背中の凝り・張りはヨガで改善!プロがおすすめするヨガ&ストレッチ3選
監修者情報
山本 信子
ヨガ講師・ライター
2015年にヨガの聖地であるインドのリシュケシュにて資格を取得。
夫の駐在に帯同したインドネシアで日本人、インドネシア人の女性向けにヨガレッスンを行う。
インナーマッスルを鍛える動きのあるレッスンが得意。マタニティヨガ、子連れヨガクラスの指導経験あり。
■資格
・全米ヨガアライアンス(RYT200)
・キッズヨガ指導者養成講座修了
背中の凝りや張りの原因とは
背中の凝りや痛みの主な原因は、筋肉の疲労や緊張による血行不良です。背中には主に姿勢を保つための筋肉があり、姿勢の悪さなどにより筋肉疲労や血行不良を起こしてしまいます。筋肉疲労や血行不良には以下のようにさまざまな原因があり、複数の要因が絡み合っていることも多いのです。
- 運動不足で筋力が低下したり血流が悪くなっている
- 不規則な生活やストレスで自律神経が乱れている
- デスクワークなど同じ姿勢でいることが多い
- 冷房や暖房による寒暖差によって筋肉が緊張している
- 冷え性で体が冷え、筋肉や血管が収縮し血流が悪くなっている
- 猫背など姿勢が悪く、首や肩に負担がかかっている
- 机や椅子の高さ、敷布団や枕が自分に合っていない
- 毎日重い鞄を肩から掛けている
背中の凝りや張りが原因で頭痛やだるさを引き起こすことも
背中の凝りや張りが痛みやだるさにつながる原因は、筋肉の緊張によるものと考えられています。緊張によって硬くなった背中の筋肉を急に動かそうとすると背中に痛みが出てしまいます。また、筋肉が緊張すると首や肩周辺が血行不良に。血流は栄養や酸素を運ぶ役割があるため、滞ると頭への酸素の供給量が少なくなり頭痛を引き起こすことがあります。
緊張型頭痛
時間同じ姿勢でいたり猫背などの不良姿勢でいると、頭から首、肩にかけての筋肉に負荷が集中し、筋肉に疲労が蓄積されます。頭から首、背中にかけて筋肉が凝ったり張ったりすると、痛みを感じる神経が刺激され頭痛となって現れます。これを緊張型頭痛と言います。
筋肉の緊張による睡眠不足・だるさ
腕や脚は力を使う瞬間に筋肉が大きく緊張するのに対し、頭の重さを支える首、背骨を支える背中、姿勢を保つための腰は常に緊張した状態です。休む暇がないため疲れが溜まりやすく、痛みやだるさを感じやすいのです。
背中の筋肉を休ませるには「仰向け寝」の状態が良いのですが、睡眠不足になると背中の疲れがなかなかとれません。背中の筋肉が凝り固まっていると仰向けで寝ることが難しくなりますが、横向きやうつ伏せで寝ると姿勢がますます悪くなり、結果的にさらに背中の筋肉に負担をかけてしまうのです。
背中の凝りや張りを改善するヨガ&ストレッチ3選!
背中の凝りや張りを改善するには、凝り固まった体をほぐして血液の流れを良くしてあげることが大切です。自宅やオフィスで仕事の合間に取り組める簡単なヨガ&ストレッチをご紹介します。
①猫のポーズ
猫のポーズは背中から首にかけての筋肉をほぐし、首こりや肩こりの軽減、腰まわりの筋肉をほぐし、腰痛を軽減してくれるほか、腹筋や背筋のインナーマッスル強化が期待できます。
■実際にポーズをとってみましょう
難易度:易しい
- 四つん這いの状態になり、手首は肩の真下、両膝は足の付け根の真下におきます。
- 肘は外側を向くようにし、膝と膝の間はこぶし1つ分程度開きましょう。
- 鼻から大きく息を吸ってから、吐く息で背中を丸め、視線はお腹をとらえます。
- 息をゆっくり吸いながら背中を反らせていき、視線は正面を向きます。
- この流れをワンセットとし、呼吸に合わせて5〜8回繰り返します。
■猫のポーズのポイント
膝からつま先がマットと平行になるように膝をつき、手のひらは床にしっかりとつけます。肩がすくまないよう、耳と肩の距離を遠ざけるようにしましょう。ゆっくりと呼吸し、伸びている箇所をしっかり意識することを心がけましょう。
②脊柱起立筋のストレッチ
「「脊柱起立筋」は背中の中央付近で縦方向に伸びている太くて大きな筋肉で、体全体を支える役割を担っています。脊柱起立筋が凝り固まると背中の姿勢悪化につながるため、ストレッチでしっかりとほぐしましょう。
■実際にポーズをとってみましょう
難易度:易しい
- 床に座った状態で、右膝を立て左足の外側にかけます。
- 左脚を曲げ、かかとをお尻の右側に近づけます。
- 背筋を伸ばし吐く息で上半身を右側に捻ります。この時、左ひじで右脚を押すようにすると捻じりが深まります。
- 反対側も同様に行います。
■脊柱起立筋のストレッチのポイント
捻じりながら目線を床に落としていき、背中を丸め込むことでより一層背中のストレッチが深まります。
③ 背中まわりの筋膜リリース
座りっぱなしや運動不足による凝り固まった背中には、背中まわりの筋膜リリースが効果的です。椅子とテーブルを使ってできるため、仕事の休憩タイムに実践してみましょう。
■実際にポーズをとってみましょう
難易度:易しい
- テーブルの前に約1メートル程離して置いた椅子に座り、両手を伸ばしながら体を前に倒していき、両手のひらをテーブルの上に乗せます。
- 頭頂から尾骨の距離を長くするイメージで背中全体を伸ばし、その姿勢を数秒キープします。
- ゆっくりと元の姿勢に戻ったら、椅子から立ち上がり、姿勢を真っ直ぐにします。
- 背中を真っ直ぐにしたまま、股関節からゆっくりと前屈させ、同じように両手を前のテーブルに置き、背中を気持ち良く伸ばしたまま数秒キープしましょう。
- ゆっくりと元の姿勢に戻ったら、1〜4を交互に何度か行います。
■背中まわりの筋膜リリースのポイント
背中全体の伸びを感じ、リラックスすることを心がけましょう。
椅子よりも15~20cmほど高いテーブルを用意すると無理なくトライできます。
背中のストレッチをする際に意識するポイント
背中のストレッチは、なんとなくやるだけでは効果が半減してしまいます。以下のポイントに気を付けながら、ストレッチしている部分を意識し、ゆっくりとした動作で丁寧に行いましょう。
凝り固まっているところから優先的にストレッチ
背中の筋肉は広範囲に広がっており、凝りや張りを感じる部分は人それぞれ異なります。そのため、つらい部分を優先的にストレッチすることでより高い効果が期待できます。たとえば背中上部がつらい場合は肩甲骨周辺や僧帽筋を優先的にストレッチ、背中下部がつらい場合は広背筋をストレッチするとよいでしょう。
背中や腰の反りすぎに注意
ストレッチやヨガのポーズには背中や腰を反らすものもありますが、自分の可動域内で痛くない程度で行いましょう。背中や腰を反らしすぎて、関節を傷めてしまうと逆効果になってしまいます。また、ヘルニアをお持ちの方は、背中を丸める動きによって悪化する恐れがあるため要注意です。主治医に相談のうえで行うようにしましょう。
深い呼吸を意識する
ストレッチやヨガを行う際に息を止めてしまうと、体に余計な力が入ってしまい、効果が半減してしまいます。ストレッチ中やポーズ中は息を止めず、ゆっくりとした呼吸を続けるように意識しましょう。
背中の凝りや張りの予防・改善には生活習慣も重要
座りっぱなしの生活や運動不足、姿勢の悪さなどは、背中や肩に負荷をかける要因です。解消されなければ背中の凝りや張りはどんどん悪化していきます。凝りや張り、痛みの改善や予防のため、日常の生活習慣も見直してみましょう。
正しい姿勢を心がける
肩こりになりやすいのは猫背の姿勢です。前かがみの姿勢だと背中側の筋肉が引っ張られて背中や腰に痛みが起きるため、正しい立ち姿勢&座り姿勢を意識して肩や背中・腰への余計な負担を減らしましょう。
正しい立ち姿勢
- ひざを伸ばす
- おへその下に力を入れて骨盤を立てる
- 軽く肩甲骨を後方に引き、胸を張る
- あごを少し引く
- 頭頂部が真上から引っ張られている感覚で、背筋を伸ばす
正しい座り姿勢
- 少し浅めに座り、背もたれにもたれない
- おへその下に力を入れて骨盤を立てる
- 背筋を伸ばす
- 目線が20~30度下に向くように、いすの高さやパソコンの画面の角度を調節する
適度に運動をする
背中の凝りや痛みに悩んでいる方の多くは、血液のめぐりが悪くなって筋肉が凝り固まってしまっていることが多いようです。血流を良くするには日ごろから適度な運動を習慣化しましょう。ウォーキングであれば少し早歩きで30分程度、ウォーキングよりも運動強度の高いランニングであれば時速10キロで1日5~10分程度で効果があります。時速10キロは、ゆっくりと漕ぐママチャリについていけるくらいの早さです。
そのほか、日常生活の中でも意識して階段を使ったり、バスや電車では座らずに立つ、スタンディングデスクを使うなど、少しでも立って動くことを意識するとよいでしょう。
湯船につかり、熱いシャワーを背中にあてる
血流を良くするには全身を温めることが大切です。背中は範囲が広いため、腰や肩のようにピンポイントで温めるよりも湯船につかって全身を温めましょう。体内の血液が温められ、その血が全身をめぐることで体の深部まで温まります。また、浴槽につかりながら背中に浴槽の湯よりも熱めのシャワーを5~10分あてると、凝り固まった背中の筋肉がほぐれやすくなります。
寝具を見直す
柔らかすぎるマットレスや敷き布団を使うと、腰が沈み込み猫背のような姿勢で眠ってしまうことに。不自然な姿勢で何時間も眠り続けると背中や腰に負担がかかるため、適度な硬さがあるマットレスや敷き布団を用意しましょう。
枕が高すぎても首から腰にかけての背骨のS字カーブが崩れ、肩や腰に負担をかけてしまいます。枕を選ぶときは、「頭が適度に沈む柔らかいもの」「寝返りをしても頭が落ちない長さ(2つ並べてもよい)」「頭が持ち上がらない低さのもの(高すぎない)」を選びましょう。
背中の凝りや張り、痛みにはストレッチと日常生活の見直しを
直立歩行の人間は、寝ている時間以外は常に頭を支えるために首や肩、背中に負荷がかかった状態になっています。さらに座りっぱなしでデスクワークをしたり、猫背など姿勢が悪い状態が続くと血流が滞り、背中や首に凝りや張り、痛みが現れます。改善するためには、ストレッチ+日常生活の見直しが大切!血流を促すストレッチやヨガを取り入れつつ、日常生活を見直して凝りや張り、痛みを改善していきましょう。