リラックスできる「ストレッチ」で自律神経を整える!自律神経が乱れる原因と悪い生活習慣をチェック
監修者情報
山本 信子
ヨガ講師・ライター
2015年にヨガの聖地であるインドのリシュケシュにて資格を取得。
夫の駐在に帯同したインドネシアで日本人、インドネシア人の女性向けにヨガレッスンを行う。
インナーマッスルを鍛える動きのあるレッスンが得意。マタニティヨガ、子連れヨガクラスの指導経験あり。
■資格
・全米ヨガアライアンス(RYT200)
・キッズヨガ指導者養成講座修了
自律神経とは?
自律神経は、血圧や呼吸、消化といった生命を維持するのに必要な体の機能を、意識せずとも自律的にコントロールしている神経のことで「交感神経」と「副交感神経」の2つからなります。2つはそれぞれ反対の働きをもっていて、交感神経は主に体を活発に動かすときに優位に、副交感神経は主に体を休めるときに優位に働きます。交感神経と副交感神経は、互いにバランスを保っています。
自律神経が乱れる原因とは?
自律神経が乱れる原因はさまざまですが、なかでも「ストレス」と「生活習慣の乱れ」が大きく影響しているといわれています。
原因① ストレス
ストレスを受けたり緊張したりすると、「交感神経」が活発になります。通常であれば適切なタイミングで「副交感神経」が優位になり体が休まりますが、ストレスや緊張状態が続くと交感神経と副交感神経が切り替わらず、交感神経が活発なままに。その結果、自律神経が乱れてしまいます。
原因② 生活習慣の乱れ
忙しい毎日をおくっていると、睡眠不足や偏食、昼夜逆転の生活など、生活習慣が乱れてしまうことも多いでしょう。また、夜遅くまでゲームをしていたりスマホを見ているなど、生活習慣が乱れると無意識のうちに交感神経が活発な時間が長くなり、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかず自律神経のバランスが乱れたりしてしまいます。
自立神経の乱れが与える悪影響
自律神経が乱れると、さまざまな悪影響が生じます。具体的な症状をチェックしてみましょう。
- 疲労感
- 頭痛
- 体温の異常(慢性的な微熱、低体温など)
- 睡眠異常(不眠、日中の眠気など)
- 耳、喉、口の異常(耳鳴り、喉の異物感、口が渇く、口内が痛いなど)
- 胸部の異常(動悸、息切れ、胸の痛み、胸やけ、圧迫感など)
- 吐き気、胃腸の異常(お腹が張る、便秘、下痢など)
- 排尿の異常(頻尿、残尿感、排尿しにくい感じがあるなど)
- 手足の異常(手足のしびれ、脱力感、手足の冷え、ほてりなど)
- 首や肩の筋肉の凝り、関節の痛み
- 皮膚のかゆみ
これらの症状は個人差が大きく、症状が悪化すると自律神経失調症や神経性胃炎、過敏性腸症候群、過呼吸症候群(過換気症候群)といった病気につながることも。症状の悪化を感じる場合は、早めに医師に相談しましょう。
自律神経の乱れをセルフチェック
自律神経の乱れは、自分で気付きづらいもの。以下の項目に当てはまるものがないかセルフチェックしてみましょう。
- 昼夜逆転した生活をしている
- 睡眠不足である
- 早食い
- 朝食や昼食を抜くことがよくある
- 人間関係に悩んでいる
- 運動不足である
- 疲れているのに眠れない
- よく頭痛になる
- よく肩がこる
- よく耳鳴りがする
- よく便秘や下痢になる
- 非常に疲れた感じがする
- ふさぎ込むことが多い
- めまいや立ちくらみがある
当てはまるものが多い場合、自律神経が乱れている可能性があります。生活習慣を見直したり、以下でご紹介するストレッチを実践したりして改善させていきましょう。
自律神経を整える生活習慣
日常生活を構成している「食事」「睡眠」「休養」「労働(勉強)」「運動」の5つが、毎日規則正しく、バランス良く行われているとリズムも整います。
食事は、栄養バランスをとるために品目やおかずの数を増やして和食中心に。できるだけ3食決まった時間にとり、就寝の3時間前までには夕食を終えておきましょう。食後は交感神経が優位になるため、寝る直前に食べると副交感神経がうまく働かず、眠りが浅くなってしまいます。
運動を習慣化すると、健康的な体づくりはもちろん、気分転換やストレス解消などの精神的な充実感も得られます。定期的に行うことで生活のリズムも作りやすくなるでしょう。無理なくトライできるウォーキングやストレッチ、ヨガなどがおすすめです。
昼夜逆転や夜更かしなどを減らし、体内時計を整えることも重要なポイント!リズムを取り戻すために、早寝早起きを心がけましょう。
自律神経を整える、おすすめの基本ストレッチ
ここからは、自律神経を整えるストレッチをご紹介します。いずれも簡単な動作ばかりなので、自宅はもちろん、オフィスや外出先でのちょっとしたスキマ時間にも実践できます。自律神経を整えるストレッチを心身の健康に役立てましょう。
①体側を伸ばすストレッチ
縮こまりがちな体の側面=体側を伸ばすことで、自律神経のバランスを整えながら、血流を促すストレッチです。
■実際に行ってみましょう
難易度:易しい
- 両足を肩幅に開いて立ちます。
- 両腕を頭の上に上げて、右手の先を左手でつかみます。
- 息を吐きながら上体を左に倒し、右の体側を伸ばします。
- 息を吸いながら上体を戻し、体を上方向へ伸ばしましょう。
- つかむ手を反対に替え、左の体側も同様に伸ばします。
■体側を伸ばすストレッチのポイント
体側を伸ばすと、倒した側の腸が圧迫されるため、腸にも刺激を与えることができます。便秘にお悩みの方にもおすすめです。
できるだけ手の先を持つと効果的です。
②胸そらし+背中のばし
自律神経は、背骨と密接に関係しています。背骨を刺激するようなストレッチを取り入れて、自律神経を正しく働かせましょう。
■実際に行ってみましょう
難易度:易しい
- イスに浅めに座り、両手でお尻の後ろあたりのイスの側面をつかみます。
- 息を吐きながら胸を後ろに反らします。
- 息を吸って上体を起こします。
- 息を吐きながら前屈するように上体を前に倒し、同時に両腕も前に伸ばします。
- 息を吸って上体を起こします。
- この動作を3~5回繰り返します。
■胸そらし+背中のばしのポイント
胸を反らすときや上体を前に倒すときは、無理せず気持ち良く感じるところでストップ。勢いをつけず、ゆっくりと行いましょう。
③開脚ストレッチ
自律神経の乱れの改善だけでなく、下半身の血流やリンパの流れも良くするストレッチです。下肢の冷え予防にも効果があります。
■実際に行ってみましょう
難易度:易しい
- 床に座り、脚を伸ばしたまま左右に大きく開きます。最初のうちは90度くらいの無理のない範囲で大丈夫です。
- 骨盤を立てるようなイメージで、背筋をまっすぐ伸ばしましょう。
- 膝を曲げないよう、ゆっくりと体を前に倒します。
- 程よい痛みと気持ち良さを感じるくらいのところで動きを止め、ゆっくりと深呼吸をします。
■開脚ストレッチのポイント
股関節の可動域いっぱいに脚を広げるストレッチのため、最初から無理をすると股関節や内ももを痛める原因に。体が硬い方は片足ずつ開脚しましょう。
自律神経を整えるストレッチ(チャレンジ編)
「基本のストレッチはマスターした」「もっと体をほぐしたい」「より効果を感じたい」という方は、少し難易度アップ!チャレンジ編のストレッチにもトライしてみましょう。
①ねじった片脚前屈のストレッチ(パリヴルッタジャーヌシールシャーサナ)
自律神経を整えるだけでなく、背骨の柔軟性アップや消化機能の活性化、疲労回復などの効果も期待できるストレッチです。
■実際に行ってみましょう
難易度:普通
- 床の上で開脚の状態から右足を曲げ、右のかかとが股関節に近づくようにして座ります。
- 骨盤がしっかりと床の上で安定するように意識し、左右にある坐骨に体重を均等にのせます。
- 吸う息で一度両腕を天井方向に持ち上げ、上半身全体を引き上げます。
- 吐く息で上半身を左側にゆっくりと倒し、左手は床の支えを使いながら左の足裏もしくはふくらはぎなどを掴み、右手は頭の上を通って、左のつま先を掴んでいきましょう。
- 反対側も同様に行いましょう。
■ねじった片脚前屈のストレッチのポイント
慣れるまでは無理に両手を近づけようとせず、曲げている脚の坐骨と膝が床につき、体側が気持ち良く伸びるところまで上半身を倒しましょう。
②キャットアンドカウ
自律神経の要である背骨を整えてくれる「キャットアンドカウ」。ストレスを和らげてくれる効果もあります。
■実際に行ってみましょう
難易度:易しい
- 四つん這いの状態になり手首を肩の真下へ。膝は股関節の真下に置き、こぶしひとつ分程度開いておきます。
- 鼻から息を吸い込み、吐く息で背中を丸めて視線をおへそに向けます。
- 息を吸いながら背中を反らし、視線を正面に向けます。
- 呼吸に合わせて1~3の動きを繰り返しましょう。
■キャットアンドカウのポイント
背骨を反らす場合は、手首を肩の真下に置き、腰が反りすぎないように意識しましょう。
自律神経の乱れをストレッチと生活習慣の見直しで改善しよう
生活習慣の乱れが自律神経の乱れを引き起こし、心身にさまざまな悪影響を与えることもしばしば。睡眠不足や偏食、運動不足などを解消し、生活習慣を改善していきましょう。本記事でご紹介した自律神経の乱れを整えるストレッチも、ぜひスキマ時間に取り入れてみてくださいね。