四十肩・五十肩改善にもおすすめ「胸郭ストレッチ」とは?
監修者情報
柴田 直樹
トルチャインストラクター
株式会社ティップネス勤務。
入社後、店舗マネージャーとしてジムの運営やトレーナー育成に携わりながら、自身もパーソナルトレーナー、スタジオインストラクター、企業フィットネス講師として活動。
現在はオンラインフィットネス「トルチャ」の事業運営に従事。
◼︎資格
・NESTA認定-PFT
・NESTA認定-クラブマネジメントスペシャリスト
・NESTA認定-メンタルフィットネストレーナー
・中学・高等学校教諭一種免許状(保健体育)
・食コンディショニングトレーナー
・栄養コンシェルジュ®︎1ッ星
・一般社団法人 日本美腸協会 美腸プランナー®︎
四十肩・五十肩の症状とチェックポイントや原因
四十肩・五十肩は、肩甲骨と上腕骨をつないでいる肩関節に痛みが出ます。次のような症状が見られる方は、四十肩・五十肩の可能性があるので注意しましょう。
- 腕を上げると肩が痛む
- 肩がこわばった感覚がある
- 腕を自由に動かせなくなった
- 寝返りで肩が痛む
日常の些細な動きでも痛みを感じるのが、四十肩・五十肩の特徴です。症状にはフェーズがあり「発症期」「炎症期」「回復期」「炎症完全沈静期」とあります。それぞれのフェーズを経て、徐々に回復に向かうのですが、場合によっては、治るころには関節を覆う筋肉や関節包が固まってしまうケースがあるのです。そのため肩の可動域が極端に狭くなるといった後遺症が残ってしまう方も多くいます。
四十肩・五十肩の原因
四十肩・五十肩は、病院では「肩関節周囲炎」と診断される症状です。関節を保護する「関節包」という袋が炎症を起こして固くなり、動きが悪くなってしまうのが四十肩・五十肩です。主な原因は加齢にともなう肩関節の劣化ではありますが、肩関節は普段から動かしていないとどんどん固まってしまいます。
長時間のデスクワークなどで首や背中に負担がかかっている方や猫背の方、運動不足で肩まわりを動かすことが少ない方などが特になりやすいとされているため、ストレッチなどで肩関節の柔軟性を高めることが四十肩・五十肩の予防・改善につながります。
チェックすべき兆候
四十肩・五十肩ほどの痛みを感じていない方の中にも、普段の生活で違和感を感じている方は四十肩・五十肩になる可能性があるので注意が必要です。次のような項目に当てはまる方は四十肩・五十肩の可能性があるので注意しましょう。
- 背中に手をまわしてブラジャーが留められない
- トイレでお尻が拭きにくい
- 後頭部に手が回らなくなった
ひとつでも当てはまるという方は、四十肩・五十肩になる可能性が高いので、普段から肩関節を動かすようにしたり、運動やストレッチを取り入れるなどして柔軟性を高めるようにしましょう。
四十肩・五十肩を改善するにはどこをストレッチしたらいいの?
四十肩・五十肩の予防・改善には肩甲骨や胸郭のストレッチが効果的とされています。
肩甲骨は背中の上部にある、左右対称に位置する骨のことです。デスクワークが多く、猫背になりがちの方は、肩甲骨まわりが硬くなってしまい、可動域が狭い状態になっていることが多くあります。
胸郭とは、胸全体を取り囲む肋骨や胸椎、胸骨の総称です。普段生活をしていて胸骨の動きを意識することはほとんどありませんが、呼吸や腕の上げ下げ、体をひねる際には胸骨まわりの柔軟性がとても大切なのです。
効果的なストレッチをご紹介
それでは肩の柔軟性を司る肩甲骨と、上半身の動きを支える胸骨の周辺をほぐすストレッチをご紹介していきます。四十肩・五十肩だけでなく、肩こりや姿勢の悪さが気になる方もぜひ試してみてください!
①胸式呼吸によるストレッチ
胸郭は呼吸をするときに大きく動くため、胸式呼吸でなるべく深い呼吸をすることでインナーマッスルである横隔膜と肋骨の間にある筋肉の肋間筋が鍛えられ胸郭の動きがスムーズになります。
実際にストレッチを行ってみましょう
難易度:易しい
- 仰向けの状態で膝を立て、脚は腰幅程度に開きます。
- 肋骨に手を当て、呼吸に合わせて動く体を感じていきましょう。
- 鼻からゆっくり息を吸って、胸まわりが膨らむようにします。
- ゆっくり息を吐いて、胸を床方向に沈めましょう。
- 肋骨の動きを意識しながら、この呼吸を数回繰り返しましょう。
胸式呼吸によるストレッチのポイント
腹式呼吸にならないように、胸に空気が入っていく感覚を意識しながら行いましょう。
筋肉が伸びやすいようにできるだけリラックスした状態で行います。
②サイドベンド
サイドベンドは肋間筋を刺激して胸骨を開くことで胸骨の動きを高めることができるストレッチです。仕事の合間にも行うことができるような簡単な動きなので、ぜひ日常に取り入れてみてください。
実際にストレッチを行ってみましょう
難易度:易しい
- 床や椅子などに座り、骨盤を立て背筋を真っ直ぐにします。
- 両手を後頭部の後ろに添えて組み、肘を開き、胸を大きく開きます。
- 吐く息で、右肘を下におろし、左肘を天井方向に向けます。左側の肋骨を伸ばすように意識しましょう。
- 吸う息で、ゆっくりと真ん中に戻り、反対側も行います。
- 呼吸に合わせて数回行います。
- 慣れてきたら、片方の肘を下げた状態で、背中を丸めてみたり、反らすなどの動きを加えることで体全体をほぐします。
サイドベントのポイント
股関節から曲げるのではなく、脇腹が伸びるような間隔を意識しましょう。
③肩甲骨はがし
肩甲骨の凝りを解消して、肩の可動域を広げるストレッチです。肩甲骨まわりをほぐすことで姿勢も良くなり、血行促進効果なども期待できます。
実際にストレッチを行ってみましょう
難易度:易しい
- 真っ直ぐに立った状態で、両腕は体側におろします。
- 上半身がブレないように注意しながら、右腕を真上に思い切り伸ばします。
- 肘を伸ばしたままゆっくりと下げ、右手が腰の高さと平行になるまで下ろします。
- 2〜3の動きを繰り返し行い、反対側も行います。
肩甲骨はがしのポイント
高いところにある窓を拭くようなイメージで、大きく動かしていきましょう。
背筋を伸ばして、背中が反り過ぎたり丸くならないように注意します。
④肩回しストレッチ
肩回しストレッチは、肩甲骨まわりの筋肉である肩甲挙筋と菱形筋をほぐす効果があるストレッチです。長時間同じ姿勢をしていて肩が重いという方は、座ったままでもできるのでやってみましょう。
実際にストレッチを行ってみましょう
難易度:易しい
- 真っ直ぐに立った状態か、椅子に浅く腰掛けた状態で、両手を肩に乗せます。
- 肘で大きな円を描くように回します。
- 前回転を何度か繰り返したら、反対回しも行います。
肩回しストレッチのポイント
肘をなるべく大きく動かすことで、肩甲骨をよりほぐすようにしましょう。
肩甲骨が動いている感覚を意識しましょう。
ここまで、四十肩・五十肩の症状や原因、その対策についてご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。四十肩・五十肩の痛みは突然やってくることが多いですが、痛みを感じてから治すのは簡単ではありません。そうならないために普段からのストレッチや、生活習慣の改善を心がけることが大切です。
四十肩・五十肩にすでになっているという方は、かかりつけの医師のアドバイスのもと、ストレッチを行うのが良いでしょう。