自律神経を整えてくれる、ヨガの月礼拝とは?太陽礼拝との違いや、メリット・やり方をご紹介

自律神経を整えてくれる、ヨガの月礼拝とは?太陽礼拝との違いや、メリット・やり方をご紹介

ヨガの月礼拝というものをご存知ですか?太陽礼拝は知っているけれど、月礼拝もあるの?という方も多くいらっしゃいます。月礼拝は、自律神経を穏やかにしてリラックスへ導いてくれるだけでなく、女性特有の悩みを改善してくれるポーズがたくさん組み込まれています。この記事では月礼拝のメリットとやり方についてご紹介します。

月礼拝とは?

月礼拝とは?
月礼拝とは?

月礼拝は、股関節まわりや体の側面をゆったりと伸ばす8種類のヨガのポーズが連続した流れになっています。月の満ち欠けを表すようなポーズの連なりになっているのも特徴です。

1日の終わりに行うことで、ストレスや疲労、緊張状態になっている心と体を落ち着かせ、ぐっすり寝るために適した心と体の状態に導いてくれるヨガのフローです。

月礼拝の成り立ち

月礼拝は1970年代後半〜80年代に、アメリカのクリパルヨガではじまりました。その当時、女性の権利や活躍を広げようとするウーマンリブ(女性解放運動)が高まっていたことで、ヨガにおいても女性らしいフローを創造する機運が高まったことがこの月礼拝のはじまりです。

太陽礼拝に代表されるような、強く前進するヨガの動きに対して、月礼拝は股関節まわりや骨盤、胸を開くようなポーズが連続しています。

太陽礼拝と月礼拝の違い

ヨガのクラスでよく登場する、太陽礼拝に触れたことのある方は多いのではないでしょうか。太陽礼拝と月礼拝は特徴や効果などが対照的です。それぞれの特徴を見てみましょう。

太陽礼拝は、交感神経に働きかけることで心と体を前向きに、すっきりさせてくれます。
力強い縦の動きのポーズを速めのテンポで展開し、体全体を温めて筋力を強化するだけでなく、集中力のアップにも効果的です。

一方、月礼拝は、副交感神経に働きかけることで心と体を落ち着かせ、リラックスさせてくれます。

しなやかな横の動きのポーズをゆるやかなテンポで展開し、特に股関節まわりの筋肉をほぐし、柔軟性のアップが期待できます。

また太陽礼拝は朝起きた直後の時間帯に行うことでスッキリとした目覚めと活動的な1日を送る活力となります。一方、月礼拝は夜寝る前に行うことで質の良い睡眠に繋がり、しっかり心と体を休めることができます。時間帯に合わせて太陽礼拝と月礼拝を使い分けて行うことで、1日のサイクルがより良いものになっていきます。

太陽礼拝についてはこちらの記事でも詳しくご紹介しています。改めて太陽礼拝をおさらいしつつ、太陽礼拝の効果を確認してみようという方はぜひ参考になさってみてください。

月礼拝のメリット

月礼拝に組み込まれているポーズは、股関節を伸ばすものが多く含まれています。そのため、骨盤のゆがみや左右差などを調整し、骨盤を正しい位置に整えてくれる効果があります。また、骨盤内の血流を改善することで、生理痛の緩和も期待できます。

月礼拝ではゆっくりとした呼吸で筋肉を緩やかに伸ばすことで、自律神経を副交感神経優位にしてリラックスさせる効果が期待できます。夜、寝る前に月礼拝を行うことで睡眠の質を向上してくれるので、寝る前に行うことで1日の疲れをほぐしてぐっすり眠ることができます。

また副交感神経が優位に働くことで緊張していた筋肉がゆるみ、圧迫されていた血管もひらくため血圧が下がります。それによって血流が改善して代謝が上がるため、脂肪燃焼効果が高まるとも言われています。

月と女性の体の関係

古くより、月の満ち欠けは人間の体と心と密接な関係にあると言われています。特に女性の場合、生理のサイクルが月の満ち欠けとシンクロすることも。

女性の生理周期は、「月経期」「卵胞期」「排卵期」「黄体期」に分けられます。月経から排卵までの間に引き締める力をとり入れることで、新しい命をつくる準備をします。そして、排卵から月経までの間に緩める力をとり入れることで、体の老廃物を排泄します。

新月は、身体の中に溜めた不要なものを排出する力が強まる時期で、女性の身体のリズムでいうと排卵期に当たります。満月を迎えるころには、女性の骨盤が開き、生理を迎え、生理が終わると、骨盤が新月へ向け閉じ始める時期に当たることが多いと言われます。

月の満ち欠けのサイクルをイメージした月礼拝は女性のためのポーズシークエンスとも言えますよね。

月礼拝では股関節まわりを中心に、リラックスしながら骨盤内の血流をアップさせるためのポーズが連続しています。またホルモンバランスを整える動きが多く取り入れられていることもあり、生理痛の緩和やPMSの改善など女性特有の悩みに良い影響を与えます

実際に月礼拝を行ってみましょう

実際に月礼拝を行ってみましょう
実際に月礼拝を行ってみましょう

それでは早速、月礼拝にはどのようなポーズがあるのか見てみましょう。
月礼拝では、マットを横向きにして横の移動をしながらポーズをとっていきます。

〈月礼拝〉

マットを横向きに広げ、マットの右端あたりに立ったところからポーズをはじめていきましょう。

1.タダーサナ(山のポーズ)

真っ直ぐに立った状態になります。

2.パールシュバチャンドラーサナ(立位の三日月のポーズ)

両手を天井方向に伸ばしたあとで両手を左右に傾け、左右の体側をそれぞれ伸ばします。

3.デヴィアーサナ(女神のポーズ)

左足を大きく左に踏み込み、両足を開いて股関節をほぐし、両手も大きく開きます。

4.トリコーナーサナ(三角のポーズ)

前の状態から膝を伸ばし、左足のつま先の方向を左側に向けたら上半身を倒し、左手は左の足首、右手は天井方向に伸ばします。

5.パールシュヴォッタナーサナ(脇腹を強く伸ばすポーズ)

天井方向に上げていた右手を床におろし、体側を伸ばしながら左足の裏側も伸ばします。

6.アンジャネーヤーサナ(三日月のポーズ)

左膝をゆっくりと曲げ、右膝を床につけ、両手を天井方向に伸ばします。

7.スカンダーサナ(サイドランジ)

両手をおろしたら、体の向きを正面方向に戻し、股関節を開いた状態で胸の前で合掌します。

8.マラーサナ(花輪のポーズ)

マットの真ん中で、右膝を曲げて、両膝が外側を向いている状態で股関節を開き、胸の前で合掌。

ここで折り返し、逆の足で行っていきます。

9.スカンダーサナ(サイドランジ)

左膝を伸ばし、股関節を開いた状態で胸の前で合掌します。

10.アンジャネーヤーサナ(三日月のポーズ)

上半身を右側に向け、左膝を床につけ、両手を天井方向に伸ばします。

11.パールシュヴォッタナーサナ(脇腹を強く伸ばすポーズ)

左膝を床から離し、腰を持ち上げて両膝を伸ばし、上半身を右足に向けて倒し、体側を伸ばしながら右足の裏側も伸ばします。

12.トリコーナーサナ(三角のポーズ)

左足のつま先を正面側に少しずらし、右手は右足の足首に添え、左手は天井方向に伸ばします。

13.デヴィアーサナ(女神のポーズ)

ゆっくりと上体を起こしたら、両足のつま先を外側に向け、両足を開いて股関節をほぐし、両手も大きく開きます。

14.パールシュバチャンドラーサナ(立位の三日月のポーズ)

膝を伸ばしたら右足を左側に揃えます。両手を天井方向に伸ばしたあとで両手を左右に傾け、左右の体側をそれぞれ伸ばします。

15.タダーサナ(山のポーズ)

真っ直ぐ立った状態で、呼吸を整えます。

マットの左端でポーズを終えます。次は左からはじめ、マットの右端に戻りながら同じフローを行います。

ゆっくりとした呼吸を心がけることで1往復でも十分に効果があります。1往復に10分以上時間をかけるイメージでゆっくり行うとさらに効果が高まります

寝る前に1日の疲れをほぐしたいけれどシークエンスをすべて行う元気がないときは、月礼拝の中の2〜3ポーズを抜き出して行ってもよいでしょう。

月礼拝をスムーズに行う呼吸法

ヨガのポーズでは、ポーズとともに必ず呼吸をします。息を止めてしまうことは心と体に余計なストレスをかけてしまうだけでなく、怪我や血圧の上昇の危険性が高まります。

月礼拝の場合は、1つのポーズをとるごとにゆっくりと2〜3呼吸を繰り返すことで十分に筋肉をストレッチでき、よりリラクゼーション効果が高まります。

さらに呼吸と動きを連動させたい場合は、ポーズを移行するときに以下のポイントをふまえてポーズを変えてみましょう。

吸う息

  • 体を起こす、後屈する
  • 腕を上げる
  • 移動する

吐く息

  • 体を倒す、前屈する
  • 腕を下ろす
  • 筋肉のストレッチを強める

ポーズの移動やキープのための呼吸は絶対に決まっているものはなく、求める効果によって合わせる呼吸が変化することもあります。あまり呼吸に神経質になりすぎず、とはいえ呼吸は決して止めることがないように気をつけましょう。

月礼拝をすることでしなやかな心と体に

月礼拝をすることでしなやかな心と体に
月礼拝をすることでしなやかな心と体に

月礼拝は股関節まわりの柔軟性を高めるストレッチが多く含まれているため、リラクゼーション効果が高いだけでなく女性特有の悩みを解決に導いてくれる優れたシークエンスです。ポーズがしっかりできているか不安を感じる方は、オンラインレッスンなどで専門のインストラクターの指導のもと行うことでさらに効果が高まります。1日のストレスを解消してより質の良い睡眠をとるためにも、日々の生活に月礼拝を取り入れてみましょう!

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