たんぱく質の「摂りすぎサイン」はすでに起きてるかも?体に起こる変化を紹介

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監修者情報

板垣 奏穂

板垣 奏穂

管理栄養士

管理栄養士と栄養教諭として働いた経験を活かし、食に関する記事の監修などを行う。
経営者支援事業などを展開する株式会社バシコミを経営するかたわら、プライベートでは20種類以上のアレルギーを持つ子どもの母でもあり、アレルギーや離乳食に関する相談の窓口としても活動している。

◼︎資格
管理栄養士
栄養教諭

「たんぱく質は食べれば食べるだけ良い!」と思っていませんか?
健康な体を維持するためにたんぱく質をたくさん食べると良いと聞きますが、摂りすぎは体重やむくみの増加につながり、体にさまざまな影響が出ます。

そこで本記事では「たんぱく質の摂りすぎサイン」について、体に起こる変化や1日の摂取量もあわせて解説します。「たんぱく質を摂取しすぎると体にどのような不調が出る?」と疑問に感じている方はぜひ参考にして、日々の食事で適度な量のたんぱく質を摂取してくださいね。

たんぱく質を摂りすぎると起きるサイン

たんぱく質は私たちの体にとって大切な栄養素のひとつです。しかし、大切な栄養でも摂りすぎは禁物。

本章では、たんぱく質の摂りすぎで起こる体のサインについて解説します。

  • 体重が増える
  • おならが臭くなる
  • 体に不調が現れる
  • むくみやすくなる
  • 尿路結石のリスクが上がる

たんぱく質の摂りすぎかも?と思う方はチェックしてみてくださいね。

体重が増える

たんぱく質を摂りすぎてしまうとカロリーオーバーとなり、体重の増加につながります。

たんぱく質は糖質よりも積極的に摂りたい栄養素ですが、たんぱく質を多く含む肉や魚、大豆や乳製品には脂質も含まれています。たんぱく質や炭水化物は1g当たり4kcalなのに対して、脂質は1g当たり9kcalと高カロリーなので、たんぱく質を積極的に摂ることで脂質も摂りすぎてしまえば、カロリーオーバーにつながるでしょう。

カロリーの多い食事は、体重が増える原因になります。

おならが臭くなる

たんぱく質の摂りすぎのサインとして、おならが臭くなることがあります。

たんぱく質の中でも特に肉や魚など動物性のたんぱく質を摂りすぎると、余分なたんぱく質が悪玉菌のエサとなり、腸内環境の悪化につながります。
その結果、おならが臭くなってしまうのです。

たんぱく質を多く摂る際は、食物繊維も同時に摂取するなど、腸内環境の悪化を予防するのがおすすめです。食物繊維は腸内細菌のエサとなり、便の体積を増やして腸の運動を活発にします。腸内環境の改善をサポートする食物繊維は、積極的に摂りたい栄養素のひとつです。

食物繊維は、野菜やきのこ類に豊富に含まれています。炒めものやスープに入れれば、カサが減って食べやすくなるでしょう。また、食物繊維が豊富に含まれたサプリやドリンクで足りない食物繊維を補ってあげるのもおすすめです。

体に不調が現れる

たんぱく質の過剰摂取は、食欲不振や疲れやすくなるなどの症状を引き起こす可能性があります。

体の中の余分なたんぱく質は窒素に分解され、その後アンモニアへと変化します。アンモニアは体にとって有害であり、肝臓で無害な尿素へと変換されますが、たんぱく質を多く摂ってしまうとアンモニアの量が増え、肝臓に負担がかかってしまうのです。
肝臓が疲労すると、食欲が湧かなかったり疲れやすくなったりするため、たんぱく質の取りすぎには注意しましょう。

むくみやすくなる

むくみやすくなることも、たんぱく質の摂りすぎサインのひとつです。

たんぱく質を摂りすぎると、体の中で余ったたんぱく質(老廃物)を尿として体外に排出するため腎臓に負担がかかり、腎機能の悪化を引き起こす場合があります。

腎機能が悪化してしまうと、体内の老廃物を排出する働きが低下するため、むくみにつながるのです。
むくみやすくなったと感じたときは、たんぱく質の摂取量も見直してみるとよいですよ。

尿路結石のリスクが上がる

たんぱく質の摂りすぎは尿路結石のリスクを高める要因のひとつと考えられています。

尿路結石とは、その名のとおり尿路(腎臓、尿管、膀胱など)に結石が形成される病気です。細菌感染が起こりやすく、激痛を伴います。
結石は、尿中のカルシウムやたんぱく質などが結晶化して形成されます。特に動物性たんぱく質の過剰摂取は、尿中のシュウ酸や尿酸の濃度を上昇させ、結晶が形成されやすい環境を作るとされています。

このため、動物性たんぱく質を中心とした高たんぱく食を続けることは、尿路結石のリスクを高める要因になり得ます。健康的な食事バランスを保つために、植物性たんぱく質を取り入れることや適切な水分補給を心がけるとよいでしょう。

そもそもたんぱく質にはどんな働きがある?

たんぱく質というと筋肉を作るイメージが強いかもしれませんが、実際にはそれ以外にもさまざまな重要な働きを担う栄養素です。

まず、たんぱく質は皮膚や爪、髪の毛などの生成に関わっています。たんぱく質は体内で分解と合成を繰り返し、新しい組織を作りながら私たちの体を支えています。

さらに、たんぱく質は体の機能調整にも重要な役割を果たします。例えば、酸素を全身に運ぶヘモグロビンや、鉄を体内に運搬するトランスフェリンなどは、たんぱく質によって構成されており、生命維持に欠かせない物質の輸送を担っています。

また、エネルギー源としても活用されることがあります。通常は糖質や脂質が優先的にエネルギーとして使われますが、摂取量が不足したり、糖質がうまくエネルギーに変換されない場合には、たんぱく質が代わりにエネルギー源として利用されます。

たんぱく質の適切な摂取量はどれくらい?

たんぱく質の摂りすぎを防ぐためには、適切な量を把握することが大切です。また、たんぱく質の不足は肌荒れや筋力の低下につながるため、過不足の少ない食生活を心がけましょう。
ここでは、たんぱく質摂取量の目安摂取量の上限値について説明するので、参考にしてくださいね。
性別や年齢によって異なりますので、自分にとってどのくらいのたんぱく質が適量か知っておきましょう!

摂取量の目安

厚生労働省が発行している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、1日のたんぱく質摂取量の目安は以下の通りです。

成人男性(18~64歳):65g
成人男性(65歳以上):60g
成人女性(年齢問わず):50g

例えば鶏むね肉100gのたんぱく質量は21gなので、成人女性の場合250gの鶏むね肉で1日のたんぱく質摂取量の目安に達します。

また、たんぱく質を1食で一気に摂ると内臓に負担がかかるだけでなく、吸収しきれなくなってしまうため、1日の食事を通してバランスよく摂取するのがおすすめです。

摂取量の上限値

同じく「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より、1日のたんぱく質摂取量の上限は「摂取エネルギー量の20%」とされています。

1日の摂取エネルギーは性別、年齢、運動の多さによって異なります。

例えば30代の女性の場合、摂取エネルギーの目安は1,750〜2350kcalなので、たんぱく質量の上限は350〜470kcalであり、g(グラム)に換算すると87.5g〜117.4gです。

たんぱく質は大切な栄養素ですが、上限を超えて過剰に摂取すると体によくないので、自分にとって必要な量を摂取するように心がけましょう。

上手にたんぱく質を摂取するコツ

たんぱく質の摂りすぎも摂らなすぎも体に良くないとはいえ、適切な量を上手に摂取するのは難しく感じますよね。
本章では、日々の中で上手にたんぱく質を摂取するコツを解説します。

  • たんぱく質が多い食べ物を積極的に食べる
  • プロテインを活用する
  • 栄養補助食品を活用する

ぜひ参考にして、適切にたんぱく質を摂取しましょう!

たんぱく質が多い食べ物を食事に取り入れる

たんぱく質摂取量の上限値に気をつける必要はありますが、効率的にたんぱく質を摂りたいのであれば、たんぱく質が豊富に含まれる食べ物を適宜食事に取り入れることが重要です。

今回は、普段の食事で取り入れやすいたんぱく質を多く含む食材をご紹介します。

  • 肉(鶏むね肉や赤身肉)
  • 納豆
  • 豆腐

例えば、朝は納豆や卵、お昼にお肉、夕食に魚や豆腐など、各食事に1〜2種類のたんぱく質を取り入れるとバランスよく摂取できるのでおすすめです。

ただし、遅い時間の高たんぱくな食事は消化に時間がかかり、腸への負担につながります。たんぱく質の多い食事はなるべく朝食に取り入れ、体に負担をかけずに栄養補給をしましょう。

たんぱく質が多く含まれる食材を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:たんぱく質の多い食材について解説した記事はこちら

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以下では、高たんぱくなおすすめレシピを紹介します。毎日の食事にぜひ活用してみてください!

鶏むね肉のピリ辛ねぎソース和え


<材料(2人分)>
鶏むね肉:250g
酒:大さじ1
みりん:大さじ1

(ピリ辛ねぎソース)
長ねぎ(みじん切り):30g
ポン酢:大さじ2
ごま油:大さじ1
豆板醤:小さじ1/2
すりおろししょうが:小さじ1
白ごま(お好みで):適量

<作り方>

  1. 鶏むね肉は皮を取り除き、フォークで数か所穴を開けて一口大に切り分ける。
  2. 耐熱皿に鶏むね肉を並べ、酒とみりんを回しかけて絡める。10分ほど置いて下味をつける。
  3. ラップをふんわりとかけ、電子レンジ600Wで2分加熱する。一度取り出して裏返し、さらに600Wで2分加熱する。火が通っていない場合は追加で加熱する。
  4. 小さなボウルに長ねぎ、ポン酢、ごま油、豆板醤、すりおろししょうがを入れて混ぜ合わせ、ピリ辛ねぎソースを作る。お好みで白ごまを加える。
  5. 加熱した鶏むね肉を皿に盛りつけ、ソースをたっぷりとかければ完成。お好みでパクチーや糸唐辛子をトッピングしても。

鶏むね肉の南蛮風ソテー(2人分)


<材料(2人分)>
鶏むね肉:1枚(約350g)
塩こしょう:適量
小麦粉:適量
卵:1個
サラダ油:適量

(A)
酢:大さじ2
しょうゆ:大さじ1
はちみつ:大さじ1
すりおろしにんにく:小さじ1

(ヨーグルトタルタルソース)
プレーンヨーグルト:大さじ2
玉ねぎ(みじん切り):15g
ピクルス(みじん切り):10g
塩こしょう:適量

<作り方>

  1. 酢、しょうゆ、はちみつ、すりおろしにんにくを混ぜ合わせて甘酢ソースを作る。
  2. 玉ねぎとピクルスをみじん切りにし、ヨーグルトと塩こしょうと混ぜてヨーグルトタルタルソースを作る。
  3. 鶏むね肉をそぎ切りにし、塩こしょうで下味をつける。全体に小麦粉をまぶしておく。
  4. 卵を割りほぐし、3の鶏むね肉をくぐらせる。
  5. フライパンにサラダ油を熱し、卵をまとわせた鶏むね肉を中火で両面こんがり焼く。
  6. 焼き上がった鶏むね肉に(A)を加え、全体に絡めながら1~2分ほど加熱する。
  7. 盛り付けた鶏むね肉にヨーグルトタルタルソースをかけて完成。

ブロッコリーとゆで卵のごまヨーグルトサラダ


<材料(2人分)>
ブロッコリー:120g(半株)
卵:2個
塩:小さじ2(茹で用)
かつお節:2g

(ごまヨーグルトドレッシング)
すりごま:大さじ1
プレーンヨーグルト:大さじ2
しょうゆ:小さじ1
はちみつ:小さじ1
オリーブオイル:小さじ1

<作り方>

  1. ボウルにすりごま、ヨーグルト、しょうゆ、はちみつ、オリーブオイルを入れて混ぜ、ドレッシングを作る。
  2. 鍋に卵を入れて固ゆで卵を作る(沸騰後10~12分)。茹で上がったら冷水に取って殻をむいておく。
  3. 鍋に水(1リットル)を沸かし、塩(小さじ2)を加える。ブロッコリーをよく洗い、小房に分け、茎は皮をむいて薄切りにする。すべてを1~2分茹でた後、ざるに上げて粗熱を取り、キッチンペーパーで水気を拭き取る。
  4. ゆで卵をボウルに入れ、フォークで粗くつぶす。
  5. ボウルにブロッコリー、つぶしたゆで卵、ドレッシング、かつお節を加え、全体をよく和える。
  6. 器に盛り付けて完成。追加でかつお節をトッピングしてもOK。

また、料理に時間をかけられない方は、バランスの良い食事が手軽に楽しめる宅食弁当を活用してみましょう。

関連記事:おすすめの宅食をご紹介している記事はこちら

プロテインを活用する

生活リズムや仕事などの都合で、食事からたんぱく質を摂ることが難しい場合は、プロテインもおすすめです。朝や間食、寝る前など自分の好きなタイミングで活用しましょう。飲むだけで足りないたんぱく質を補給できるため、忙しい朝や夜でも手軽に栄養補給ができます。

また、プロテインはダイエットにもおすすめです。ダイエットを成功させるには基礎代謝を上げるための筋肉が欠かせません。たんぱく質は筋肉づくりに関わる栄養素のため、プロテインを飲むことはダイエットに必要なたんぱく質の補給につながるでしょう。

ただし、食事量をそのままにプロテインを飲みすぎるとカロリーオーバーにつながり、太る原因となります。朝食をプロテインにするなど、置き換えて無理なく取り入れましょう。

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栄養補助食品を活用する

肉や魚が食べられなかったり、プロテインの味が苦手だったりと、なかなかたんぱく質を摂取できない方は、コンビニやスーパーに売っているプロテインバーなどの栄養補助食品を活用するのも手です。

最近は食べやすい味のものや甘いものも多く、お菓子などの代わりとしてもおすすめ。
ただし、糖質も多く含まれているので食べすぎには注意してください。

たんぱく質の摂りすぎサインにはご注意を!

私たちの体にたんぱく質は必要不可欠ですが、摂りすぎには注意が必要です。

以下の症状に心当たりがある場合は、たんぱく質の摂取量を見直してみましょう。

  • 体重が増える
  • おならが臭くなる
  • 体に不調が現れる
  • むくみやすくなる
  • 尿路結石のリスクが上がる

また、本記事ではたんぱく質の摂取目安量や摂取上限量、たんぱく質を上手に摂るコツについても解説しました。

自分の年齢や生活をもとに、適切なたんぱく質量を把握することが大切です。たんぱく質の摂りすぎサインに注意して、上手に摂取していきましょう!

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