有酸素運動とは?8つの効果とおすすめメニューをご紹介
監修者情報
柴田 直樹
トルチャインストラクター
株式会社ティップネス勤務。
入社後、店舗マネージャーとしてジムの運営やトレーナー育成に携わりながら、自身もパーソナルトレーナー、スタジオインストラクター、企業フィットネス講師として活動。
現在はオンラインフィットネス「トルチャ」の事業運営に従事。
◼︎資格
・NESTA認定-PFT
・NESTA認定-クラブマネジメントスペシャリスト
・NESTA認定-メンタルフィットネストレーナー
・中学・高等学校教諭一種免許状(保健体育)
・食コンディショニングトレーナー
・栄養コンシェルジュ®︎1ッ星
・一般社団法人 日本美腸協会 美腸プランナー®︎
有酸素運動とは?
有酸素運動とは、ランニングやウォーキング、水泳、サイクリングなど、少〜中程度の負荷をかけて長時間行う運動のことです。有酸素運動は、筋肉を動かすときに酸素を使い、筋肉を動かすためのエネルギーとして「脂肪」を燃焼します。そのため、体脂肪減少による生活習慣病の予防や改善、ダイエット効果などが期待できます。
一方で、無酸素運動とは、筋肉を動かすためのエネルギーとなる「糖」を、酸素を使わずに燃焼する運動のことです。大きな負荷を瞬発的に筋肉にかけるような、負荷の高い筋肉トレーニングや短距離走などが挙げられます。
有酸素運動の主な種類
有酸素運動にはさまざまな種類があり、どのトレーニングを選ぶのかによって消費カロリーやメッツ(安静時の何倍の運動強度かを表す数値)が異なります。有酸素運動の例とそれぞれの運動強度や消費カロリーを見ていきましょう。
種目 | 消費カロリー | メッツ(運動強度) |
ランニング | 約250kcal(30分あたり) | 8.3 |
ウォーキング | 約180kcal(1時間あたり) | 6.0 |
サイクリング | 約350kcal(1時間あたり) | 8.0 |
水泳(速めのクロール) | 約300kcal(1時間あたり) | 10.0 |
水中ウォーキング | 約235kcal(1時間あたり) | 4.5 |
縄跳び | 約320kcal(30分あたり) | 2.5 |
ストレッチ | 約70kcal(30分あたり) | 2.3 |
ヨガ | 約150〜250kcal(1時間あたり) | 2.5 |
ダンス | 約200〜300kcal(1時間あたり) | 3.0 |
ボクササイズ | 約400kcal(1時間あたり) | 8.0 |
ラジオ体操 | 約115kcal(30分あたり) | 4.0 |
参照|厚生労働省
※上記は目安です。体重や環境などによって変化します。
上の表を見ると、水泳やボクササイズ、ランニング、サイクリングの消費カロリーが高いことがわかります。自分の運動レベルにあわせて、種目を選んでみてください。
有酸素運動に期待できる8つの効果
有酸素運動を日常生活に取り入れると、健康的な体づくりのために嬉しい8つの効果が期待できます。
- 脂肪燃焼効果
- 心肺機能の強化
- 基礎代謝向上
- 高血圧症の抑制・改善
- 脂質異常症の抑制・改善
- 骨粗しょう症の抑制・改善
- 高血糖の抑制・改善
- 持久力のアップ
それぞれの効果の詳細と、その効果を得るのに最適な有酸素運動を紹介します。
脂肪燃焼効果
有酸素運動を一定の時間継続すると、エネルギー源として脂肪を燃焼・消費します。体脂肪だけでなく、内臓脂肪も燃焼するため健康面での効果が非常に高いとされています。1回の有酸素運動につき20分以上行うとより効果が出ますが、どうしても時間が取れない場合は「5分の有酸素運動×4回」といったように複数回に分けてもかまいません。
この効果が高い有酸素運動は以下の通りです。
- ランニング
- サイクリング
- ダンス
- 縄跳び
- ボクササイズ
特にボクササイズは運動強度が高いので、脂肪を燃焼したい方におすすめの有酸素運動です。
心肺機能の強化
有酸素運動を継続すると肺に取り込める酸素摂取量が増加し、より多くの酸素を取り込めるようになります。多くの酸素を取り込むことで心肺に適度な負荷をかけられるため、心肺機能の強化につながります。
特に、心肺機能を強化できる有酸素運動は以下の通りです。
- 縄跳び
- ランニング
- 水泳
- 水中ウォーキング
どの種目も長時間続けるためには、呼吸が肝心です。身体活動量の増加にもつながるので、積極的に取り入れてみましょう。
基礎代謝向上
人間が生きていくうえで最低限必要とするエネルギー消費を「基礎代謝」といいます。基礎代謝量が大きいほど、同じ生活や運動をしていてもエネルギー消費量が高くなります。
基礎代謝量は加齢とともに減少していくのが一般的ですが、有酸素運動を続けていると年齢を重ねても維持させたり、向上させたりできます。
基礎代謝向上に効果的な有酸素運動は以下の通りです。
- ランニング
- ウォーキング
- サイクリング
- 水泳
- 水中ウォーキング
- ボクササイズ
基礎代謝が向上すると、同じ動きをしても消費されるカロリーが多くなります。その結果、太りにくくなる効果も期待できるでしょう。
高血圧症の抑制・改善
前述したように、有酸素運動によって基礎代謝が上がると、エネルギー消費量がアップして脂肪を燃焼しやすくなります。食べたものが脂肪として蓄積されづらくなり、適正体重のキープにつながります。体型を維持できるのはもちろん、運動不足や肥満などが原因となって起きる「高血圧症」の予防効果も期待できるでしょう。
また、有酸素運動を習慣化すると、血管の深層部の「血管内皮機能」が向上します。これにより、高血圧によって血管が硬くなることで引き起こされる「動脈硬化」の予防にも貢献するとも言われています。高血圧を指摘された方や不安がある方は、負担にならない範囲で有酸素運動を取り入れてみましょう。
高血圧症の抑制や改善効果が高い有酸素運動は以下の通りです。
- ダンス
- 縄跳び
- ヨガ
- ストレッチ
- ラジオ体操
リズムに合わせて体を動かすダンスから、体力などによって強度を調整できるラジオ体操まで、さまざまな種目があります。無理のない範囲からトライしてみましょう。
脂質異常症の抑制・改善
食の欧米化や不規則な生活などによって、現代の日本人は中性脂肪やコレステロール値が上昇しやすい傾向にあります。実際に、これらの数値の上昇によって起こる「脂質異常症」は1990年代後半と現在で2倍以上になっているのです。脂肪を燃焼させる有酸素運動は、脂質異常症の予防や改善にも効果的。脂質異常症慢性化によって引き起こされる病気の予防にもつながります。
脂肪異常症の抑制や改善効果が高い有酸素運動は以下の通りです。
- ランニング
- ウォーキング
- サイクリング
- 縄跳び
少しきついと感じる程度の強度で運動するのが、脂肪異常症の抑制や改善には効果的です。運動習慣のない方は徐々に運動強度を高めることを目標に取り組んでみましょう。
骨粗しょう症の抑制・改善
骨の強さは歩行や運動に関係するため、「健康寿命(日常生活が制限されず自分らしく健康に過ごせる期間)」にも大きく関係すると言われています。骨がもろくなると骨折しやすくなり、ちょっとした動作も億劫に。ますます運動を控えるようになり、どんどん足腰が悪くなるという悪循環に陥る可能性があります。骨の代謝や血行を良くして骨密度を高めるためにも、有酸素運動で骨に刺激を与えていきましょう。骨粗しょう症の抑制や改善だけでなく、関節の動きもスムーズにしてくれます。
骨粗しょう症の抑制や改善効果が高い有酸素運動は以下の通りです。
- ランニング
- ウォーキング
- 水泳
- 水中ウォーキング
- ラジオ体操
骨粗しょう症の抑制や改善には、骨に負荷がかかる運動が最適とされています。無理なく続けられる種目を選んでみましょう。
高血糖の抑制・改善
血糖の急上昇や過度なカロリー摂取、運動不足などによって血糖が高い状態が続くと、動脈硬化や糖尿病になりやすくなります。血糖を下げるためにも、運動時のエネルギー消費に糖を用いる有酸素運動を習慣化して、ブドウ糖の吸収を穏やかにしましょう。
高血糖の抑制や改善効果が高い有酸素運動は以下の通りです。
- ウォーキング
- ダンス
- ヨガ
- ストレッチ
- ラジオ体操
高血糖の抑制や改善には、食後の有酸素運動がおすすめです。きついと感じない程度で続けられる有酸素運動を習慣化してみましょう。
持久力のアップ
年齢を重ねて、若い頃の自分と比べて体力が落ちたと感じている方も多いでしょう。これは運動不足や加齢などによって持久力が落ちると、疲れやすい体になってしまうためです。持久力を向上させるには、有酸素運動のような継続しやすい運動を取り入れるのが最適!続けるうちに全身持久率を計る基準となる「最大酸素摂取量」も増え、内臓の機能も高まります。
持久力のアップに効果が高い有酸素運動は以下の通りです。
- ランニング
- ウォーキング
- ダンス
- 縄跳び
- ボクササイズ
- サイクリング
持久力のアップには、中程度の強度で長時間続けられる有酸素運動が最適です。体力と相談しながらそこまできつくないと感じる種目から初めてみましょう。
有酸素運動にデメリットはある?
継続しやすく、さまざまな病気の抑制や改善にも効果のある有酸素運動。基本的にはメリットの多い運動メニューですが、取り組むときには以下のデメリットについても知っておきましょう。
- 無酸素運動より筋肉がつきづらい
- 1日に20分以上取り組まなければ効果が薄れてしまう
有酸素運動に限ったことではありませんが、やりすぎには要注意!過度に行うことで、体に疲れが溜まり、疲労感やケガの原因になります。また、有酸素運動を長時間やりすぎてしまうと、脂肪だけでなく筋肉を減少させる原因にもなります。有酸素運動をするときは、トレーニングメニュー選びだけでなく、時間のコントロールも重要です。1日20分以上長くても1時間を目安にしましょう。
有酸素運動が必要な人は?
これまでお話したとおり、有酸素運動は脂肪をエネルギーとして燃焼させる運動メニューです。脂肪を燃やしてダイエットしたい方、高血糖や高血圧、脂質異常症などの病気を抑制・改善させたい方、無理なく運動習慣をつけたい方にはぴったりだと言えるでしょう。その反面、体にかかる負荷自体はさほど強くないため、筋肉を増強させたい方やハードなトレーニングを望んでいる方には「無酸素運動」のほうがおすすめです。
脂肪を燃焼させながら適度に筋肉をつけたい場合は、「無酸素運動+有酸素運動」を組み合わせるのがベスト!無酸素運動で成長ホルモンを分泌させたあとに有酸素運動を続けると、脂肪の燃焼がより促進されます。有酸素運動前におすすめの無酸素運動メニューについては、以下の記事でチェックしてみてください。
関連記事:無酸素運動+有酸素運動で効果絶大!おすすめの無酸素運動4選
有酸素運動を行う際に注意すること
有酸素運動の効果を高めるために、取り組む際は次の2つのポイントに注意しましょう。
- 適切な負荷をかける
- 自分に合った有酸素運動を選ぶ
それぞれのポイントを詳しく解説します。
適切な負荷をかける
だれでも簡単にはじめられる有酸素運動ですが、ケガを防ぐためにも自分のペースや運動レベルに合った負荷のメニューを選ぶ必要があります。負荷がかからない運動では効果が出ませんし、反対に負荷の強すぎる運動は継続が難しくなります。同じトレーニングであっても、体のコンディションに合わせて負荷やトレーニングの時間を調整しましょう。
自分に合った有酸素運動を選ぶ
有酸素運動は、継続することで効果が出るトレーニングです。無酸素運動のように短い時間で強い負荷がかかるトレーニングではないため、結果を出すためには毎日コツコツ続ける必要があります。「つらくて続けられない…」と感じるようなきついメニューからスタートするのではなく、楽しみながら取り組めるメニューからはじめてみてください。有酸素運動にはじめてトライする方は、以下の記事でご紹介するメニューを参考にしてくださいね!
関連記事:初心者から上級者まで!レベル別のおすすめ有酸素運動5選
【初心者OK】おすすめの有酸素運動4選
有酸素運動のメニューにはさまざまな種類がありますが、初心者がトライするなら次の4つがおすすめです。
- ウォーキング
- ダンス
- ボクササイズ
- 水泳、水中ウォーキング
それぞれの運動のメリットやポイントを解説します。
ウォーキング
日常生活の延長として手軽にはじめられる「ウォーキング」は、はじめての有酸素運動にぴったり。リフレッシュ効果が高く、早朝や夜など自分の好きなタイミングで行えるのも大きな魅力です。脂肪燃焼効果はもちろん、ウォーキングを継続すると最大酸素摂取量が増えるため、心肺機能向上や持久力アップも期待できます。体力の低下や慢性的な疲れにお悩みの方は、以下の記事を参考にぜひウォーキングをはじめてみてください。
関連記事:脂肪燃焼効果絶大!健康やダイエットにおすすめ「ウォーキング」の基本
ダンス
音楽にあわせて踊る「ダンス」であれば、運動に苦手意識をお持ちの方でも楽しんでトライできます。一見簡単に思えますが、実は腕やお腹、背中、脚など、複数の筋肉をバランスよく使える全身運動です。緩急をつけながらジャンプをしたり、しゃがんだりすることで普段使っていない筋肉を刺激できます。趣味感覚で取り組めるため、モチベーションも維持しやすいでしょう。有酸素運動にはじめて取り組む方、骨を強化して足腰にパワーをつけたい方にはとくにおすすめの運動です。
「どう踊ればいいかわからない」という方は、以下の記事でご紹介されているダンスにチャレンジしてみてくださいね。最初は、インストラクターが踊る映像を見ながら真似をするだけでもOKです。
関連記事:【動画付き】おうちで簡単ダンス!脂肪燃焼&ストレス発散になるダンスエクササイズ3選
ボクササイズ
有酸素運動と無酸素運動のメリットをどちらも得られる「ボクササイズ」。ボクササイズの動きを基本にした全身エクササイズで、ダイエットや脂肪燃焼、筋肉量アップなどさまざまな効果が期待できます。上半身だけでなく脚やお尻まわりも積極的に動かすため、全身をバランスよく鍛えることが可能。筋肉のついた引き締まったボディを目指している方、筋肉をつけて体力をつけたい方はぜひ以下の記事でポイントをチェックしながらトライしてみてください。
関連記事:基本から学ぶ!ボクササイズのやり方とおすすめメニュー
スイミング
地上でのトレーニングよりも負荷がかかる水泳や水中ウォーキングは、短期間で脂肪を燃焼させたい方におすすめの運動です。360度全方向から力がかかるため、全身の筋肉を刺激できます。浮力によって関節への負担が軽減されるのも大きな魅力。地上と比較すると10分の1程度しか負荷がかからないため、「膝や腰が痛くて運動できない」「長時間の運動はしんどい」という方にも適しています。
体の動かし方によってエネルギー消費量が異なるため、まずは水中ウォーキングやゆっくりとした平泳など、比較的簡単なメニューからトライしてみてくださいね。水泳の効果を高めるためのポイントは、以下の記事で解説されています。ぜひあわせてご覧ください。
関連記事:水泳ダイエットの最適な頻度&時間は?効果的な取り入れ方
自分に合った有酸素運動で効果を最大限に獲得しよう
有酸素運動を正しく取り入れると、無理なく健康的な体に近づけます。今回紹介した4つのメニュー以外にも、有酸素運動にはさまざまなメニューがあります。複数回に分けてもいいので、まずは1日20分からトライ!興味を持ったものから挑戦し、無理のないペースで続けてみてくださいね。下記の記事では、ダイエット効果を高めながら有酸素運動をしたい方向けに、おすすめの有酸素運動をご紹介しているので、参考にしてみてください。