ゴルフ後のストレッチで疲労とケガはおさらば!1分あればできるストレッチ8選

監修者情報
正覺 友香里
ゴルフコーチ・ゴルフクラブアドバイザー
中学2年でゴルフを始め、高校で県大会優勝。ゴルフクラブアドバイザーやキャディとしての勤務経験を持ち、現在は初心者〜中級者向けにマンツーマンレッスンを行う。
元ドラコンプロで、九州のタイトルマッチ戦2位の実績あり。
■資格
USGTF(全米ゴルフ指導者連盟)ティーチングプロ
ゴルフの後にストレッチをするメリットとは
「ゴルフはリフレッシュになるけど、翌日になると体が重だるい……」そんなお悩みはありませんか?ゴルフは全身を使うスポーツであり、普段とは異なる動きをするため、知らず知らずのうちに筋肉へ負担がかかります。特に、スイングの繰り返しで肘・肩・腰・股関節まわりの筋肉が硬くなり、疲労が蓄積しやすくなります。そのまま放置すると、疲労の回復が遅れるだけでなく、柔軟性の低下によるケガのリスクも高まるでしょう。
ゴルフ後にストレッチを取り入れることで、筋肉を伸ばして血流を促進し、疲労物質の排出をスムーズにできます。さらに、筋肉の柔軟性が向上することで可動域が広がり、次回のプレー時に効率良く体を動かせるようになるのも大きなメリットです。就寝前に行えば、副交感神経が優位になり、質の良い睡眠につながる効果も期待できます。ラウンド後や入浴後のひとときに、ぜひストレッチを習慣化してみましょう。
5分からできる!ゴルフに活かせるストレッチ8選【部位別に紹介】
ゴルフ後に特に疲れが残りやすい、肘関節や肩甲骨、腰まわり、股関節のストレッチをご紹介します。いずれも短時間でできるものなので、スキマ時間に簡単にトライできます。
肘関節
ゴルフは全身を使いますが、特に負担がかかるのが肘関節です。スイング時に重要な役割を果たし、柔軟性が低下するとスイングスピードやパワーが落ちるだけでなく、肘の痛みやケガのリスクも高まります。そこで、肘関節の可動域を広げるストレッチを取り入れ、スムーズなスイングをサポートしましょう。ここでは、手首や前腕までしっかりほぐせる2つのストレッチを紹介します。
①手首のストレッチ

ゴルフのスイングでは、肘関節だけでなく、手首や前腕の柔軟性も重要です。手首の動きが硬いと、スイング時に無理な力がかかり、肘への負担が増してしまいます。そのため、肘関節のコンディションを整えるためにも、手首をしっかりほぐすことが大切です。このストレッチで手首の可動域を広げ、スムーズなスイングをサポートしましょう。
■ 実際にストレッチを行ってみましょう
難易度:簡単
- 片手を前に伸ばし、手のひらを上に向けます。
- 反対の手で伸ばした手の指先をつかみ、ゆっくりと下方向へ引きます。
- 手首から前腕にかけて心地よく伸びるのを感じながら、15〜20秒キープします。
- 反対側の手首も同様に伸ばしましょう。
■ 手首のストレッチのポイント
- 無理に強く引っ張らず、痛みが出ない範囲で行いましょう。
- 腕をまっすぐ伸ばした状態で行うことで、手首だけでなく前腕の筋肉もしっかりほぐせます。
- スイングの安定性を高めるため、プレー前後の習慣にすると効果的です。
②壁を使ったストレッチ
ゴルフのスイングでは、手首から肘、前腕にかけて強い負荷がかかります。特に、フォローやインパクト時に手首が硬いと、その衝撃が肘に伝わりやすくなり、痛みやケガの原因に。壁を使ったストレッチを取り入れ、肘関節を含む手首・前腕の柔軟性を高めましょう。
■ 実際にストレッチを行ってみましょう
難易度:普通
- 壁の横に立ち、伸ばしたい側の腕を肩の高さで横に伸ばします。
- 手のひらを壁につけます。
- 腕を伸ばしたまま、体を反対方向にゆっくりとひねります。
- このとき、肘が外側に向くよう意識し、肩ではなく腕をねじるようにします。
- 伸びを感じながら15〜20秒キープし、反対側の腕も同様に行います。
■ 壁を使ったストレッチのポイント
- 肩の高さで腕を伸ばすことで、手首だけでなく肘や前腕の筋肉までしっかり伸ばせます。
- 痛みが出ない範囲で、呼吸を止めずに行うのがポイントです。
- ゴルフの後だけでなく、デスクワークやスマホの使用で手首が疲れたときにも効果的です。
肩甲骨
腕の一部として背中側についている「肩甲骨」は、腕を安定して動かすために重要な役割を担っているパーツです。肩こりの改善や、腕の可動域を広げて肩甲骨まわりの筋肉をほぐすのに効果的なストレッチを2つご紹介します。
③牛の顔のポーズ(ゴムカーサナ)

腕や肩甲骨まわりの筋肉をほぐすストレッチです。本来は足も組んで行いますが、今回は肩のストレッチに絞ってご紹介します。脇や胸、肩まわりの伸びをしっかり感じつつ、深呼吸をしながら行いましょう。
■実際にストレッチを行ってみましょう
難易度:普通
- 床、もしくは椅子に座った姿勢になります。
- 右手を天井に向かって上げて肘を曲げ、手のひらで背中を触ります。
- 右肘を頭の後ろへ近づけながら、右手は背骨に沿って下げます。
- 右腕の状態をキープしたまま、左腕を腰の方から回して背中で手を繋ぎます。
- 繋いだ手で背骨を軽く押して胸を張りながら、数呼吸繰り返します。
- 左腕も同様に行います。
■牛の顔のポーズのポイント
背中側に回した手を繋ぐのが難しい場合は、タオルの端を持って少しずつ手繰り寄せてみましょう。下から回すほうの腕は、脇を閉じて肘を曲げるようにすると繋ぎやすくなります。
④簡単肩回し

凝りかたまってしまった肩甲骨まわりの筋肉をほぐすストレッチです。肘を曲げて肩を回すことで、肩甲骨まわりの筋肉を刺激して肩の可動域を広げられます。
■実際にストレッチを行ってみましょう
難易度:易しい
- 床、もしくは椅子に座った姿勢になります。
- 両腕を曲げて、右手の指先を右肩に、左手の指先を左肩に添えます。
- 吸う息とともに両肘を前から回し、吐く息で肘が背中側を通るようにしてゆっくり下ろします。
- 呼吸とともに肘が円を描くように、数回回します。
- 背中側からの反対回しも数回行います。
■簡単肩回しのポイント
肘が胸の前を通るときには、肘と肘を近づけるように意識しながら大きな円を描きましょう。
両肘を後ろに引くときは肩甲骨を背中の中心に寄せるようにして、背中に縦じわができるようなイメージで動かしてみましょう。
肩甲骨まわりをほぐすストレッチをもっと知りたい方は、ぜひこちらの記事も参考にしてくださいね。
関連記事:肩の可動域を広げるストレッチを紹介した記事はこちら
腰まわり
体幹を支える筋肉が集中している腰まわりは、上半身と下半身を繋ぐ重要なパーツ。ゴルフのスイングを安定させるためにも腰まわりの筋力は不可欠です。ここでは、腰痛がある方&背中全体の強張りや疲れが気になる方におすすめのストレッチを2つご紹介します。
⑤ランジ&チョッピングスクワット
こりかたまった腰や背中の筋肉をねじるストレッチです。上半身だけでなく、腰から下にかけても鍛えられるストレッチで、背骨の軸を感じながらねじっていきましょう。ストレッチの効果だけではなく、ウエストの筋肉を鍛える筋トレ効果もあるので、継続するうちに体幹が強化されてゴルフスイング時の腰への負担が軽減されます。動画でチェックしたい方はこちらのインスタグラムの動画を参考にしてみてくださいね。
■実際にストレッチを行ってみましょう
難易度:普通
- 立った姿勢で両腕を肩の高さに伸ばし、両手を握り合わせます。
- 右足を大きく前に踏み出して腰を落とし、左膝が床につく手前の状態で止まります。
- 下半身の状態をキープしたまま、お腹をねじるようにして繋いだ両手を左上↔︎右下の斜め方向に動かします。
- ねじる動作を数回繰り返したら右足を引いて立った姿勢に戻ります。
- 逆側(左足の踏み出しと左斜め上へのツイスト)も同様に行います。
■ランジ&チョッピングスクワットのポイント
踏み出した前足の膝が、つま先より前に出ないようにしましょう。
腕の動きで下半身がぶれてしまわないよう、太ももやお腹の筋肉で下半身を支えましょう。
ねじる動作で息を吐くと腰やお腹を深くツイストできます。
⑥片膝たてストレッチ
片膝を立てて足の付け根を伸ばすこのストレッチでは、上半身と下半身を繋ぐインナーマッスルの「腸腰筋群」にアプローチできます。腰痛の予防や緩和だけでなく、足のスムーズな運び出しにも効果があります。ゴルフでは、腸腰筋が固まるとフォロースルー(スイングのフィニッシュ)が取りづらくなります。フォロースルーが気になる方にはとても重要なストレッチです。
■実際にストレッチを行ってみましょう
難易度:普通
- 膝立ちの状態から右足を前に出して、片膝を立てた姿勢になります。
- 右膝がかかとの上にあることを確認し、左膝の位置を後方に下げます。
- 上半身を起こして右手を右膝に、左手を左もも裏に添えて軽く胸を反ります。
- 左足の付け根から前ももあたりの伸びを感じながら数呼吸繰り返します。
- 右足のストレッチも同様に行います。
■片膝たてストレッチのポイント
腰に痛みがある場合は、両手を前の膝の上に置いてストレッチを行いましょう。
骨盤が前に倒れて腰が反った状態になると、腸腰筋群がうまく伸びません。お腹を薄くして引き上げるようなイメージで、骨盤を立てましょう。
股関節
下半身を安定させるために重要な役割を持つ、股関節を繋ぐ筋肉をほぐすストレッチを2つご紹介します。股関節にはたくさんの筋肉があるため、ひとつのストレッチで同じ筋肉を伸ばすだけでなく、異なるストレッチをいくつか組み合わせるのがおすすめです。
⑦ディープスクワットシークエンス
ゴルフスイングは上半身と下半身のねじりの力を使って行うので、ディープスクワットシークエンスなどの、股関節の可動域を広げるストレッチがとても有効です。動画で手順をチェックしたい方はこちらのインスタグラムの動画を参考にしてみてくださいね。
■実際にストレッチを行ってみましょう
難易度:難しい
- 立った姿勢になり、両足を肩幅からやや広く、つま先を斜め外向きに開きます。
- 腰を落としてしゃがんだ姿勢になり、太ももの内側から手を伸ばして右手で右足首を、左手で左足首をつかみ、股関節の伸びを感じます。
- 右手を右斜め後ろ方向に向かって伸ばしながら上半身をねじります。
- 左手を左斜め後ろ方向へねじる動作を交互に行います。
■ディープスクワットシークエンスのポイント
斜めに開くつま先は、開いた膝の向きに合わせましょう。足首がねじれないように注意すると、股関節のストレッチ効果を高められます。
上半身をねじるときに手のひらを上向きにすると胸筋をより深くストレッチできます。
⑧座った状態でできる簡単ストレッチ
股関節まわりの筋肉やお尻、太ももの筋肉を伸ばすストレッチです。股関節のストレッチはお尻や太ももの疲労回復だけでなく、腰痛の緩和にも効果があります。torcia(トルチャ)の公式インスタグラムでも紹介しているので、動画でチェックしたい方は参考にしてみてくださいね。
■実際にストレッチを行ってみましょう
難易度:普通
- 床に座った姿勢になります。
- 右足を上にしたあぐらの姿勢になります。
- 両手でお尻のお肉を後ろに掻き出すようにして背筋を伸ばしたら、前屈をします。
- 数呼吸繰り返したら、両足を前に伸ばします。
- 両手で右足を持ち上げます。膝を曲げ、持ち上げた足を胸に引き寄せお尻にストレッチを感じましょう。
- 持ち上げた右足を左右に数回揺すります。
- すねを縦にして膝の内側から右腕を回し、右足のかかとを右手で持ちます。
- 右の内ももを伸ばすように、右足を後方へ引いた状態で数呼吸繰り返します。
- 右足で行った3種類のストレッチを、左足でも同様に行います。
■座った状態でできる簡単ストレッチのポイント
力を強く加えて勢いよく伸ばすのではなく、気持ちいいと感じる範囲で伸ばしていきましょう。
リラックス効果を高めるとより効果的です。
関連記事:股関節の可動域を広げるストレッチを紹介した記事はこちら
ゴルフ後のストレッチを効果的に行う際に意識したいこと

ストレッチは、ただ伸ばせばよいというものではなく、正しい方法で行うことが大切です。やり方を間違えると、十分な効果が得られないだけでなく、逆に体を痛めてしまうこともあります。ここでは、ストレッチを行う際に意識したい5つのポイントを解説します。
正しい方法で伸ばせているか確認する
ストレッチは自己流で行っても一定の効果はありますが、正しいフォームで実施することで、より高い効果が得られます。誤った姿勢や無理な力を加えると、十分に筋肉が伸びなかったり、逆に体を痛めてしまう可能性もあります。
まずは鏡を使ってフォームをチェックするとよいでしょう。自分のやり方が合っているか不安な場合は、パーソナルジムなどでプロに指導を受けるのもおすすめです。
1種目20秒以上継続する
ストレッチは数秒でも効果がないわけではありませんが、より筋肉をしっかり伸ばし、柔軟性を高めるためには、1種目につき20秒以上継続することが推奨されています。厚生労働省もストレッチの効果を最大化するために20秒以上を推奨しており、秒数が長くなるほど筋肉がじっくりと伸びて深いリラックス効果も得られます。焦らずに時間をかけて行うことが大切です。
痛みが出るまで伸ばさない
ストレッチは気持ちよく筋肉を伸ばすことが大切で、痛みを感じるほど強く行うのは逆効果です。無理に伸ばしすぎると、筋肉が過剰に反応して縮もうとする「伸張反射」が起こり、かえって柔軟性が低下してしまうこともあります。ストレッチ中は「気持ちよく伸びている」と感じる程度でキープし、決して無理をしないようにしましょう。
呼吸は止めない
ストレッチ中に呼吸を止めてしまうと、筋肉が緊張し、血圧の上昇につながる可能性があります。特にゴルフ後のストレッチは、体をリラックスさせ、疲労を回復させることが目的なので、ゆっくりと深い呼吸を意識しましょう。呼吸を続けることで筋肉がより伸びやすくなり、ストレッチの効果が高まります。息を吐きながら筋肉を伸ばすと、さらにリラックスしやすくなりますよ。
可能であれば毎日行う
筋肉は日々の動作や姿勢の影響を受け、思っている以上に固くなりやすいものです。デスクワークや長時間の同じ姿勢が続くと、血流が滞り、筋肉が硬直しやすくなります。週1~2回のストレッチでは現状維持が精一杯で、柔軟性の向上は難しいため、できれば毎日ストレッチを習慣化するのが理想的です。短時間でも継続することで、可動域が広がり、ゴルフのパフォーマンス向上やケガの予防につながります。
【番外編】ゴルフでよく使う筋肉とは?鍛え方も紹介
ゴルフのパフォーマンスを上げるためには「体幹」「背中」「下半身」の筋肉を鍛える必要があります。体幹の筋肉は主に横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋、背筋によって成り立っているため、これらの筋肉を鍛えることで体幹を安定させることができます。また、腹斜筋というウエストの「くびれ」を作る筋肉もスイングで体をひねる際に重要です。
下半身の筋肉は、股関節まわりの殿筋や太ももなどの筋肉のこと。スイングに負けないように体を支える役割があります。ストレッチで柔軟性をあげつつ、筋トレでゴルフ上達のための体づくりをしましょう!
ゴルフ上達のための筋トレの方法やコツについて、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事も参考になさってください。
関連記事:ゴルフ上達のためのおすすめ筋トレ!下半身・インナーマッスル・背筋を鍛えて飛距離を伸ばそう
関連記事:ゴルフ女子必見!ゴルフ上達に欠かせない筋肉と、その鍛え方をご紹介
ゴルフをもっと快適に!ストレッチを習慣にしよう
ゴルフを楽しむためには、スイングの練習や筋トレだけでなく、ストレッチも欠かせません。肘・肩・腰・股関節をしっかりほぐすことで、疲労回復が早まり、スムーズな動きができるようになります。
せっかくの楽しいゴルフ。翌日に疲れを残さず思いっきりプレイが楽しめるように、疲労回復を早めてゴルフの上達にも有効なストレッチを習慣にしていきましょう!