天井方向に伸ばし、左膝は少し曲げた状態で足裏にタオルを引っ掛け、両手でタオルを掴みます。
- 両腕でタオルを引っ張りながら、左足はそれと逆方向に上に伸ばすように力を入れます。
- 3の状態で10秒キープ。これを5セット行いましょう。
- 反対側も行います。
■ハムストリングのトレーニングのポイント
太ももの裏から膝裏にかけての筋肉の動きを意識しましょう。
慣れてきた方は、タオルを掴む位置を調節するなどして強度をあげてみましょう。
関連記事:ハムストリングストレーニングについてまとめた記事はこちら
③内ももトレーニング
このトレーニングは、椅子に座った状態で内転筋を鍛えることができます。内転筋を鍛えることによって姿勢の安定、骨盤の矯正、膝裏につながるリンパの流れが良くなりむくみの解消などの効果があります。
■実際にポーズをとってみましょう
難易度:易しい
- 椅子に座り、浅めに腰掛けます。脚は肩幅程度に開きます。
- 右手を左膝の内側、左手は右膝の内側に置きます。
- 膝を閉じるように力を入れながら、両手は外側に向かって力を入れ、両手と両膝で押し合いましょう。
- 数秒間キープし、一度お休みをします。何度か繰り返し行いましょう。
■内ももトレーニングのポイント
力を入れる際に、上半身の姿勢が崩れないように注意しましょう。
内ももの筋肉を使っていることを感じましょう。
④かかと上げ
ふくらはぎ(腓腹筋、ヒラメ筋)の筋力をアップするトレーニングです。ふくらはぎの血行が良くなるので足先の冷え性改善やむくみ改善にも効果的です。
■実際にやってみましょう
難易度:易しい
- 立った姿勢になり、両足を軽く開きます。
- 右足のかかとを持ち上げて爪先立ちのような形にし、床に戻します。
- 左足も同様に行い、左右交互にかかとを上げていきます。
- 20回を1セットとして、1日に数回行いましょう。
■かかと上げのポイント
かかとを上げるときに、小指側に足首が倒れてしまわないように、親指と人差し指でしっかり床を押すように気をつけましょう。
我慢できないほど膝裏が痛む場合は病院へ
膝裏に激しい痛みがある場合は、膝の靭帯損傷か、変形関節症といった病気の可能性があるため注意が必要です。靭帯は、関節の骨同士を繋ぐひも状の組織で、ケガや交通事故などがきっかけで損傷することがあります。
また、変形関節症とは関節のクッションとなる軟骨が年齢や筋肉の衰えにより、すり減って痛みが発生する病気です。膝の後ろが痛い、立ち上がるときに筋肉が突っ張る感覚がある、という方は「変形関節症」によって関節やその周辺の筋肉に大きな負担がかかっている可能性があるため、心配な方は病院を受診するようにしましょう。
さらに、変形関節症が原因となってベーカー嚢腫(のうしゅ)という膝裏に水が溜まる病気に発展することもあります。膝がこわばっている感覚や、重くて動かしにくい、鈍い痛みがあるという方は早めに整形外科で診てもらうなどして対処するようにしましょう。
膝の痛み緩和や予防には適度なストレッチや運動を習慣に!
ここまで、膝裏の痛みの原因や改善方法、効果的なトレーニングについてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。適度な運動やストレッチは体の痛みや膝の痛みの予防になるため、継続的に行うようにしましょう。
すでに痛みがあるという方でも、ウォーキングや、今回紹介したストレッチやマッサージ、トレーニングなら関節に負担をかけずに筋力アップができるので、無理のない範囲で運動することをおすすめします。それでも我慢できないような痛みがある場合は病院に行って適切な治療を受けるようにしましょう。