生理前過食で食欲が止まらない。胃腸を整えるおすすめポーズとストレッチ
監修者情報
山本 信子
監修
2015年にヨガの聖地であるインドのリシュケシュにて資格を取得。
夫の駐在に帯同したインドネシアで日本人、インドネシア人の女性向けにヨガレッスンを行う。インナーマッスルを鍛える動きのあるレッスンが得意。マタニティヨガ、子連れヨガクラスの指導経験あり。
■所有資格:全米ヨガアライアンス(RYT200)/ キッズヨガ指導者養成講座
生理前過食には、「PMS(月経前症候群)」が影響している!
女性の体は生理周期に合わせてホルモンが大きく変化しています。女性ホルモンには排卵前に分泌量がピークになる「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と、排卵後(生理前1週間前後)に分泌量がピークとなる「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類があり、このホルモンの変動によって生理前の心身の不調「PMS(月経前症候群)」が生じると言われています。PMSの症状や程度には個人差がありますが、そのひとつが過食です。
なぜ生理前に「プロゲステロン」が増加すると過食傾向になる?
先ほどご紹介したように、生理前には女性ホルモンの「プロゲステロン」の分泌量が増加します。体を妊娠できる状態に導いてくれるプロゲステロンですが、分泌には以下のような効果も……。
- インスリンの効きが悪くなる
- 血糖値が高くなりやすい
- インスリンが大量分泌される
- 血糖値が急激に上下する
- 空腹感を覚える
通常は血糖値が下がったときに空腹を感じますが、血糖値の変動が大きい場合はさほど血糖が下がっていない状態でも体が空腹を感じてしまいます。よって、生理前に過食気味になってしまうのです。
生理前過食に要注意!「ドカ食い」が体に与える影響と症状
過食には体重増加や胃腸への負担だけでなく、さまざまなデメリットがあります。「生理前だからしょうがない」と食べ過ぎると、生理後にも不調が続く可能性があるので注意しましょう。
・体重増加
一度にたくさんの食事をとってしまうと血糖値が急上昇し、インスリンが過剰に分泌されます。インスリンは糖を体の細胞にエネルギー源として取り込みますが、余分な糖はグリコーゲンや中性脂肪として蓄えられます。その後、結果的にインスリンの過剰分泌は脂肪を蓄える作用に働いてしまい、体重が増加する要因となるのです。
・胃腸への負担がかかる
たくさん食事をとるということは、当然胃や腸もいつも以上に働かなければなりません。消化不良が重なると胃腸に炎症が起こり、下痢や腹痛、嘔吐などの症状を招く可能性もあります。
・肌荒れ
ただでさえホルモンバランスの乱れによって肌荒れが起こりやすい生理前。糖質や脂質の大量摂取は「皮脂」の過剰分泌を招き、さらなる肌荒れを引き起こします。生理中でもきめ細やかな美肌をキープするためにも、バランスのよい食生活を心がけましょう。
・疲労を感じやすくなる
胃腸に負担をかける生理前過食は、強い眠気やだるさ、体が重くなるなどの疲労感も引き起こします。
・ドカ食いスパイラルに陥る
実は、ドカ食いをしたときは「血糖値が急激に上昇→その後急激に下がる→強い空腹感が訪れる」という負のスパイラルに陥りやすくなります。「この一食だけ!」と心に決めていても、結果的に生理前の1週間がずっと過食気味になってしまうのはこのためです。
生理前過食を改善したい!空腹&過食を抑えるコツ
生理前は、体が妊娠準備のために脂肪や栄養分、水分や塩分を蓄えようする時期です。過度に食事を制限すると体調を崩してしまう可能性もあるので要注意。栄養バランスのよい食事を適量とるように心がけましょう。空腹感がガマンできないときには「1日のトータルカロリーを大きくオーバーしない範囲で食事を複数回に分ける」「ナッツ類を食べて空腹感を紛らわす」などを意識してみましょう。ナッツ類は腹持ちが良いことに加え、血糖値の上昇を抑制する効果もあるのでオススメです。一口一口をゆっくり、たくさん咀嚼する食べ方も満腹中枢を刺激できて効果的です。
つらいPMSの時期にとりたい栄養素&食べ物
・ほうれん草
マグネシウムを大量に含むほうれん草は、女性のホルモンバランス維持に効果的。また、セロトニンやドーパミンの分泌量を増やすビタミンB1、肌荒れを改善するビタミンB2なども多く含んでいます。サラダやスープ、スムージーなどさまざまなメニューに取り入れやすいのも嬉しいポイントですね。
・玄米
PMSの症状緩和効果が期待できるマグネシウム、ビタミンB6、マンガンを多く含む玄米。イライラや緊張状態を軽減するマンガンは、玄米のほかナッツや穀物などにも含まれています。
・さつまいも
イライラや気分の落ち込み、倦怠感といったPMSによる不調を和らげる作用のあるビタミンB6を多く摂取できます。甘いものが食べたいときに、焼き芋やスイートポテトを選ぶのがおすすめ!
・ドライフルーツ
甘いものをガマンできないときに最適なのが、鉄分を多く含むドライフルーツ。カリウムやミネラルを含むフルーツは生理前に感じやすいむくみを解消する効果も期待できます。
うっかり過食でSOS!負担を感じている胃腸を整えるには?
空腹を感じやすい生理前はガマンできずに過食してしまうこともしばしば……。過食によってダメージを受けた胃腸を整えるためには、「内臓の消化運動を活発にすること」がなにより重要です。過度な負担をかけてしまったときには、以下のアフターケアを試しながら胃腸を整えてあげましょう。
胃腸を整えるポイント
- 深呼吸をして内臓の動きを活性化させる。
- 腹部をやさしく叩いて、内臓を刺激する。
- 逆立ちのポーズをとり、重力で下垂した内臓を元の位置に戻す。
- 6~8時間ほど空腹の時間をつくる。
- おかゆや豆腐、ゼリータイプの栄養補助食品など消化によいものを食べる。
生理前過食におすすめ!胃腸を整えるおすすめのヨガポーズ
生理前の過食で弱った体は、「胃腸を整えてくれるヨガポーズ」でケアしてあげましょう。ヨガの呼吸法は自律神経を整えることができるため、イライラや憂鬱感といったPMS起因の精神的な不調を改善する効果も期待できます。生理前の暴飲暴食、PMSの症状にお悩みの方はぜひ実践してみてください。
①ガス抜きのポーズ
仰向けの姿勢になり、両手で膝を抱える「ガス抜きのポーズ」。膝や太ももを使ってお腹を優しく刺激することで、消化運動の促進が期待できます。お腹の張りが気になる生理前にもぴったりです。
■実際にポーズをとってみましょう
難易度:易しい
- 仰向けに寝転がり、両膝を抱えます。
- 吸う息でお腹を大きくふくらませながら両膝を抱えている両手を少し緩め、吐く息でお腹をへこませながら両膝を胸に引き寄せます。
- 体を元に戻し、呼吸を整えます。
- 一連の動作を数回繰り返しましょう。
■ガス抜きのポーズのポイント
- 姿勢をとるのが難しい場合には片膝だけを抱え、片方ずつ繰り返しましょう。
②橋のポーズ
ストレス解消やヒップアップ、PMSの緩和などに効果のある「橋のポーズ」。腰のだるさや痛みを感じやすい生理前に最適です。
■実際にポーズをとってみましょう
難易度:普通
- 仰向けの姿勢で両膝を立てます。このとき、両手は体側に伸ばし、手のひらを床につけましょう。
- 膝の真下にかかとがくるようにし、息をゆっくり吸いながらお尻をグッと持ち上げます。
- 肩甲骨を体の中央に引き寄せるイメージで、両手をお尻の下で組みます。
- お尻を持ち上げた状態のまま、3〜5回深呼吸しましょう。
- ゆっくりと肩から腰まで順番に床におろしていきましょう。
■橋のポーズのポイント
- お尻を持ち上げたときに両膝が横に開かないよう注意しましょう。
- 効果を高めるためにも、お尻を持ち上げたときにお尻の左右をキュッと引き締めるイメージで行います。
③ねじった椅子のポーズ
体をグッとねじる「椅子のポーズ」は、消化運動の促進に効果的です。やや難易度の高いポーズなので、先ほどご紹介した「ガス抜きのポーズ」「橋のポーズ」といった簡単なポーズで体をほぐしたあとにトライしてみましょう。
■実際にポーズをとってみましょう
難易度:難しい
- 両足を閉じてまっすぐに立ち、両手は体側におろします。
- 吐く息でゆっくりと上体を前屈させ、余裕がある方は床を触り、首まわりの力を抜き数呼吸キープします。
- ゆっくりと膝を曲げ90度くらいになるように腰を下げます。尾骨を下に下ろすイメージで、腰が反らないように注意しましょう。
- 下半身をそのままの状態にしたまま、吸う息で両手を天井方向に伸ばし上体を起こします。
- 吐く息で胸の前で合掌します。
- 一度息を吸い、吐く息でゆっくりと体を左にねじり、右肘を左膝に引っ掛けます。お腹まわりが苦しく感じたり、バランスをとるのが難しいと感じる方は、写真のように両足の幅を肩幅程度に広げてもOKです。
- そのまま数呼吸キープしましょう。
- ゆっくりと真ん中に戻ってから、1の姿勢に戻り、反対側も行います。
■ねじった椅子のポーズのポイント
- 腰を落とすときは膝がつま先より前に出ないように、股関節を後ろに引くイメージで行いましょう。
生理前の過食は、体重増加や胃腸への負担、肌荒れなどさまざまな悪影響を及ぼします。栄養バランスのよい食事を適量とるように心がけながら、ストレスなく過ごすようにしましょう。生理前過食による胃腸の疲れを感じたときは、ぜひ本記事でご紹介したポーズにトライしてみてくださいね。