筋トレ中の水分補給は筋肥大の効果あり!効果的な摂取方法を理解しよう

監修者情報
水谷 さなえ
美容ライター・編集者
東北大学大学院農学研究科にて生理学を学ぶ。在学中からモデル・マネージャーとして美の世界に携わり、大学院修了後は美容情報サイトの企画やディレクションに携わる。
現在は美容系メディアのライター・編集者として活動中。
◼︎資格
日本化粧品検定1級
生物科学修士
筋肉と水の関係性


水谷 さなえ
筋肉の約70〜75%は水分で構成されており、水分は筋力の維持や筋肉の成長、疲労回復に不可欠です。
筋肉を効率よく鍛えたいなら、水分補給は欠かせません。水分は、筋力の維持や筋肉の合成、トレーニング後の疲労回復など、さまざまな面で重要な役割を果たしています。
ここでは「筋力の低下」「筋肉量の増加」「疲労物質の排出」という3つの観点から、水分と筋肉の深い関係について解説します。
水分不足は筋力低下につながるおそれがある
私たちの筋肉組織の約70〜75%は水分で構成されています。このことからも、水分は筋肉が正常に機能するために不可欠であることがわかります。
水分が不足すると筋収縮がスムーズに行われず、運動パフォーマンスが低下します。例えば、体重の2%以上の水分が失われると持久力が低下し、3%を超えると瞬発的なパフォーマンスも落ちるとされています。つまり、脱水状態のままではトレーニング中に本来の力を発揮できず、筋肉を十分に追い込むことができないのです。
また、慢性的な水分不足はコルチゾールのようなストレスホルモンの増加を引き起こし、筋肉の分解を促進することがあるため、結果的に筋肉量の減少や筋力低下を招く可能性があります。
筋肉量アップに貢献する
水分は、たんぱく質やアミノ酸などの栄養素を体内でスムーズに吸収・運搬するのをサポートし、筋肉の修復や成長を促すうえで欠かせない存在です。これらの栄養素は血液に溶けた状態で細胞へ届けられるため、水分が不足していると効率的に筋肉へ届けられなくなってしまいます。
さらに、水分が不足すると血流が滞りやすくなり、筋肉の細胞に十分な栄養が届きにくくなります。特に運動後は筋肉が栄養と水分を必要としているタイミングなので、速やかな水分補給が筋肉の回復とボリュームアップに効果的です。
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疲労物質を残さないようにする
筋トレをすると、筋肉内に乳酸などの疲労物質が蓄積されます。これらの疲労物質を体外に排出するためには、血流を良好に保ち、代謝をスムーズにすることが重要です。
そのカギとなるのが水分補給です。十分な水分があると血液の流れがよくなり、老廃物が体内に滞りにくくなります。
逆に、水分が不足していると疲労物質が残りやすく、回復が遅れるだけでなく、次のトレーニングにも悪影響を及ぼしかねません。効率よく筋肉を回復させるためにも、トレーニング中・後のこまめな水分補給を習慣にしましょう。
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筋トレ中の水の効果的な摂取方法

効果的な水分補給のポイントは「喉が渇いた」と感じる前に飲むことです。喉の渇きを感じた時点ですでに体内からは2%ほど水分が減少しており、軽度の脱水状態が始まっているとされています。この状態でのトレーニングは、筋肉への血流や神経伝達が鈍り、パフォーマンスの低下につながるリスクも。
ただし、一度に大量の水を飲むとお腹がいっぱいになって運動中の不快感につながる可能性もあるため、コップ1杯(200ml)程度を目安に少量ずつ摂取するのがおすすめです。
筋トレ前・筋トレ後に適した飲み物

筋トレの効果を高めるには、単に水分を摂るだけでなく、トレーニングのタイミングに合わせた飲み物を選ぶことも重要です。ここでは、筋トレ前後におすすめの飲み物をそれぞれ紹介します。
筋トレ前
筋トレ前には、水はもちろん、分岐鎖アミノ酸(BCAAやEAA)、コーヒーなどの摂取が効果的です。
分岐鎖アミノ酸(BCAA、EAA) | 筋肉の分解を抑える作用があり、筋肉の合成や成長をサポートします。特に筋持久力の向上にも効果が期待できます。 |
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コーヒー | カフェインには脂肪の代謝を高める働きがあり、脂肪燃焼を促進します。また、集中力を高める効果もあるため、パフォーマンス向上にもつながります。 |
ただし、コーヒーは摂取のタイミングによってメリットとデメリットが分かれる飲み物です。コーヒーに含まれるカフェインに利尿作用があるため、筋トレ中の水分補給としては不向きです。コーヒーを飲む場合は、開始30〜60分前までに飲み終えるのが理想的です。
筋肉を効率よく増やしたい方、脂肪燃焼を目的としたトレーニングを行う方は、それぞれの目的に合わせて適した飲み物を選びましょう。
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筋トレ後
筋トレ後にも水はもちろんおすすめですが、筋肉の回復と成長をサポートする飲み物を意識的に取り入れることで、トレーニング効果が高まります。
プロテイン | たんぱく質を効率的に摂取できるため、筋肉の修復と成長に役立ちます。 |
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牛乳 | たんぱく質に加えて、カルシウムやビタミンDなど筋肉の合成や骨の健康に関わる栄養素も含まれているため、総合的な栄養補給に適しています。 |
スポーツドリンク | 汗で失われがちなナトリウムやミネラルを補給でき、素早い水分補給と電解質のバランス維持に役立ちます。 |
筋肉の修復・成長を重視する場合はプロテインや牛乳を、水分やミネラルの補給を優先したいときは水やスポーツドリンクを選ぶとよいでしょう。

筋トレ中の水分補給で避けたい飲み物

効果的な筋トレを行うためには「何を飲むか」だけでなく「何を避けるべきか」を知っておくことも重要です。中には、一見よさそうに見えてもトレーニング中には適さない飲み物もあります。以下に、筋トレ中に避けたい飲み物とその理由をまとめました。
ジュース(清涼飲料水) | 糖分が多く含まれており、血糖値の急激な上昇と下降を引き起こします。これにより、エネルギー切れや集中力の低下を招き、トレーニングの質が下がるおそれがあります。 |
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コーヒー | カフェインによる利尿作用が強く、水分の排出が促進されるため、体内の水分が不足しやすくなります。その結果、脱水症状を引き起こすリスクが高まります。特に汗を多くかく環境では注意が必要です。 |
炭酸飲料 | 炭酸ガスによって胃が膨らみ、トレーニング中に不快感を覚えやすくなります。満腹感から動きが鈍くなることで、パフォーマンスの低下にもつながります。 |
筋トレ中は上記の飲み物を避け、糖分の少ないスポーツドリンクや水などで水分補給を行いましょう。
筋トレ中の水分補給に関する注意点

筋トレ中の水分補給は重要ですが、ただ単に水を飲めばよいというわけではありません。ここでは、効果的かつ安全な水分補給のために押さえておきたい注意点について解説します。
1日の摂取上限量を意識する
水分補給は大切ですが、過剰摂取にも注意が必要です。
健康な成人の場合、1日に摂取できる水分量の目安は体重1kgあたり約30〜40mlとされています。例えば、体重50kgの方なら1.5〜2リットル程度が適量です。これを大幅に超えると、血液中のナトリウム濃度が低下することによる「水中毒」を引き起こす恐れがあります。
電解質を含んだスポーツドリンクなどを活用して、塩分が不足しないように水分補給を行いましょう。
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適温の水を摂取する
筋トレ中の水分補給では、水の温度も重要です。あまりに冷たい水(5℃以下)は胃腸を急激に冷やしてしまうためおすすめできません。かといって、温かい水(60℃以上)だと吸収が遅くなってしまいます。
運動中に補給する水分の温度としては、5~15℃が吸収されやすく理想的といわれています。また、5~15℃くらいの水を摂取すると、運動によって上昇した体温をクールダウンする効果も期待できます。
筋トレと水に関するよくある質問
水抜きは筋肉に悪い?
結論からいうと、ボディビルの大会前など特殊な目的以外での水抜きは、筋肉にとってよくありません。
水分は、細胞に栄養を届ける役割を担っています。水抜きで水分が不足すると筋肉に栄養が行き届かなくなり、筋肉の合成に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、パフォーマンスが低下したり脱水により疲労感が生じたりと悪い影響ばかりなので、水抜きはやめましょう。
筋トレ中はどれくらい摂取するべき?
筋トレ中の理想的な水分摂取量は、個人の体重やトレーニング強度、温度、汗のかき方などさまざまな要素によって変わるため、一概に決めることができません。
しかし、一度に大量の水を飲むと、胃に負担がかかったり、運動中に不快感が生じたりする可能性があるため、少量ずつ分けて飲むのが基本です。一度に飲む量はコップ1杯(約200ml)までにしておきましょう。
無理に水分を詰め込むのではなく、喉の渇きを感じる前に少しずつ補給しておくことが、筋トレ中のパフォーマンス維持につながります。
筋トレ効果を高めるには、適切な水分補給が重要
筋トレの効果を最大化するためには、トレーニング内容や食事だけでなく「水分の摂り方」にも意識を向けることが大切です。筋肉の約70〜75%は水分で構成されており、適切な水分補給は筋力の維持、成長促進、疲労回復に深く関わっています。
水だけでなく、タイミングに応じてBCAA、プロテイン、スポーツドリンクなどを活用することで、より高いトレーニング効果が期待できます。「喉が渇く前に飲む」「飲む量や温度に気を配る」といった基本を押さえ、筋トレの成果をしっかり引き出しましょう。