寝る前の10分でぜひ試して欲しい、疲れた心と体をときほぐすリラックスヨガ
早めに対処して!「疲れ」が体と心に与える影響
だれしも一度は、「疲れてなにもできない……」と心身ともにクタクタになった経験があるはず。まずは、疲れの種類と心身への影響をチェックしていきましょう。
肉体的疲労
体のだるさや重さを感じる「肉体的疲労」は、筋肉を動かすためのエネルギー不足と「乳酸」と呼ばれる疲労物質の蓄積が主な原因です。最初は疲れやだるさ、筋肉の張りといった軽い症状のみですが、慢性化することで大きな病気や痛みにつながる可能性もあります。また、肉体の疲労感をカバーするために体を動かさないようにすると、筋肉が萎縮してしまい余計に疲れやすい体に……。ヨガやストレッチ、ジョギングなどの軽い運動は疲労物質を取り除く効果があります。体がだるいと感じた時こそ軽い運動を取り入れて、体をリフレッシュさせていきましょう。
精神的疲労
職場での人間関係やプライベートでの悩みごとなど、さまざまなストレスが起因となる心の疲れ。精神的疲労は睡眠不足につながることも多く、気分の落ち込みや憂鬱感が慢性化してしまうケースもあるため注意が必要です。心をしっかり休息させるためにも、質の高い睡眠でリラックスすることが重要です。
神経的疲労
コロナ禍の巣ごもり生活で増加している「神経的疲労」。オンラインミーティングやデスクワークが習慣化したことによって、目の使い過ぎや脳の緊張に起因する疲労感に悩む方が増加しています。自律神経を整える効果のあるヨガやストレッチで解消していきましょう。
疲労を解消してリラックス!安眠によって得られる効果
- 肉体的、精神的、神経的な疲労の回復
- 成長ホルモンの分泌を促し、細胞の修復や代謝を助ける
- 記憶力の定着や集中力の発揮
- 免疫力アップ
- 消化や新陳代謝を助け、太りにくい体をつくる
- 不安感やストレスを軽減し、精神的な安定をもたらす
「睡眠」は一日の疲れを回復させる役割だけでなく、心身の調子を整えて健康を維持する役割も担っています。人生の3分の1をも占める時間だからこそ、より上質で濃密な時間にアップデートしたいものですね。
寝る前のヨガが体を変える!熟睡のカギは「自律神経」
睡眠によって疲労を回復させるためには、ただ単に睡眠時間を長くするのではなく睡眠の質を上げることが重要です。次は、良質な睡眠のカギとなる「自律神経」の働きについてチェックしていきましょう。
夜ぐっすり眠るためには、副交感神経を優位に
人間の体内にある無数の神経のなかで、内臓の働きや代謝、体温などをコントロールする役割をもつものが「自律神経」です。自律神経には、日中や活動中に活発になる「交感神経」と、夜間やリラックス状態のときに活発になる「副交感神経」の2種類があり、夜スムーズに入眠するためには日中に活発化した交感神経の働きを抑えて、副交感神経を優位にしなければなりません。この切り替えがうまくできない場合は入眠障害や中途覚醒が起きやすくなり、睡眠の質が低下してしまいます。
腹式呼吸で自律神経を整える!夜ヨガの魅力
副交感神経を優位にして良質な睡眠をとりたい方には、就寝前のヨガがおすすめ。深呼吸をしながら筋肉の凝りや緊張をやわらげるヨガは、自律神経の改善にも非常に効果的です。就寝前にヨガを行う際は、副交感神経を活性化させる「腹式呼吸」を意識しましょう。
寝る前におすすめ!疲労回復&安眠効果のある夜ヨガ3選
ここからは、心身の疲れを感じている方におすすめの夜ヨガをご紹介します。いずれも就寝前の時間を活用して、手軽にトライできる簡単なポーズばかり。安眠を手に入れるため、丁寧な呼吸を意識しながら自律神経を整えていきましょう。
①安楽座(スカーサナ)の状態で腹式呼吸
本格的なヨガポーズにトライする前に、まずは自律神経を整える効果のある腹式呼吸をマスターしましょう。「安楽座(スカーサナ)」は呼吸を整えるポーズとして、ヨガレッスン中にも頻繁に登場するポーズです。リラックス効果や呼吸を整える効果はもちろん、背中の強化や姿勢改善、脚まわりの柔軟性アップも期待できます。
■実際にポーズをとってみましょう
難易度:易しい
- あぐらをかくような状態で、両膝を曲げて両足を胴体の方へ折り曲げます。両方のかかとは重ねないようにしましょう。
- 骨盤を立て、背骨をまっすぐに伸ばし、胸を開きながら下半身をリラックスさせましょう。
- 左右のお尻にある坐骨に体重が均等に乗るようにし、顎を引いて背筋を真っ直ぐに保ちます。
- 姿勢が安定し、怖く感じないようであれば目を閉じます。
- 鼻から大きく息を吸い、お腹を膨らませます。ゆっくりと息を吐きながら、お腹をへこませます。
- 同じ姿勢のまま、腹式呼吸を数回繰り返しましょう。
■安楽座(スカーサナ)のポーズで腹式呼吸のポイント
- 腰の丸まりや反りがないよう注意しながら、坐骨の中心でバランスをとりましょう。
- 膝を左右に広げたときに痛みが生じる場合は、股関節が硬くなっている可能性があります。左右の膝の下にブランケットやクッションを敷いて、支えるようにしましょう。
- より多くの空気を取り込めるよう、横隔膜を上下させるようなイメージで呼吸を続けましょう。
②猫のポーズ
「猫のポーズ」は、その名の通り猫が背伸びをするときの姿勢を真似たヨガポーズです。背骨や肩甲骨まわり、腰まわりのストレッチ効果、腹筋や背筋のインナーマッスル強化、全身の緊張感をほぐして自律神経を整える効果などが期待できます。
■実際にポーズをとってみましょう
難易度:普通
- 四つん這いの姿勢になり、手首は肩の真下、両膝は足の付け根の真下におきます。
- 息を吐きながら背中を丸め、視線はおへそに向けます。
- 息を吸いながら背中を反らせ、視線は正面方向に向けます。
- 呼吸に合わせて、2〜3を繰り返し行いましょう。
■猫のポーズのポイント
- 肩がすくんだ状態ではストレッチ効果が半減してしまいます。耳と肩の距離を遠ざけるようにしましょう。
- 背中を丸めるときは自分のおへそを、背中を反らせるときは正面を見るようなイメージで。
- ゆっくりと呼吸しながら、全身の伸びをしっかり感じましょう。
③チャイルドポーズ
赤ちゃんのように背中を丸くした姿勢で、体をリラックスさせる「チャイルドポーズ」。赤ちゃんが母親のお腹にいたときの姿勢に似ているため、安心感を覚えると言われています。体と心をリラックスさせながら取り組みましょう。
■実際にポーズをとってみましょう
難易度:易しい
- 正座の姿勢で息を大きく吸います。このとき顎は少し引き、背筋をピンと伸ばしましょう。
- 息を吐きながら上半身をゆっくり倒し、おでこを床につけ、両手は前に伸ばします。
- 首や肩の力を抜いて、体の重さに身を任せてリラックスしましょう。
- ポーズが整ったら、ゆっくりと5回程度呼吸を繰り返しましょう。
■チャイルドポーズのポイント
- 股関節がきついと感じたら、上半身の下に枕やクッションを置いてポーズを取りやすくしましょう。
- 肩が痛いと感じた方は、両手を前に伸ばす際に肘を少し曲げるか、両手を反対側に伸ばしましょう。
「眠りが浅くてスッキリしない」「寝つきが悪い」など、さまざまな睡眠トラブルの解消にひと役買ってくれる「ヨガ」。心身の緊張をほぐしてくれるため、肉体的疲労はもちろん、精神的疲労や神経的疲労にも効果的です。毎晩の習慣にして、“ぐっすり熟睡”を当たり前にしていきましょう。本記事でご紹介した3つのポーズは、数あるヨガポーズの中でもとくにリラックス効果の高いものです。腹式呼吸をプラスして自律神経も整えながら、安眠を手に入れましょう。