筋膜リリースはダイエットに効果的!痩せる理由と部位別のやり方を紹介
監修者情報
柴田 直樹
トルチャインストラクター
株式会社ティップネス勤務。
入社後、店舗マネージャーとしてジムの運営やトレーナー育成に携わりながら、自身もパーソナルトレーナー、スタジオインストラクター、企業フィットネス講師として活動。
現在はオンラインフィットネス「トルチャ」の事業運営に従事。
◼︎資格
・NESTA認定-PFT
・NESTA認定-クラブマネジメントスペシャリスト
・NESTA認定-メンタルフィットネストレーナー
・中学・高等学校教諭一種免許状(保健体育)
・食コンディショニングトレーナー
・栄養コンシェルジュ®︎1ッ星
・一般社団法人 日本美腸協会 美腸プランナー®︎
【結論】筋膜リリースはダイエットに効果的!
筋膜とは、筋肉を包んでいる薄い膜のことです。筋膜が縮んだりよじれてしまうと、コリや痛みの原因となるほか、運動パフォーマンスや日常生活における活動の低下を招いてしまいます。よじれてしまった筋膜を解きほぐし、元の状態に戻すのが筋膜リリースです。
筋膜リリースによって直接脂肪が燃焼されるわけではありませんが、筋膜リリースを行うと血流促進・筋肉のコリや痛みの防止・トレーニングの質向上につながり、ダイエット効果が見込めます。筋膜リリースがダイエットに効果的な理由を3つ詳しく解説します。
【理由1】血液の流れが良くなる
筋膜は85%が水分といわれており、本来は柔軟な組織です。しかし、同じ体勢を取り続けたり水分を取らなかったりすると筋膜の柔軟性が損なわれ、硬くなる可能性も。硬くなった筋膜は、その筋膜を通っている血管やリンパ管を圧迫する場合があります。
筋膜リリースによって筋膜の柔軟性を取り戻すことで、圧迫されていた血管やリンパ管が元に戻り、老廃物が流れやすくなります。その結果、代謝が良くなって痩せやすくなる可能性があるのです。
【理由2】筋肉のコリや痛みの防止につながる
筋膜が硬くなると、筋肉が硬くなって動きが悪くなり、コリや痛みの原因となります。
痛みがある状態で筋トレを行うと、代償動作が発生します。代償動作とは、痛みを感じるなどしてある動作が困難なとき、痛い部分をかばうために生じる動作のことをいいます。筋トレ時に代償動作が発生すると、狙った筋肉を鍛えられず十分な効果が得られません。
筋膜リリースは筋肉のコリや痛みの防止につながるため、代償動作による筋トレ効果の低減を防ぎ、ダイエット効果を高めるといえるでしょう。
【理由3】トレーニングの質が向上する
筋膜が硬くなり筋肉がこっていると、痩せるために筋トレをしても正しいフォームで動けなかったり、小さな動きしかできなかったりする場合があります。これでは筋トレの効果が十分に得られません。
筋膜リリースによって筋膜がほぐれると、筋肉や関節の可動域が広がります。可動域が広がるほど筋肉のコントロールがしやすくなり正しいフォームかつ大きな動きで筋トレができるため、筋トレの質向上が見込めるでしょう。
【部位別】ダイエットに効果的な筋膜リリース5選
ここからは、痩せたいと思ったとき気になる部位別に、ダイエットに効果的な筋膜リリースを5つ紹介します。なお、本記事で紹介する筋膜リリースには「フォームローラー」と呼ばれる筒状のボディケアグッズが必要です。
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お腹の筋膜リリース
お腹の筋膜が硬くなると、お腹の筋肉が縮まって背中が丸まり、猫背や内臓圧迫の原因となります。また、お腹の血流悪化によるたるみで、お腹がぽっこりしてしまう可能性も。
猫背やぽっこりお腹が気になる方は、筋トレだけでなく筋膜リリースも行うことで、効率的に姿勢を改善しお腹まわりをすっきりさせられるでしょう。
お腹の筋膜リリースのやり方
お腹の筋膜リリースのやり方は以下の通りです。
- 床にフォームローラーを置き、その上に腹ばいになります。
- フォームローラーがお腹に当たるよう、位置を調整します。
- 肘を立てて両手を顔の前に置き、体を持ち上げて肘とつま先で体重を支えます。
- 体を前後に動かしてフォームローラーをコロコロ転がし、お腹の筋膜をほぐします。フォームローラーがしっかりお腹に当たるよう、体の持ち上げ具合を調整しましょう。この動作を1分程度行います。
お腹の筋膜リリースのポイント
お腹の筋膜リリースを正しく行うポイントは以下の通りです。
- お腹が圧迫されすぎないよう、肘とつま先でしっかり体を支えましょう。
- フォームローラーを転がすときは腹筋に力を入れ、フォームローラーを押し返すイメージで行いましょう。
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太ももの筋膜リリース
歩き方の癖などが原因で前ももの筋肉に負荷がかかりすぎると、筋肉がつきすぎたり老廃物がたまったりして前ももが張ってしまいがちです。そこでここでは、太ももの前側をほぐすのに効果的な筋膜リリースを紹介します。
硬くなった前ももの筋膜をほぐすことで、血流が良くなりむくみが解消し、すっきりした太ももを目指せます。
太ももの筋膜リリースのやり方
太ももの筋膜リリースのやり方は以下の通りです。
- 床にフォームローラーを置き、その上にうつ伏せになります。
- 脚のつけ根あたりにフォームローラーがくるよう、位置を調整します。
- 両肘を立てて上半身の体重を支えながら、下半身の体重はフォームローラーに預けます。この状態を10~15秒ほどキープします。
- つま先を立てて体重を支えながら体を前後に動かし、前ももの筋膜をほぐします。この動作を20~30秒ほど続けます。
太ももの筋膜リリースのポイント
太ももの筋膜リリースを正しく行うポイントは以下の通りです。
- 体を前後に動かすとき、体を内側にひねったり外側にひねったりすると、より広範囲の筋肉をほぐせます。
- 呼吸を止めないよう、自然な呼吸を意識しましょう。
ふくらはぎの筋膜リリース
「脚痩せしたい!」と願う女性は多いはず。脚が太くなる原因は、脂肪だけでなくむくみにもあります。デスクワークなどでずっと座りっぱなしだったり冷えたりすると、ふくらはぎがむくんで脚が太く見えてしまうのです。
ふくらはぎの筋膜リリースを行うと血流やリンパの流れがよくなります。その結果、老廃物が流れてほっそりした美脚に近づけます。
ふくらはぎの筋膜リリースのやり方
ふくらはぎの筋膜リリースのやり方は以下の通りです。
- 体に対して直角にフォームローラーを置きます。
- 両脚を伸ばして座り、右ひざのつけ根をフォームローラーに乗せます。
- 左脚を右脚にクロスさせ、両手を体の後ろについて体重を支えます。
- 右脚を左右に動かしてひざのつけ根の裏側をほぐします。この動作を30秒ほど続けます。
- お尻を持ち上げ、フォームローラーに体重をかけながら体を前後させます。この動作を20秒ほど続けます。
- 左脚も同様に行います。
ふくらはぎの筋膜リリースのポイント
ふくらはぎの筋膜リリースを正しく行うポイントは以下の通りです。
- お尻を持ち上げた状態で体を支えることが難しい場合、ほぐしている脚とは反対側の脚をひざを立てるようにして床へつき、体重を支えましょう。
- 一度にふくらはぎ全体をほぐすことが難しい場合は、フォームローラーの位置を調整しながら上側と下側で2回に分けて行いましょう。
背中の筋膜リリース
長時間デスクワークをしていると、背中が痛くなることがありますよね。それは筋膜が硬くなっているサインです。背中の筋膜が硬くなると、痛みや姿勢の悪化、背中のたるみにつながります。
背中の筋膜リリースを行うと、コリをほぐして痛みを軽減できるほか、姿勢改善も見込めます。また、背中のたるみも解消され、すっきりしたうつくしい立ち姿が手に入るでしょう。
背中の筋膜リリースのやり方
背中の筋膜リリースのやり方は以下の通りです。
- 体に対して直角にフォームローラーを置きます。
- フォームローラーが肩甲骨のあたりにくるように背中を乗せます。
- 両ひざを立て、手を頭の後ろか胸の前で組みます。
- 両ひざを立てて足で体を支えながら、体を前後に動かして背中の筋膜をほぐします。肩こりが気になる方は肩甲骨の内側部分、猫背が気になる方は背中の真ん中部分、腰痛が気になる方は背中と腰の間を重点的に刺激すると効果的です。この動作を30秒ほど続けます。
背中の筋膜リリースのポイント
背中の筋膜リリースを正しく行うポイントは以下の通りです。
- 力んでいると筋膜がほぐれにくいので、なるべく力を抜きましょう。
- 体を前後に動かすときは、背筋をまっすぐ伸ばしましょう。
関連記事:背中の筋膜リリースのやり方や効果をまとめた記事はこちら
二の腕の筋膜リリース
二の腕の筋膜が硬くなると血流やリンパの流れが悪くなり、老廃物がたまって二の腕が太くなってしまいます。
また、二の腕の筋肉は肩甲骨や肩の骨につながっているため、二の腕の筋膜が硬くなると肩こりの原因となる場合もあります。
二の腕の筋膜をほぐすと、二の腕痩せしやすくなるだけでなく、肩こりの解消も見込めるでしょう。
二の腕の筋膜リリースのやり方
二の腕の筋膜リリースのやり方は以下の通りです。
- ひざを軽く曲げて横向きに寝ます。
- フォームローラーを腕のつけ根の下に入れます。
- 体を前後に細かく動かして、腕のつけ根(脇の下あたり)の筋膜をほぐします。この動作を20~30秒ほど続けます。
- 体を前後に動かして、二の腕全体をほぐします。このとき、二の腕を回して内側から外側までまんべんなくフォームローラーに当てると、腕全体がほぐれます。この動作を20~30秒ほど続けます。
- 反対側の腕も同様に行います。
二の腕の筋膜リリースのポイント
二の腕の筋膜リリースを正しく行うポイントは以下の通りです。
- フォームローラーに乗せていない方の手で体を支えると動きやすくなります。
- 呼吸を止めないよう、自然な呼吸を意識しましょう。
以下の記事では、フォームローラーの使い方をより詳しく解説しています。フォームローラーを使うメリットや選び方も解説しているので、気になる方はチェックしてみてください。
筋膜リリースを行うときの注意点やコツ
ダイエットに効果的な筋膜リリースですが、やり方を間違えると筋肉を損傷したりうまくほぐれなかったりする可能性もあります。そのような事態を防ぐため、ここでは筋膜リリースを行うときの注意点やコツを解説します。
最初は軽めの負荷から始める
筋膜リリースを始めて間もないころは、特に筋膜が硬くなっている可能性が高いです。その状態で高い負荷をかけると、筋肉の損傷につながりかねません。
筋肉は損傷しても元に戻りますが、修復後の筋肉は硬くなってしまうため、せっかく筋膜リリースをしても逆効果になってしまいます。
それを防ぐため、最初は軽めの負荷から始めましょう。
関連記事:筋膜リリースに使えるおすすめのグッズについて詳しく解説した記事はこちら
痛気持ちいい程度に留める
筋膜が硬くなっている場合は特に、筋膜リリースを行うときに痛みを感じることがあります。痛気持ちいい程度なら問題ありませんが、我慢できないほど痛い場合は筋肉が収縮してしまい、なかなかほぐれません。
この状態で続けても筋膜リリースにならないため、負荷をかけるときは痛気持ちいい程度に留めましょう。
筋膜リリースに関するQ&A
ここでは、「筋膜リリースはどれくらいの期間で効果を実感できる?」「毎日やったら痩せる?」といった、筋膜リリースに関するよくある質問にお答えします。正しい知識を押さえたうえで、効果的にトレーニングを継続しましょう。
筋膜リリースはどれくらいの期間で効果を実感できますか?
「どれくらい筋膜が硬くなっているか」「普段の運動習慣や食生活はどうか」など、痩せるための要因には個人差があるため、筋膜リリースで効果を実感できる期間は人によります。
ただ、一般にダイエットは2~3カ月くらい時間がかかるので、これが1つの目安といえるでしょう。筋膜リリースだけでなく、適度な運動や食事のカロリー調整を行うことが大切です。
筋膜リリースを毎日やったら痩せますか?
筋膜リリースには血流やリンパの流れを改善してむくみを解消する効果が見込めるため、毎日継続すれば痩せる可能性はあります。ただ、必ず痩せられるとは断言できません。
そもそも、筋膜リリースの直接的な目的は痩せることではなく筋肉をほぐすことです。早く痩せたい方は、筋膜リリースを行ったうえで筋トレや有酸素運動も行うとよいでしょう。
筋膜リリースは「痩せる土台」をつくるのに効果的
筋膜リリースを行うと、血流が良くなったり筋肉の可動域が広がったりして、むくみの解消やトレーニングの質向上につながります。つまり、筋膜リリースは「痩せるための土台」をつくるのに適しているといえるのです。
この記事では、ダイエットに効果的な筋膜リリースを紹介しているので、気になる部位から実践してみてくださいね。そのうえで無理のない範囲で運動や食事制限を取り入れ、すっきりした体を目指しましょう!