猫のポーズ(キャットアンドカウ)の効果とやり方を分かりやすく解説!
監修者情報
杉山なつみ
監修
2015年12月にヨガの資格を取得後、都内を中心に企業向け健康セミナーの実施や、ヨガスタジオでの自主開催レッスンやスポーツ選手向けのパーソナルヨガレッスンを行う。
2019年1月にインドネシア・バリ島へ移住。現在はフリーランスのヨガインストラクターとして、現地のマーケティングや、バリ島からのオンラインレッスンを開催中。
■所有資格日本ヨガインストラクター協会2級
猫のポーズ(キャットアンドカウ)ってどんなポーズ?
ヨガをはじめたばかりの方でも、猫のポーズに触れたことのある方は多いのではないでしょうか?
四つん這いで行うこのポーズは、吐く息とともに背中を丸め、吸う息とともに背中を反らせます。背中の柔軟性が高められると同時に、呼吸と動作が一体となっているのが大きな特徴です。
さまざまなポーズの前のウォーミングアップや、ポーズ後の体を整える目的で行われることの多い、初心者から上級者にもおすすめのポーズです!
猫のポーズ(キャットアンドカウ)の正しいやり方
猫のポーズは、俗にいう「猫の背伸び」の姿勢を真似たヨガポーズです。猫を飼っている方はイメージが湧きやすいのではないでしょうか。猫のポーズは背骨や肩甲骨周りのストレッチ効果、腰回りの筋肉をほぐしてくれるほか、腹筋や背筋のインナーマッスル強化が期待できます。さらに内臓機能の向上による便秘解消や基礎代謝向上によるダイエット効果も見込めるでしょう。
実際にポーズをとってみましょう
難易度:易しい
- 四つん這いの状態になり、手首は肩の真下、両膝は足の付け根の真下におきます。
- 肘は外側を向くようにし、膝と膝の間はこぶし1つ分程度開きましょう。
- 鼻から大きく息を吸ってから、吐く息で背中を丸め、視線はお腹をとらえます。
- 息をゆっくり吸いながら背中を反らせていき、視線は正面を向きます。
- この流れをワンセットとして呼吸に合わせて5〜8回繰り返します。
猫のポーズ(キャットアンドカウ)のポイント
- 肩がすくんでしまうと有効な効果は得られません。耳と肩の距離を遠ざけるようにしましょう。
- 膝から爪先がマットと平行になるようにしましょう。
- 手のひらは床にしっかりとつけて動かないようにしましょう。
- 背中を丸めるときは自分のおへそを見るようなイメージを持ちましょう。
- 背中を反らせるときは正面を見るようなイメージを持ちましょう。
- ゆっくりと呼吸すること、伸びている箇所をしっかり意識することを心がけましょう。
- 首に痛みがある場合は頭を動かさないようにしましょう。
- 慢性的な腰痛や首の痛みがある方は、悪化する場合もあるので控えましょう。
猫のポーズ(キャットアンドカウ)の奥深い効果
猫のポーズは初心者でも簡単に行うことができ、決して難しいポーズではないのですが、たくさんの効果があります。
- 自律神経が整えられ、リラックス効果やストレス解消効果
- 背中から首にかけての筋肉をほぐし、首こりや肩こりの軽減
- 背中や腰の筋肉をほぐし、腰痛の軽減
- 背中の柔軟性のアップ
- 体幹の筋力のアップ
- 内臓の働きを活発化
簡単なヨガポーズだからこそ、丁寧な動作を心掛けて、よりポーズの効果を高めてみましょう!
猫のポーズ(キャットアンドカウ)の効果を高めるコツ
こんな猫のポーズは効果半減、直すべきポイント
猫のポーズで手のひらを床に置くと手首が痛くなる方はいらっしゃいませんか?その場合、肘が伸びきってしまって腕の筋力を使えず、体の重さの多くが手首にかかってしまっていることが原因です。
改善のためのポイントは2つあります。
1つ目は、手のひらの使い方です。指を軽く開き5本指の全てで床を押します。
2つ目は、肘の使い方です。肘を完全に伸ばしきってしまうのではなく、おおよそ80%くらいの肘の伸びで行うのがベストです。肘が不安定でグラグラする感じがあるでしょうか?まさにその状態が、腕の筋力で腕の骨を支えバランスをとっている状態といえます。
正しい姿勢をとれるように繰り返し意識することで、筋肉を正しく使えるようになってきます。また、腕の筋肉が正しく使えるようになることで、肩甲骨まわりの筋肉も連動してより柔軟に動かせるようになっていきます。
主役は背骨!背骨を意識することで猫のポーズがさらに効果的に!
猫のポーズをするときに、首の動きや腕の力で背中を動かしていませんか?
猫のポーズで最も丁寧に動かすべき場所は、背骨とその周辺の筋肉です。背骨をしなやかなロープのように動かすことで、背中や胸、お腹の筋肉がしなやかに伸びていきます。
また内臓の働きをつかさどる自律神経の通り道は、背骨に沿っています。そのため、背骨まわりの筋肉が凝り固まると、自律神経の不調をもたらします。
さらに、呼吸と背骨の動きを連動させることも大切です。息を吸って背中を反る動きのときは胸やお腹に空気が入り、息を吐いて背中を丸めるときは胸が萎んでお腹の空気を吐き切る腹筋の動きを感じながら行いましょう!背中や胸まわりの呼吸筋がほぐされて、よりスムーズに猫のポーズを行うことができますよ。
猫のポーズ(キャットアンドカウ)の効果をさらに高めるバリエーション5選
猫のポーズ+膝抱え
猫のポーズで背中を丸めた状態を、腹筋と体幹の筋力でさらに強化するポーズです。腰まわりがしっかりと伸ばされるため、腰痛の改善も期待できるバリエーションポーズです。
■実際にポーズをとってみましょう
難易度:普通
- まずは基本の猫のポーズからはじめます。 四つん這いの状態になり、手首は肩の真下に、膝は股関節の真下へ来るように置きます。
- 耳と肩の間の距離を離し、肘は伸ばしすぎず軽く緩めて準備をします。
- 吐く息で顎を引きながら背中を丸めます。
- 吸う息で視線を軽く上げ、胸を反らせます。
- 数呼吸繰り返します。
- 膝を抱える準備をします。吐く息で背中を丸めた状態のまま、右膝を床から持ち上げてさらにお腹の方へ引き上げます。
- 左腕で折り曲げた右脚を抱え込みます。
- 数呼吸キープをした後、左脚でも同じように繰り返します。
■猫のポーズ+膝抱えのポイント
膝を持ち上げるときは視線を膝に向け、肩まわりの力よりも腹筋を使いましょう。腰まわりの筋肉がより深く伸ばされます!
ぐらぐらと体が揺れてしまう方もいますが、バランスを取ることで体幹の筋力の向上も期待できます。
猫の伸びのポーズ
猫のポーズでの反る動作をさらに深めるためのバリエーションポーズです。胸やお腹の伸びを感じながら、背中をしっかり反らせてみましょう!
■実際にポーズをとってみましょう
難易度:易しい
- 四つん這いの状態になり、膝は股関節の真下に置きます。
- お尻の位置を動かさずに胸を床へ近づけ、おでこを床につけます。両手は前方に伸ばします。
- 胸やお腹の伸びを感じながら、数呼吸繰り返します。
■猫の伸びのポーズのポイント
おでこが床に届かなくてもかまいません。胸の反りが気持ち良いところで、胸式呼吸(胸を膨らませる呼吸)を繰り返しましょう。
波打つように背中を動かす猫のポーズ
基本的には猫のポーズを行いますが、背骨を一気に動かすのではなく、波打つようにしなやかに背中を動かします。
猫のポーズは特に首を動かすことで背中が動いていると勘違いしやすいです。この動きでは、骨盤(腰部)から動きはじめて首と頭を最後に動かすパターンを紹介します。
■実際にポーズをとってみましょう
難易度:難しい
- 四つん這いの状態になり、手首は肩の真下に、膝は股関節の真下に置きます。
- 吐く息とともに背中を丸めますが、骨盤・背骨の最下部(仙骨)から丸めはじめ、続いて腰、みぞおちの裏側、肩甲骨の間、首と、背中上部や肩のあたりまで徐々に背中が波打つように丸めていきます。
- 吸う息とともに胸を反らせますが、骨盤・背骨の最下部から反らしはじめます。次いで腰、みぞおちの裏側、肩甲骨の間、首と、背中上部や肩のあたりまで徐々に背中が波打つように反らせていきます。
- 数呼吸波打つ動きでの猫のポーズを繰り返します。
■波打つように背中を動かす猫のポーズのポイント
はじめは思った通りに動かすことが難しいですが、綺麗に動かすこと以上に、自分の体の使い方の癖を見直して、動きが不十分な部分を丁寧に動かすことが目的です。少し複雑な動きですが、慣れてくると無駄な力みが抜けスムーズに動かすことができるようになります。ぜひ呼吸と連動させてじっくり取り組んでみてください。
猫のねじりのポーズ
難易度:易しい
猫のねじりのポーズはひねりをくわえることで肩こりの大きな要因となるインナーマッスルのストレッチ効果があります。また胸を大きく開くことで深い呼吸が得られるようになり、胸が軽くなるでしょう。
実際にポーズをとってみましょう
- 四つん這いになり、手首が肩の真下にあることを確認してから、両手を手のひら一つ分正面方向にスライドさせます。
- 右手を左脇の下を通って、左側にスライドさせ、上半身をひねっていきます。
- 頭、右肩、右腕を床につけてさらに上半身にひねりを加えていきます。
- ゆっくりと深呼吸を5回ほど繰り返して反対側も同じように行います。
猫のねじりのポーズのポイント
- お尻が下がらないように高い位置をキープするようにしましょう。
- 体勢が安定しない方は無理に手を上げなくても十分に効果があります。
- 呼吸は止めずに常にゆっくりとした呼吸をしましょう。
- 息を吸いながら手を伸ばし、ゆっくりと吐きながら肩をさらに深く床に沈めるような意識を持ちましょう。
- 地面につけている腕の肩の付け根、肩甲骨の内側が伸びている感覚を感じながら行いましょう。
猫のバランスポーズ
難易度:普通
猫のバランスポーズは別記事でご紹介したプランクの派生系のような形です。背筋、体幹の強化が期待できるほか、お尻の引き締め効果もあります。長めに姿勢をキープすることで有酸素運動にもなるでしょう。またバランス感覚が鍛えられるうえ、集中力が養われ自律神経を整える効果もあります。
関連記事:プランクの解説はこちら
実際にポーズをとってみましょう
- 腕は肩幅、足は腰の幅に開いて四つん這いになります。
- 左足を後方にまっすぐ伸ばして、かかとがお尻の高さになるまで持ち上げます。
- 腹筋を意識して右腕をまっすぐ正面に伸ばします。
- 右手の指先から左足のつま先までが一直線になるように伸ばしてキープします。
- この体勢で深呼吸を5回ほどして反対側も同様に行います。
猫のバランスポーズのポイント
- つま先や指先はまっすぐに伸ばすようにしましょう。
- 体のラインを一直線に保ち、ブレないようにバランスを取りましょう。
- 顔を少し上げて斜め前を見るようにしましょう。
- 主に腹筋に力が入っていることを意識し、肩などには余計な力が入らないように気をつけましょう。
奥深い猫のポーズを極めよう!
今回は改めて猫のポーズを見直し、基本のポーズをより効果的にするアレンジをご紹介しました。簡単なポーズだからこそ、いま一度体の使い方の癖を見直すきっかけとして、日々のレッスンに取り入れてみましょう。また、繰り返し行うことでその時の体の状態の差がつかみやすいポーズでもあります。寝起きの状態、また就寝前の疲れた体の状態でも時を選ばず行える優秀なポーズです。ぜひ日々の生活に取り入れてみてください!